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「意向書」とは?意味や例文や読み方や由来について解説!

「意向書」の読み方と基本的な意味

「意向書」は「いこうしょ」と読みます。

「意向書」とは、契約や取引などの本格的な話し合いに入る前の段階で、自分の考えや方針をあらかじめ相手へ伝えるために作成する文書のことです。

口頭での約束だけでは記録が残らず、後から「言った言わない」という行き違いが起こりやすいため、形に残る書面として意思を示す役割を担っています。

「意向」という言葉には「考えが向かう方向」という意味があり、心の中でどちらに進みたいかという姿勢そのものを表す言葉です。

そこに文書を意味する「書」が組み合わさることで、「考えの方向性を書き記したもの」という意味が成り立っています。

国語辞典などでは「自分の意思や考え、方針などを表した文書」と説明されることが一般的で、書式や形式が法律によって厳密に定められているわけではありません。

そのため実際に使われる業界や場面によって、記載される内容や呼び方に多少の違いが出てくることもあります。

日常会話で耳にする機会は少ないものの、ビジネスや法律の分野では非常によく使われる実務的な言葉です。

「意向書」とはどのような文書なのか

「意向書」とは、契約などの本格的な交渉に入る前に、当事者が自分の意思や方向性を相手に伝えるために作成する予備的な文書です。

「この条件で話を進めたい」「このような方向性で合意したい」という気持ちを、口約束ではなく書面という形で明確に残す役割を持っています。

多くの場合、意向書そのものには契約書のような強い法的拘束力は持たせず、あくまで今後の交渉の出発点を示すものとして扱われます。

詳しい拘束力の考え方についてはこの後の章で詳しく説明しますが、まずは「約束」というより「意思表示」に近い文書だと捉えておくと分かりやすいです。

つまり「これから正式な契約交渉を始めます」という合図のような位置づけの文書だと考えると理解しやすいでしょう。

ただしM&Aや不動産取引、就職活動など分野によって意向書に込められる意味合いや重みは異なり、単純な意思表示に近いものから実質的な予約に近い役割を担うものまで幅があります。

「意向書」という言葉の由来・成り立ち

「意向書」という言葉は、「意向」と「書」という二つの漢字が組み合わさって生まれた表現だと言われています。

もともと「意向」という単語自体は古くから使われていましたが、「意向書」という文書の形として広く使われるようになったのは、ビジネス実務が発展してきた中でのことだとされています。

特に大きな影響を与えたのが、英語の「Letter of Intent」、略して「LOI」という表現だと言われています。

欧米企業との取引やM&Aの実務が日本に広がる中で、この言葉の訳語として「意向書」という表現が定着していったとされています。

契約交渉の初期段階でお互いの意思をいったん文書で確認し合うという欧米流の慣習が、日本の企業社会にも徐々に取り入れられていきました。

こうした経緯から「意向書」は、国際的なビジネス慣行を取り込む過程で定着していった言葉だと考えられています。

「意向書」が使われる具体的な場面

「意向書」は、企業間の大きな取引から個人の転職活動まで、さまざまな場面で作成されています。

  • M&A(企業買収・合併):買収条件への意思を示す場面
  • 不動産売買:物件の購入希望を示す「購入意向書」
  • 転職・就職:内定後の入社意思を示す「入社意向書」
  • 業務委託・取引:新規取引を始める前の意思確認

最も代表的なのはM&Aの場面で、買収を検討している企業が「この条件で話を進めたい」という意思を、交渉の初期段階で相手企業に伝えるために作成します。

不動産の分野では、気に入った物件が見つかったときに「この価格で購入したい」という希望を伝える「購入意向書」が取り入れられることがあります。

転職や就職の場面でも、内定を受けた人が入社の意思を示す「入社意向書」という形でよく登場します。

また企業同士が新しく業務委託や取引を始める際にも、本格的な契約の前段階として意向書が交わされることがあります。

「意向書」に法的拘束力はあるのか

「意向書」は原則として法的拘束力を持たない文書として扱われることが多いです。

あくまで「この方向で交渉を進めたい」という意思表示にとどまるため、意向書に記載した条件どおりに必ず契約しなければならない、という強制力は基本的にありません。

ただし意向書の中に「守秘義務」や「独占交渉権」といった特定の条項を設け、その部分だけに法的拘束力を持たせるケースもあります。

つまり文書全体ではなく、一部の条項だけが例外的に拘束力を持つことがある点に注意が必要です。

このような条項がある場合、意向書に署名した時点で情報の取り扱いや交渉の進め方について一定の責任が生じることになります。

後になって「拘束力があると思っていなかった」というトラブルを避けるためにも、どの条項に拘束力があり、どの条項が単なる意思表示なのかを文書内で明確に区別しておくことが重要です。

「意向書」と契約書・覚書の違い

「意向書」と「契約書」の最大の違いは、交渉のどの段階で作成されるかという点にあります。

契約書は当事者同士が条件に最終的に合意したことを証明する文書であり、原則として法的拘束力を持ちます。

一方で意向書は、その契約に向けた交渉を始める前段階で作成される、いわば「予告」のような文書です。

「覚書」も意向書と似た役割を持つ場合がありますが、覚書は契約の内容を補足したり、すでにある程度まとまった合意事項を簡易な形で確認したりする目的で使われることが多いです。

つまり覚書は契約に近い段階、意向書はさらに手前の段階で使われる文書だと整理できます。

「誓約書」や「承諾書」といった言葉もよく似ていますが、これらは一方の当事者が相手に対して一定の事柄を約束したり、受け入れたことを示すために使われる文書です。

意向書はあくまで双方が今後の方向性を確認し合うための文書であるため、一方的な約束を示す誓約書とは目的も立場も異なっていると言えます。

「意向書」の書き方と記載すべき項目

意向書には決まった書式はありませんが、盛り込むべき要素はおおむね共通しています。

まず大切なのは、発行者と宛先、そして作成日付を明確に記載することです。

誰が誰に向けて、いつ意思を伝えたのかが分からないと、意向書としての役割を果たせません。

企業間でやり取りする場合は、会社名や担当者名まで書いておくと、後の確認がスムーズです。

次に欠かせないのが、取引条件の概要です。

価格やスケジュール、取引の対象となる事業や物件の範囲などを、できるだけ具体的に書き込みます。

条件を曖昧にしたまま進めると、後の本契約交渉で行き違いが生まれやすくなります。

そして最も注意したいのが、法的拘束力の有無を明記する条項です。

全体が拘束力を持たないのか、秘密保持や独占交渉権など一部の条項だけ拘束力を持たせるのかを、はっきり書き分けます。

この部分があいまいだと、後になって拘束力の有無をめぐる争いに発展することもあります。

最後に、有効期限の設定も忘れてはいけません。

一般的には1ヶ月から3ヶ月程度の期間を定め、いつまでこの意向が有効なのかを明確にします。

期限を決めておくことで、交渉がだらだらと長引くのを防ぐ効果もあります。

これらの基本項目を押さえておけば、意向書としての体裁を十分に整えることができます。

「意向書」の例文

  • 【例文1】貴社が展開されている事業の譲渡に関しまして、下記の条件にて買収を検討していることを本書面にてお伝えいたします
  • 【例文2】本意向書は法的拘束力を有するものではなく、今後行われる詳細な協議を前提とした意思表示であることを申し添えます
  • 【例文3】下記物件の購入を強く希望しており、売買価格および引き渡し時期について改めて協議させていただきたく存じます
  • 【例文4】本意向書に基づく契約につきましては、売主様との合意および重要事項説明の完了をもって正式に成立するものとします
  • 【例文5】貴社よりいただきました内定を拝受し、入社の意向を固めましたので、ここに謹んでご報告申し上げます
  • 【例文6】入社日につきましては、現職における引き継ぎの状況を踏まえまして、別途ご相談させていただければと存じます

M&Aの例文では、買収条件を示しながらも、法的拘束力を限定する一文を必ず添えるのが実務上の定石とされています。

不動産や入社の意向書でも、希望条件を具体的に伝えつつ、正式な契約や最終決定は別途行うことを明記しておくと、後々の誤解を避けられます。

どの場面に共通するのも、「まだ正式な決定ではない」というニュアンスを言葉できちんと補う工夫です。

「意向書」を書く・受け取る際の注意点

意向書は正式な契約ではありませんが、書き方次第で関係者の受け取り方が大きく変わります。

まず大切なのは、曖昧な表現を避けることです。

「検討する」「配慮する」といった言葉は便利ですが、使いすぎると誤解のもとになります。

受け取る側がどう解釈するかまで想像しながら、できるだけ具体的な言葉を選ぶようにしましょう。

日付や数字で表せる内容は、できる限り具体的な数値に落とし込むことも効果的です。

次に重要なのが、拘束力の範囲を明確に記載することです。

全体として拘束力がないのか、一部の条項だけ拘束力があるのかを、曖昧にしたまま提出してはいけません。

受け取る側も、どの部分に拘束力があるのかを必ず確認するようにしましょう。

ここが不明確なまま進めると、後から「そんなつもりはなかった」という水掛け論に発展する可能性があります。

そして、金額が大きい取引や複雑な契約が絡む場合は、専門家への確認も必要になります。

特にM&Aや不動産のような高額な取引では、弁護士や司法書士に目を通してもらうと安心です。

専門家の目を通すことで、思わぬ落とし穴を事前に防ぐことができます。

意向書だからと気軽に考えず、慎重に取り扱う姿勢を持ちたいものです。

「意向書」の類語・似た言葉との違い

「意向書」と似た言葉はいくつかあり、ニュアンスの違いを知っておくと使い分けがスムーズになります。

いずれも意向書と近い場面で登場しますが、拘束力の強さや使われるタイミングに違いがあります。

「覚書」「念書」との違い

「覚書」は意向書よりも拘束力を持たせる場面が多く、合意内容を確認し合う文書として使われます。

契約書を結ぶ前の簡易的な合意として使われることが多く、意向書よりも一歩進んだ段階の文書と言えます。

「念書」は一方が相手に誓約や確認の意思を示す文書です。

意向書のような交渉前の段階ではなく、約束を記録する色合いが強い言葉です。

英語のLOIとの関係

「意向書」は英語の「Letter of Intent」、略して「LOI」と呼ばれることもあります。

特にM&Aの実務では、日本語の意向書と英語のLOIがほぼ同じ意味で使われています。

英語の契約実務に触れる機会が増えた今、LOIという略称も覚えておくと役立ちます。

「計画書」「申込書」との違い

「計画書」は今後の行動や方針をまとめた文書で、相手に意思を伝える要素は薄い言葉です。

「申込書」は申し込みの事実を示す書類で、意向書のように条件交渉の余地を残すニュアンスは持ちません。

意向書は「交渉の入り口に立つための言葉」である点が、これらの言葉との大きな違いです。

似た言葉の輪郭を知っておくことで、意向書そのものの性質もより理解しやすくなります。

「意向書」のまとめ

まとめ
  • 「意向書」の読み方は「いこうしょ」です。
  • 意向書は、本契約を結ぶ前の段階で意思を伝える文書です。
  • 法的拘束力の有無は、条項で明確にしておく必要があります。
  • 曖昧な表現を避け、必要に応じて専門家に確認することも大切です。

意向書は、交渉や取引がまだ正式な契約や合意に至っていない段階で、お互いの意思をかたちにして相手に伝えるための文書です。

読み方は「いこうしょ」の一つだけで、それ以外の読み方をされることはありません。

発行者や宛先、取引条件、拘束力の有無、有効期限といった基本項目をしっかり押さえ、曖昧な表現を避けることが、意向書を正しく使うための一番の近道になります。