「述べる」とは?意味や例文や読み方や由来について解説!

「述べる」という言葉の意味を解説!

「述べる」は「自分の考え・事実・感情などを筋道立てて口頭または文章で示す」ことを表す動詞です。

この語は単に「言う」よりも、内容を整理しながら順序立てて示すニュアンスを含みます。

裁判や研究発表のように論理的な説明が求められる場面で多用され、聞き手や読み手にわかりやすい形で情報を届けることが目的となります。

文章語・口語のどちらでも使えますが、日常会話では少しあらたまった印象を与えるため、ビジネス文書やレポート、面接などフォーマルな場面で選択されることが多いです。

「述べる」は相手に伝える前提で内容を整理するプロセスを含むため、情報の正確性と順序性が重視される点が大きな特徴です。

「述べる」の読み方はなんと読む?

読み方は「のべる」で、アクセントは頭高型(ノ)になるのが一般的です。

漢字は「述べる」と一字ですが、送り仮名を含めた「述べる」で表記するのが現代の公用文ルールに沿った形です。

古典文学では「のぶ」と読まれる場合もあり、現代語の「述べる」はその連用形「のべ」に動詞活用の「る」が付いた形と説明されます。

辞書では五段活用(ラ行)に分類され、未然形「のべら」、連用形「のべ」、終止形「のべる」、連体形「のべる」、仮定形「のべれ」、命令形「のべよ/のべろ」と活用します。

ビジネスメールや報告書では「下記のとおり述べます」のように丁寧な言い回しで使われることが多く、硬すぎると感じる場合は「説明します」「お伝えします」と言い換える選択肢もあります。

「述べる」という言葉の使い方や例文を解説!

「述べる」は主に「内容+を+述べる」の形で目的語を伴い、公式な場面で筋道立てた説明をする際に使われます。

具体的な対象には「意見」「所見」「結論」「感謝の意」など抽象名詞が多く、単なる事実伝達よりもやや重みのある語調を与えます。

【例文1】研究結果についてのべる。

【例文2】面接で自己の長所をのべる。

注意点として、比較的フォーマルな語なので友人同士の雑談で多用すると堅苦しい印象を与える恐れがあります。

一方で契約書や議事録では「次のとおり述べる」「以下に述べる」のように定型表現として重宝され、文書の構造を示す役割も果たします。

「述べる」を使う際は内容の順序や論理性が伝わるよう、接続詞や見出しを併用して情報を整理すると効果的です。

「述べる」という言葉の成り立ちや由来について解説

語源は上代日本語の動詞「のぶ(延ぶ・伸ぶ)」で、「長くのばす」「連ねる」の意から「言葉を連ねる」意味が派生したと考えられています。

平安期の『伊勢物語』や『源氏物語』にも「のぶ」が登場し、後に連用形「のべ」に接尾語「る」が付き「述べる」の形が定着しました。

漢字「述」は中国古典由来で「順序立てて言う・のべる」を指し、『論語』の「述而不作(述べて作らず)」の句が著名です。

日本では奈良時代に漢字文化が伝来し、和語の「のぶ」を表記する際に同じ意味を持つ「述」を借用したことで現在の形が成立しました。

漢字と和語が結び付いたことで、和語特有の柔らかさと漢語の公的な響きを両立させているのが特徴です。

「述べる」という言葉の歴史

古代から近世まで「のぶ」「のべ」と仮名表記で用いられ、明治以降の公文書整理で「述」の漢字が統一的に採用された経緯があります。

江戸時代の武家諸法度や学問書には「御意見ヲ述ヘ候(のべそうろう)」のような表記が見られ、武家社会での定型語として機能していました。

明治政府の太政官布告では「左ニ述ベル如ク」のように漢文訓読調で採用され、法令文の語彙として定着しました。

戦後の現代仮名遣い告示(1946年)により「述べる」が公式表記となり、教育現場の国語教科書にも掲載されます。

現在では法律・学術・メディア報道など広範にわたり使用が定着し、「自説を述べる」「感想を述べる」のように多義的に拡張した使い方が一般化しています。

「述べる」の類語・同義語・言い換え表現

近い意味を持つ語には「説明する」「記述する」「発言する」「語る」「陳述する」「言及する」などがあります。

「説明する」は不明点を解きほぐすニュアンスが強く、「記述する」は文章で詳細を示す場面に特化します。

「語る」は物語性や感情を込めるニュアンスがあり、「陳述する」は法律用語で証言・宣誓と結び付く硬い印象です。

【例文1】契約条件を説明する。

【例文2】事故当日の状況を陳述する。

文体や場面に応じて言い換えることで、聞き手に与える印象を調整できる点が大きなメリットです。

「述べる」の対義語・反対語

直接的な対義語は存在しませんが、機能的には「黙る」「伏せる」「秘す」「聞く」「受け止める」などが反意的立場を示します。

「黙る」はまったく発言しない状態、「伏せる」「秘す」は意図的に情報を公開しない状態を意味します。

一方で「聞く」「受け止める」は発言者側ではなく受け手側の動作を示し、「述べる」とは立場が逆転する概念として対比されます。

【例文1】不正を黙る。

【例文2】機密情報を伏せる。

対義語を理解することで「述べる」の持つ「公開・発信・秩序立て」の三要素がより鮮明に把握できます。

「述べる」についてよくある誤解と正しい理解

「述べる」は堅苦しいから日常では不要という誤解がありますが、場面と目的に合致すればむしろ明確な印象を与える利点があります。

たとえばプレゼン資料の要旨説明欄で「以下に要点を述べます」と書けば、内容が簡潔に整理されると同時に専門的な印象も与えられます。

また「述べる=長い説明をする」という誤解も見られますが、実際には短い一文でも順序立っていれば「述べる」と表現できます。

誤用として「感情を述べる」を避ける人がいますが、辞書にも「気持ちを述べる」という用例が載っており、情緒的内容でも論理的に整理すれば問題ありません。

【例文1】面談で感謝の気持ちを述べる。

【例文2】SNSで旅行の感想を述べる。

誤解を避けるためには「述べる」を使う際に主語・目的語・文脈を明確にし、冗長にならないよう句読点や段落を整えることが大切です。

「述べる」という言葉についてまとめ

まとめ
  • 「述べる」は整理した内容を相手に示す動作を表す動詞です。
  • 読み方は「のべる」で、公文書では「述べる」と表記します。
  • 語源は上代語「のぶ」と漢字「述」の結合に由来します。
  • フォーマルな場で有効な一方、論理性と順序性を欠く使用は避けるべきです。

「述べる」は単なる発言ではなく、情報を順序立てて共有するプロセスそのものを示す語です。

意味・読み方・歴史を押さえることで、ビジネス・学術・日常と幅広い場面で適切に活用できます。

類語や対義語との違いを理解すれば、聞き手に与えたい印象や文書のトーンに合わせた言い換えも自在になります。

今後、報告書や面接の自己PRなどで「述べる」を活用する際には、本記事で紹介したポイントを思い出し、論理的かつ簡潔なコミュニケーションを目指してください。