「無駄語」とは?意味や例文や読み方や由来について解説!

「無駄語」という言葉の意味を解説!

「無駄語」とは、文や会話の中で意味内容を増やさず、削除しても情報が損なわれない余分な語句を指す言葉です。この概念は、文章を簡潔に整える際のチェックポイントとして重視されます。たとえば「結果として~になった」という表現では、「結果として」を省いても文意は変わりません。こうした語を削ることで、読み手に伝わりやすく引き締まった文章になります。

無駄語は「冗長性」や「くどさ」の原因となり、特にビジネス文書や論文など正確さと読みやすさが求められる場面で問題視されます。逆に、口語ではリズムを整えたり話し手の感情を示したりする効果があるため、完全に排除すべきとは限りません。

【例文1】この資料はおおむね概ね理解しました。

【例文2】一応簡単にご説明させていただきます。

「無駄語」の読み方はなんと読む?

「無駄語」は「むだご」と読み、音読み・訓読みの混合語です。「無駄」は訓読みの「むだ」、「語」は音読みの「ご」ですが、合成語としては自然に「むだご」と発音されます。稀に「むだことば」と読む例も見られますが、辞書や専門書では「むだご」が一般的です。

漢字表記は「無駄語」以外に「無駄な語」と平仮名を挟む形もあります。いずれも意味は同じなので、文体や媒体に合わせて使い分けると良いでしょう。

【例文1】文章に無駄語が多いと読みにくくなる。

【例文2】講師は「むだご」を省いて簡潔に書くよう指導した。

「無駄語」という言葉の使い方や例文を解説!

「無駄語」は名詞として用い、「無駄語を削る」「無駄語が含まれる」などの形で使われます。動詞を伴わせる際は「削る」「省く」「排除する」が定番で、目的語として扱うのが一般的です。副詞的に「無駄語なく~」と使う例は少数派ですが、誤りではありません。

【例文1】レポートから無駄語を削った結果、文字数が三割減った。

【例文2】編集者は原稿をチェックし、無駄語と重複表現を指摘した。

使用上の注意として、相手の発言に対して「それは無駄語だ」と断定すると語気が強くなり、対人関係に影響する恐れがあります。指摘するときは「ここは短くできますね」と柔らかい表現に言い換えると円滑です。

また、プレゼン資料の場合はスライドの文字数制限があるため、無駄語を削ると視覚的にも見やすくなります。文章術の研修では「一文一義」を原則とする際、同時に無駄語の排除が推奨されます。

「無駄語」という言葉の成り立ちや由来について解説

「無駄語」は「無駄(役に立たない)」と「語(ことば)」を組み合わせた造語で、国語学者や編集者が1970年代以降に広めたとされています。実際に用語として定着したのは、校正・校閲の専門書が普及した1990年代以降です。出版現場で生まれた実務用語が、文章術講座や大学のレポート指導を通じて一般に浸透しました。

古典文学にも冗語や重複表現を避ける教訓はありますが、「無駄語」という呼称自体は近代日本語で生まれた比較的新しい概念です。欧米のライティング理論では「redundant words」「pleonasm」などが対応する語として知られ、日本の編集者がそれを訳語化する過程で「無駄語」が採用されたと考えられます。

「無駄語」という言葉の歴史

戦前の国語改革期には「簡潔な表現を重視せよ」との議論が活発化し、官公庁の文書でも冗語を削減する指針が示されました。しかし「無駄語」という単語が明確に登場するのは戦後です。1960年代の校正ガイドに「無駄な語はなるべく捨てる」と記述があり、それが1970年代に「無駄語」と短縮されました。

1990年代になるとワープロの普及で文字制限が緩和され、逆に冗長表現が増加したため、編集者が「無駄語チェックリスト」を作成しました。インターネット時代に入り、ブログやSNSで誰もが文章を公開するようになると、無駄語の削減は閲覧者の離脱率を下げる実践的テクニックとして再評価されました。

現在では小学校の国語教材にも「無駄なことばを書かずに、要点をはっきり伝えよう」との記載があり、世代を問わず意識される概念となっています。

「無駄語」の類語・同義語・言い換え表現

代表的な類語には「冗語」「余分な言葉」「重複表現」「ムダワード」などがあります。「冗語(じょうご)」は古くからある国語学の用語で、ほぼ同義ですが文語的な響きがあります。「余計な言葉」は日常会話での言い換えに便利です。英語では「redundant words」が直訳として機能します。

校正の現場では「冗長語」も使われ、意味の重なりやくどさを指摘するときに便利です。広告コピーでは「言葉のノイズ」「バッファ語」など業界特有の呼称が登場する場合もありますが、いずれも「情報量を増やさない不要語」という点で同じです。

【例文1】この記事は冗語だらけで読み進めにくい。

【例文2】余計な言葉を削ってリズムを整えよう。

「無駄語」の対義語・反対語

「無駄語」の対義語といえるのは「要語」「核心語」「キーワード」など、情報の核となる必須語です。文章術の観点では「要点語」や「機能語」も対比的に使われます。「要語」は意味を欠かさず、一語でも抜けると文意が成立しなくなる語句を指します。

たとえば「明日開催される説明会に参加する」は、「明日」「説明会」「参加する」が要語で、抜くと意味が通りません。一方「予定では」「ぜひとも」などは無駄語になりやすいので、校正時に対義語の概念を思い出すと取捨選択が容易になります。

「無駄語」を日常生活で活用する方法

無駄語の概念を活用すると、メール・チャット・報告書などあらゆる文章を短時間で読みやすく整えられます。まずは送信前に「この語は削っても意味が変わらないか」を問い直すチェックリストを作成しましょう。次に音読すると、不要な繰り返しが耳で確認できるため効果的です。

スマートフォンのメモアプリやワープロの検索機能を使い、「ものすごく」「とても」「かなり」など自分が使いがちな無駄語を一括チェックする方法もあります。プレゼンではスライド1枚につき20〜30文字程度に絞ると、自然と無駄語が排除され、聴衆の理解が深まります。

【例文1】報告メールを声に出して読んで無駄語を見つけた。

【例文2】チャットで「とりあえず」を減らすだけで要点が伝わりやすくなった。

「無駄語」についてよくある誤解と正しい理解

「無駄語は悪である」との誤解が広まりがちですが、必ずしもゼロにする必要はありません。感情表現や緩衝表現として機能する場合、適度な無駄語は文章に人間味と柔らかさを与えます。たとえばビジネスメールで「お忙しいところ恐縮ですが」と書くのは礼儀を示すための慣用句で、削ると冷たい印象になります。

また「無駄語=口癖」と思われがちですが、口癖は音声の癖であり、無駄語とは重なりつつも別概念です。「えーと」や「あのー」はフィラーと呼ばれ、整理時間を稼ぐ役割があります。文章における無駄語はあくまで文字情報の中での冗長性を指し、フィラーとは区別して扱います。

「無駄語」という言葉についてまとめ

まとめ
  • 「無駄語」は、削除しても情報が欠けない余分な語句を指す言葉。
  • 読み方は「むだご」で、「無駄な語」と書く場合もある。
  • 出版現場で生まれ、校正・校閲を通じて一般化した近代以降の用語。
  • 文章を簡潔にする際は役立つが、礼儀表現として残すケースもある。

無駄語は一見すると単純な概念ですが、読みやすさと人間味のバランスを取るための重要な指標でもあります。削れば文章は締まり、残せば柔らかさが増す――その使い分けこそがライティング上達の鍵です。

まずは自分の文章に潜む無駄語を探し、必要に応じて調整する習慣を付けてみましょう。読み手を思いやった最適な分量の言葉を選ぶことで、伝えたい内容がよりクリアに届くようになります。