「二義」の読み方と基本の意味
「二義」は「にぎ」と読む言葉で、国語辞典にも見出し語として載っている、れっきとした日本語です。
日常会話で頻繁に使う言葉ではなく、書籍や評論、ビジネス文書などの書き言葉でよく見かける、少し改まった言葉です。
形の似た「一義(いちぎ)」と混同されやすいのですが、「二義」は必ず「にぎ」と読み、「いちぎ」とは読まないので、この違いをまず押さえておきましょう。
読み仮名だけを見比べると小さな違いですが、意味そのものが大きく変わってくるので油断できません。
辞書での基本の意味は、「第一の意味(一義)に次ぐ、二番目の意味」あるいは「補助的な意味」というもので、何かを説明するときの主役ではなく、脇役にあたる意味を指す言葉として使われています。
「重要度の順位づけ」という視点が根っこにある言葉だと考えると、意味をつかみやすくなります。
漢字の組み合わせを見てみると、「二」はふたつめの意味を表し、「義」は言葉の意味そのものを表す漢字なので、合わせて「二番目の意味」を指す言葉になっているのです。
数字の「二」がそのまま意味の順位を表している、わかりやすい成り立ちの言葉だといえます。
この記事の第1部では、「二義」が持つ2つの意味の内容や成り立ち、「一義」との関係、「二義的」という言葉の使い方までを、具体的な例文とともに順番に解説していきます。
読み終えるころには、「二義」という言葉に自信を持って向き合えるようになるはずです。
「二義」が持つ2つの意味とは
「二義」には、大きく分けて2つの意味があります。
この2つの意味は一見バラバラに見えますが、どちらも「ある一つの基準に対して、もう一つの何かが存在する」という発想でつながっています。
1つ目は「一番大事な意味(一義)に次ぐ、二番目に大事な意味・副次的な意味」という使い方で、これが辞書でも最初に載っている、いちばん基本の意味です。
ビジネスでも学術でも、優先順位を語るときにはまずこの意味が使われます。
2つ目は「1つの言葉や文章が、本来の意味とは別に、もう一つの意味を持っている状態」を指す使い方で、こちらはいわゆる「両義的」なニュアンスに近い意味になります。
たとえば一つの表現が複数の解釈を許すときや、賛成・反対のどちらにも取れる言い回しをするときに、この意味での「二義」が当てはまります。
現代の日本語で「二義」が使われる場合は、①の「副次的な意味」の用法が圧倒的に多く、②の「もう一つの意味」という用法は「二義性」という派生語の形で使われることがほとんどです。
単独の「二義」という言葉を見かけたときは、まずは①の意味を思い浮かべておけば、大きく外れることはありません。
どちらの意味で使われているかを見分けるには、「〜は二義だ」「〜にとどまる」のように優先順位を語っている文脈なら①、「〜という二義を持つ」「〜の二義がある」のように解釈の広がりを語っている文脈なら②、と考えるとわかりやすいです。
文の前後にある言葉が「重要度」の話か「解釈」の話かに注目すると、迷わず判断できます。
「二義」の成り立ち・由来
「二義」の成り立ちを知るには、まず「義」という漢字そのものの意味を知ることが近道です。
「義」は「正義」や「義理」など、道徳的な意味で使われることが多い漢字ですが、それだけではありません。
「義」には「意味」という意味のほかに、「筋道」や「正しいとされる道理」という意味があり、この漢字が持つ意味の広がりが、「二義」という言葉の土台になっています。
「意味」を表す「義」に、順番を表す「二」が組み合わさることで、「二番目の意味」という言葉が生まれたのです。
この「義」を使って、意味の重要度を「一義・二義・三義」のように順番付けて表す発想は、古くからの漢文の読み方や、物事の意味を段階的に解釈する学問の中で育まれてきたと言われています。
一つの言葉や文章にいくつもの意味を認め、それらに優先順位をつけるという、緻密な読み方の伝統から生まれた発想だと言われています。
身近な熟語で言うと、「意義」「語義」「定義」「字義」なども同じ「義」を使った言葉で、いずれも「言葉や物事が持つ意味・内容」に関わる漢字として共通しています。
こうした熟語の仲間だと考えると、「二義」も特別な言葉ではなく、ごく自然な成り立ちの言葉だとわかります。
「二義」がいつ頃から使われ始めたかを正確に特定するのは難しいものの、「一義」「二義」という序列の考え方自体は、古い漢文や仏教文献の解釈の中にすでに見られると言われています。
長い歴史を経て、現代では哲学や評論、ビジネスの文章にまで使われる言葉として定着しています。
「二義」と「一義」の関係・違い
「一義」と「二義」は、セットで使われることが多い対の言葉です。
片方だけを覚えるよりも、2つを比べながら覚えたほうが、それぞれの意味の輪郭がはっきりして、すっと頭に入ってきます。
「一義」は「ただ一つの、絶対的な意味・最も重要な意味」を指し、「二義」は「その一義に次ぐ、補助的な意味」を指すという、はっきりとした上下関係があります。
いわば「一義」が主役、「二義」が脇役という関係性です。
この2つは特に「一義的」「二義的」という形容詞的な使い方で対にされることが多く、「一義的な問題」と言えば議論の核心にある最も重要な問題、「二義的な問題」と言えばそれほど重要ではない、後回しにしてもよい問題、という意味になります。
議論や文章の中で優先順位を整理し、話を本筋から逸らさないようにしたいときに、この対の言葉が重宝されます。
「一義」の読み方は「いちぎ」で、「二義」の読み方は「にぎ」ですが、漢字の見た目が似ているために、会話の中でも読み間違えや聞き間違えがよく起こります。
特に音声だけで聞いたときや、早口で読み上げられたときは、どちらの言葉を指しているのか判断しにくいこともあります。
2つを混同しないコツは、「一義」の「一」を「いち」、「二義」の「二」を「に」と、数字そのものの読み方をそのまま漢字の読みに当てはめて覚えることです。
この対応関係を一度覚えてしまえば、以後読み間違えることはほとんどなくなるはずです。
「二義的」という言葉の使い方
「二義的」は「二義」に「的」がついた言葉で、「重要度が二番目以降で、本質的ではない」という意味の形容詞的な表現です。
名詞の「二義」よりも幅広い場面で使いやすい、便利な言い方だといえます。
「二義的な問題」は「今は優先して考えなくてもよい問題」、「二義的な重要性」は「一定の重要性はあるが、最優先ではない重要性」というニュアンスで使われます。
どちらも「重要ではない」と切り捨てるのではなく、「優先度が下がる」という穏やかな否定のニュアンスを持っています。
ビジネス文書や学術論文では、議論の優先順位を整理するために、「その点は二義的な問題として、まず本題を確認します」のような形でよく使われています。
論点が広がりすぎたときに、話を本筋に戻すための言葉としても役立ちます。
似た言葉の「二次的」は、主に「原因や発生の順番が二番目であること」に注目した言葉なのに対し、「二義的」は「重要度・価値の順番が二番目であること」に注目した言葉という違いがあります。
「二次的な被害」は結果として生じたものを指し、「二義的な問題」は価値判断としての順位を指す、と考えると区別しやすくなります。
「二義的」はふだんの会話ではあまり使われず、使うだけで文章全体がやや硬く、知的な印象になる言葉だということも知っておくとよいでしょう。
友人同士のカジュアルな会話よりも、報告書やレポートなど、あらたまった文章で使うのが向いています。
「二義」を使った例文
- 【例文1】旅行の計画で大事なのは日程で、行き先はむしろ二義です
- 【例文2】会議の議題としては人員配置が本題で、備品の選定は二義にすぎません
- 【例文3】この論文において文体の美しさは二義であり、論理の一貫性こそが重んじられています
- 【例文4】予算の細かな増減は二義的な問題であり、まず事業の方向性を固めるべきです
- 【例文5】文学研究において作者の私生活は二義的な重要性しか持たないと考える人もいます
- 【例文6】この規約における「利用」の定義は一義的に定まっており、二義に解釈される余地はありません
例文を見てわかるように、「二義」は「一義」や「本題」など、いちばん大事なものと対比させる形で使われることがほとんどです。
単独で使うよりも、何かと比べたときに意味がはっきりする言葉だと言えます。
日常会話の例文はやや硬めの言い回しになりますが、これは「二義」自体が話し言葉よりも書き言葉に近い、少し改まった言葉だからです。
友人との雑談でそのまま使うと、少し浮いた印象を与えてしまうこともあります。
「二義的」を使うと、「二義」よりもさらに文章がフォーマルな印象になるため、ビジネスの報告書や学術的な評論文でよく使われています。
例文6のように「二義に解釈される」という言い方をすれば、②の「もう一つの意味」というニュアンスも自然に表現できます。
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以上、6章・合計約3,640文字(各章600字前後)。読みは「にぎ」のみで統一し、成り立ち・由来の未確定な部分は「〜と言われています」で表現しています。第2部で扱う「二義性」「類語」「対義語」「注意点」「まとめ」とは内容が重複しないよう、一義との関係は「対比・使い分け」の観点にとどめました。
「二義性」という関連語について
「二義」に「性」を付けた「二義性(にぎせい)」という言葉をご存じでしょうか。
一つの言葉や文章、条文などが二通りの意味に読み取れてしまう曖昧な状態を指し、日常会話ではあまり聞かないものの、専門的な文章では意外とよく登場する表現です。
「二義性がある」といえば、読み手や聞き手によって解釈が分かれてしまうかもしれない、という危うさをはらんだ状態だと考えると、実際の使われ方がイメージしやすいでしょう。
逆に「二義性がない」といえば、誰が読んでも同じ結論にたどり着く、明快な表現だという意味になります。
この言葉がよく登場するのが法律や契約書の世界で、たとえば「相当の期間」のような条文に二義性が残っていると、当事者どうしの解釈がずれて、思わぬトラブルの原因になりかねません。
契約書をチェックする実務では、この二義性をどう解消するかが大きなポイントになると言われています。
そのため契約実務では「二義性を排除する」「二義性のない表現にする」といった言い方が好まれ、条文を作る担当者は二義性がないかを何度も確認します。
一方で文学や哲学の分野では、一つの表現にあえて複数の意味を重ねる技法として、二義性がむしろ豊かな表現として肯定的に語られることもあると言われています。
品詞のうえでは、「二義」がそのまま名詞として使われるのに対し、「二義性」は物事の性質や状態を表す名詞になる点が異なり、「この文章には二義性がある」のように、あとに続く述語も自然と変わってきます。
単独で「二義だ」とは言わない点も、あわせて覚えておきたいポイントです。
「二義」の類語・言い換え表現
「二義」を「重要度が低い」という意味で使うときは、「二次的」「副次的」「従属的」といった言葉に置き換えることができます。
たとえばビジネス文書では「副次的な要因」、会議の場では「従属的な立場」のように、場面ごとに使い分けられています。
たとえば会議の議事録で「それは二義的な問題だ」と書けば、「それは二次的な問題だ」「それは副次的な問題だ」のどちらに言い換えても、優先順位が低いというニュアンスはほぼそのまま相手に伝わります。
逆に最優先の課題を指したいときには、これらの言葉は使えません。
一方、「二義」を「一つの言葉に二つの意味がある」という意味で使うときは、「両義」や「多義」という言葉のほうが、日常的にも学術的にもよく使われる、近い存在になってきます。
小説の評などでは「両義的な結末」という表現もよく見かけます。
ただし「両義」は一つの表現が相反する二つの意味を同時に持つというニュアンスが強く、「多義」は意味が三つ以上に広がる場合にも使われる言葉です。
意味の数や意味どうしの関係性という点で、「二義」とはどちらも微妙にニュアンスがずれると言われています。
「二義」はもともと意味の数そのものより、一番目か二番目かという順序に重心を置いた言葉です。
そのため単純に「両義的」「多義的」と言い換えると、伝えたい順序のニュアンスがずれてしまうことがあるので、置き換える前に一呼吸おいて確認すると安心です。
「二義」の対義語
「二義」の対義語としてまず挙げられるのが、「第一の、最も重要な意味」を表す「一義(いちぎ)」です。
二義とは順位のうえで正反対の関係にあり、国語辞典の語釈でも最初に挙げられるのが一義にあたると言われています。
「一義」は数ある意味の中でも最も重要で、真っ先に立てるべき意味を指す言葉です。
「二義」はそれに次ぐ二番手の位置づけなので、二つを対にして見るとイメージがはっきりわかります。
似た対義語に「第一義(だいいちぎ)」「本義(ほんぎ)」があり、どちらも「その言葉が本来持っている、最も根本的で大切な意味」を表します。
たとえば「本義から外れた使い方」のように、言葉の本来の意味とのずれを指摘するときにも使われます。
また「二義」が「一つの言葉に意味が二つある」ことを表す場合には、「意味が一つしかなく、誰が読んでも誤解の余地がない」ことを表す対義語として「一義的(いちぎてき)」がよく使われ、契約書や法律の条文などで好まれる表現です。
逆にあいまいさをあえて残したい場面では、使われないこともあります。
このように「二義」は対義語とセットで覚えることで、「何かと比べて二番目という意味なのか」「一つの言葉に意味が複数あるという意味なのか」という、二通りの意味の輪郭がぐっとはっきりしてきます。
単語だけを丸暗記するより、ずっと記憶に残りやすい方法です。
「二義」を使うときの注意点
「二義」には「一つの言葉に意味が二つある」ことと「第一義に次ぐ、二次的な意味である」ことという、性質の異なる二つの意味があります。
そのため文脈をよく読まないと、書き手の意図とは違う意味で受け取られてしまうことがあります。
たとえば「これは二義的な問題だ」という一文だけを読むと、「意味が二つある問題」なのか「重要度が低い問題」なのか、前後の文脈がないと判断がつかないことがあります。
書き手は、自分がどちらの意味で使っているのかを一度立ち止まって確認すると安心です。
また「二義」はふだんの雑談ではほとんど耳にすることがなく、契約書や論文、評論文のような、言葉の意味を厳密に区別したい硬い書き言葉でこそ生きてくる表現です。
友人とのおしゃべりでうっかり使うと、少し浮いてしまうかもしれません。
「一義的にはこう言えるが、二義的にはこう言える」のように、対になる「一義的」とセットで使うと、どちらが優先される意味なのかという順序が、読み手にもぐっと伝わりやすくなります。
説明文や論文では、この組み合わせが好んで使われています。
日常会話やくだけた文章の中でいきなり使うと、やや堅苦しく、もったいぶった印象を与えてしまうこともあります。
そのため「二義」は、使う場面さえ選べば知的で丁寧な印象を与えられる、読み手や聞き手を選ぶ言葉だと意識しておくと安心です。
「二義」のまとめ
- 読み方は「にぎ」で、これ以外の読み方はしない。
- 意味は「二つの意義」と「第一義に次ぐ二次的な意義」の2つ。
- 対義語は「一義」「第一義」「本義」で、意味が一つという扱い。
- 契約書や論文など、硬い書き言葉でよく使われる言葉。
ここまで見てきたように、「二義(にぎ)」という言葉には、「一つの言葉が持つ二つの意味」と「第一義に次ぐ、二次的な意味」という、性質の異なる二つの意味がありました。
読み方はどちらの意味で使うときも「にぎ」のひとつだけなので、この一点は迷わず覚えてしまって大丈夫です。
この言葉をすっきり理解するいちばんの近道は、対義語である「一義」「一義的」とセットにして、どちらが優先される意味なのかを比べながら覚えることです。
一義が先に立つ最も重要な存在だからこそ、それに次ぐ二義の位置づけが、対比のなかでぐっと際立って見えてきます。
契約書の解釈や学術的な議論、評論文やニュース解説など、言葉の意味を厳密に区別したい書き言葉の場面で、この先「二義」や「二義的」という表現にきっと出会うはずです。
そのときは対義語の「一義」との対比を思い出せば、意味を取り違えることなく、すっと読み進められるはずです。