「働きを持つ」の読み方と意味とは
「働きを持つ」は「はたらきをもつ」と読み、特別な当て字や難しい読み替えは一切ありません。
「働き」とは、心臓や酵素、言葉といったさまざまな物事が果たしている機能・作用・役割・効果など、何かを動かして結果を生み出す力そのものを指す言葉です。
日常生活の中でも「胃の働きが悪い」「この道具には便利な働きがある」のように、機能そのものを話題にするときによく登場する言葉です。
そこに「持つ」という動詞が加わることで、その機能が外から後付けで与えられたものではなく、もともとそのものの内側に自然と備わっているという「内在」のニュアンスがはっきり表れます。
単に「働く」とだけ言うよりも、「働きを持つ」と表現したほうが、性質としてすでに備わっている感じが読み手にしっかり伝わる点が特徴です。
そのため「働きを持つ」は、辞書の語義説明や専門書の解説文でよく選ばれる、やや硬めで説明的な言い回しとして位置づけられています。
「機能を持つ」など似た表現もありますが、「働き」という和語ならではのやわらかい響きが、この言い回しの親しみやすさを支えています。
くだけた日常会話で使うというよりも、文章の中で物事の性質をきちんと説明したいときに重宝される表現だと考えておくとよいでしょう。
専門的な響きを持つ言い回しではありますが、使われる文脈さえ整えば、小学校の理科の教科書のようなやさしい文章の中にも自然に顔を出す表現です。
「働きを持つ」はどんな対象に使う言葉か
「働きを持つ」の主語になりやすいのは、人や組織、臓器や細胞、言葉や制度など、何らかの機能を果たす存在全般です。
- 人・組織(地域で重要な働きを持つ団体)
- 臓器・細胞・酵素(解毒の働きを持つ肝臓)
- 言葉・制度(文をつなぐ働きを持つ助詞)
つまり生き物にも人工物にも、具体的な物にも抽象的な概念にも使える、懐の深い表現だと言えます。
否定したいときは「働きを持たない」と表現し、期待される機能が備わっていないことをはっきり示せます。
たとえば「この部品は固定の働きを持たない」のように、欠けている機能を説明する場面でよく使われる言い方です。
「大きな働きを持つ」「独自の働きを持つ」のように修飾語を添えると、その機能の規模や特徴をより具体的に伝えられます。
修飾語の選び方を工夫するだけで、単調な説明文に深みと説得力を加えられる点も、この表現の魅力のひとつです。
このほか、自然現象や社会のしくみのように目に見えにくい対象にも「働きを持つ」は無理なく使えます。
たとえば「森林は雨水をたくわえる働きを持つ」「この制度は弱い立場の人を守る働きを持つ」のように、スケールの大きな話題にも対応できる柔軟さが魅力です。
「働きを持つ」の由来・成り立ちをたどる
「働き」という名詞は、動詞「働く」の連用形がそのまま名詞として使われるようになったものです。
「動く」から「動き」、「思う」から「思い」が生まれるのと同じ仕組みで、「働く」からも自然に「働き」という言葉が生まれたと言われています。
もともと「働く」には「活動する」「機能する」という広い意味があり、人の仕事だけでなく、物事が動いて作用する様子全般を表せる動詞でした。
一方の「持つ」は、物を所有する意味から発展し、性質や感情、価値などの抽象的なものを内側に抱えている状態も表せるようになった基本動詞です。
「意味を持つ」「価値を持つ」などと同じ並びで「働きを持つ」という組み合わせが使われるようになり、機能や作用が内側に備わっていることを表す言い方として広まっていったと考えられています。
近代以降、学問や専門分野の文章が整えられていく中で、臓器や成分の機能を説明する言葉として「働きを持つ」が文章語・専門語として定着していったと言われています。
現在でも教科書や辞典、専門書など、物事の仕組みを丁寧に説明する文章の中で好んで使われ続けています。
同じように「〜を持つ」という形をとる言葉には「意味を持つ」「特徴を持つ」などがあり、これらと並べて考えると、「働きを持つ」が日本語の中でごく自然な組み合わせとして根づいてきた流れがよくわかります。
「働きを持つ」の文法パターンと構文バリエーション
最も基本的な形は「〜という働きを持つ」で、具体的な機能の内容をそのまま説明するときに使われます。
たとえば「体温を調節するという働きを持つ」のように、「という」の前に機能の説明をそのまま入れる形です。
もう一つよく使われるのが「〜としての働きを持つ」という形で、何らかの立場や役目を担っていることを示します。
「クッションとしての働きを持つ」のように、比喩的な立場や役目を表すときに向いている言い方です。
- 基本形:「〜という働きを持つ」
- 立場を示す形:「〜としての働きを持つ」
- 列挙する形:「Aの働きとBの働きを持つ」
複数の機能を並べたいときは「AとBの働きを持つ」のように助詞「と」でつなぎ、二つ以上の役割を一度に説明できます。
さらに「働きを持つこと」「働きを持つもの」のように名詞化すれば、文の主語や目的語としても自在に使えるようになります。
否定や疑問の形と組み合わせれば「この道具は保温の働きを持たないのだろうか」のように、機能の有無を検証したり問いかけたりする文章にも違和感なく対応できます。
「働きを持つ」と「機能を持つ」「役割を持つ」の違い
「働きを持つ」と「機能を持つ」は意味が大きく重なり、多くの場面で言い換えが可能です。
ただし「機能」はシステムや仕組みの中での具体的な作動のしかたを指すことが多く、やや無機質で技術的な響きを持つ言葉です。
一方「働き」には和語らしいやわらかさがあり、人の手や心の動きにも、自然の仕組みにも使いやすい包容力があります。
「役割を持つ」との違いもはっきりしていて、「役割」は人や組織の中で誰かから期待され、割り振られる社会的な位置づけを指す言葉です。
つまり「役割を持つ」は人為的・社会的な文脈になじみやすく、「働きを持つ」は自然に備わった性質を表す場面になじみやすいという違いがあります。
さらに「作用を持つ」は、化学反応や薬の効き方など、何かが他に対して力を及ぼす現象を説明するときに選ばれやすい、より専門的な言葉です。
場面に応じてこれらの言葉を選び分けると、文章の正確さと自然さがぐっと高まります。
たとえば「血液を循環させる役割を持つ」と言うよりも「血液を循環させる働きを持つ」と言うほうが、だれかに割り当てられた仕事というより、もとから自然に備わった性質であるという印象が強くなります。
医学・生物学分野での「働きを持つ」の使われ方
医学や生物学の分野では、「働きを持つ」が臓器や細胞、酵素の機能を説明する定番の言い回しとして根付いています。
「肝臓は栄養を分解し、老廃物を解毒する働きを持つ」のように、器官が担う具体的な仕事をわかりやすく伝えられる表現です。
細胞のレベルでも「ミトコンドリアはエネルギーを生み出す働きを持つ」のように、微細な構造の役割を説明するときに広く使われています。
薬や成分の効能を説明する場面でも、「この成分には炎症を抑える働きがある」と並んで、「炎症を抑える働きを持つ」という言い方がよく使われます。
教科書や専門書では、複雑な仕組みを初めて学ぶ読者にもイメージしやすいよう、「〜という働きを持つ」という形で丁寧に説明されることが多いです。
難しい専門用語に慣れていない読者でも、「働き」という身近な言葉を通せば、機能のイメージをすっと受け取りやすくなります。
植物の世界でも「葉緑体は光合成を行う働きを持つ」「根は水分や養分を吸収する働きを持つ」のように、生物の器官や構造を説明する際にごく自然に用いられています。
免疫の仕組みを説明する文章では「白血球は体内に侵入した異物を排除する働きを持つ」といった言い方がよく使われ、健康や医療に関する記事でも読者にイメージしやすい説明として重宝されています。
ビジネス・日常会話での「働きを持つ」の使い方
「働きを持つ」はビジネスの場面でも日常会話でも、意外と身近に使われている表現です。
組織の中では、部署やポジションが担う役割を説明するときによく登場し、「この部署は社内の情報を整理して共有する働きを持っています」のように使うと、役割の内容を具体的に伝えられます。
「働きを持つ」は、組織の役割から製品の機能、制度の仕組みまで幅広い対象に使える便利な言葉です。
製品やサービスを紹介する場面でも、「このアプリは複数の予定を一元管理する働きを持っています」のように機能の特徴を柔らかく表現でき、カタログや企画書など丁寧な文章でもよく見かける言い回しです。
法律や制度といった抽象的な対象にも比喩的に使われることがあり、友人との気軽な雑談よりも、説明や発表のようなやや丁寧な場面で使うと自然に響きます。
会議やプレゼンテーションの場では、「このシステムには業務の重複を防ぐ働きがあります」のように、提案内容の利点を簡潔に伝える目的でもよく使われます。
日常会話では、たとえば「あの一言には場の空気を和ませる働きがあったね」のように、人の言動が周囲に及ぼした効果を振り返って語るときにも、柔らかい言い回しとして自然に使うことができます。
「働きを持つ」の言い換え表現・類語
「働きを持つ」には、「機能がある」「役割を果たす」「作用する」など、言い換えられる表現がいくつもあります。
場面に応じて「機能がある」「役割を果たす」「作用する」を使い分けると、文章がぐっと自然になります。
「機能がある」は製品や仕組みの性能を説明するときに向いていて、「役割を果たす」は人や組織の活動を説明するときに使いやすい、少し硬さを抑えた表現です。
「作用する」は医学や化学の分野で物質や刺激が体や物に影響を与える様子を表すときによく選ばれる言葉で、フォーマルな報告書では「機能を有する」のような硬い表現が好まれる一方、親しい相手との会話では柔らかい言い方のほうが自然に聞こえます。
同じ文章の中で「働きを持つ」を繰り返すと単調になるため、類語に置き換えて変化をつけましょう。
たとえば「この制度には格差を抑える働きがある」を「この制度には格差を抑える機能がある」と言い換えると、やや事務的で硬い響きになり、報告書などの文脈にふさわしくなります。
反対に「果たす」を使って「この制度は格差を抑える役割を果たしている」とすれば、制度が社会の中で担っている立場や責任がより強く印象づけられます。
「働きを持つ」を使う際の注意点
「働きを持つ」を使うときには、主語の種類や語形の違いに気をつけたいポイントがあります。
「働きを持つ」は人だけでなく、薬や制度、仕組みなど無生物を主語にしても自然に使える表現です。
「このビタミンには抗酸化の働きがあります」のように無生物を主語にする文でも、特に不自然さは感じられません。
一方で注意したいのが「働きを持たせる」という使役形との混同で、「働きを持つ」はそのものが元から持つ性質を表すのに対し、「働きを持たせる」は人が意図してその性質を加えるときに使う言葉です。
「働きを持つ」と「働きを持たせる」は意味が異なるため、文脈に応じて正しく使い分けることが大切です。
また、一つの文章の中で繰り返し使うと説明が重く冗長に感じられるため、類語を交えながら書くのがおすすめです。
また「〜の働きを持つ」という形では、「の」の前に来る語が長くなりすぎると文全体が読みにくくなるため、修飾部分が複雑なときは文を分けたり、言い換えたりする工夫も大切です。
加えて、「働きを持つ」は性質をやや断定的に述べる言い方なので、根拠がはっきりしない内容に使うと言い切りすぎた印象を与えることがあり、「働きを持つと考えられている」のように表現を和らげる工夫も有効です。
「働きを持つ」を使った例文
- 【例文1】このホルモンは血糖値を一定に保つ働きを持っています
- 【例文2】広報部は社内外をつなぐ窓口としての働きを持っています
- 【例文3】昔からの慣習には地域の結びつきを強める働きを持つものがあります
- 【例文4】このサプリメントには睡眠を促す働きを持たない成分も含まれています
- 【例文5】このアプリは本当に時間管理をサポートする働きを持つのでしょうか
医学や科学の分野では、体内の物質や成分がどんな機能を果たしているかを説明するときに「働きを持つ」がよく使われます。
「働きを持つ」は肯定文だけでなく否定形や疑問形でも自然に使える、応用範囲の広い表現です。
ビジネスの例文では部署や役職の役割を伝える場面、日常会話の例文では昔からの習慣のような抽象的な対象を説明する場面で使われていることがわかります。
例文1や例文4のように、体に関わる成分やサプリメントの働きを説明する場面では、良い効果だけでなく「働きを持たない」という否定の形で限界をはっきり伝える使い方も欠かせません。
例文2や例文3のように、組織や慣習といった人の営みに関わる対象を説明するときは、具体的なイメージが湧くよう前後の文脈を補いながら使うと、より伝わりやすい文章になります。
「働きを持つ」のまとめ
- 「働きを持つ」は「はたらきをもつ」と読み、物事が特定の機能や役割を備えていることを表します。
- 医学・科学からビジネス・日常会話まで、幅広い分野で使われる表現です。
- 「機能がある」「役割を果たす」などの類語と場面に応じて使い分けると、文章が自然になります。
- 「働きを持たせる」という使役形と混同しないよう注意が必要です。
ここまで、「はたらきをもつ」という読み方を中心に、「働きを持つ」の意味や使い方を見てきました。
「働き」という機能や作用の意味に、「持つ」という保持を表す動詞が組み合わさってできた表現だということも振り返っておきたいポイントです。
「働きを持つ」は、物事が持つ機能や役割を丁寧に伝えたいときに役立つ、覚えておきたい表現です。
医学や科学の専門的な説明からビジネスの役割説明、日常の比喩表現まで幅広い場面で活躍し、類語の「機能がある」「役割を果たす」などと組み合わせながら使うことで、同じ文章の中でも表現に変化をつけられ、読みやすい文章を書くことができます。
読み方である「はたらきをもつ」をあらためて意識しながら読み返すと、硬い専門的な文章の中にも、やわらかく自然な響きが隠れていることに気づけるはずです。