「駆動」とは?意味や例文や読み方や由来について解説!

「駆動」という言葉の意味を解説!

「駆動」とは、外部からのエネルギーや力を受けて機械・システム・生体などが運動や作動を開始し、継続的に動きを維持することを指す言葉です。物理的なモーターで車輪を回転させる場面から、ソフトウェアがデータを処理して結果を出力する場面まで、幅広い対象に適用されます。動詞「駆る(かる)」と「動く」を合わせた熟語であり、「動きを駆り立てる、または動きを支配する」というニュアンスが含まれています。

機械分野では動力源から力を受け取り部品を動かすことを「駆動」と呼び、生体や化学分野ではエネルギー変換によって反応を推進する意味で使われます。

携帯電話のバイブレーションモーター、時計のゼンマイ、パソコンのハードディスク内部のスピンドルなど、私たちの身の回りには多くの「駆動系」が存在します。電気・油圧・空圧などエネルギー源は多岐にわたり、それぞれの方式に応じて効率や制御性が変わるため、適材適所で選択されます。

一方、比喩的な用法として「意思決定を駆動するデータ」のように、抽象的な物事を推し進める意味でも使われます。この表現では、データが人間や組織の行動を動かす“力”として認識されていることがポイントです。

「駆動」の読み方はなんと読む?

「駆動」は一般的に「くどう」と読みます。二字熟語ながら小学生でも読める常用漢字で構成されているため、読み間違いは少ないものの、専門外の分野では「くどう?」と確認される場面もあります。

「駆」は「駆ける(かける)」や「駆逐(くちく)」にも用いられ、「馬を駆る」「敵を駆逐する」のように勢いよく前進させるイメージを持つ漢字です。「動」はご存じのとおり「動く」「運動」など動きを表す漢字です。これらが組み合わさったことで、文字面からも“動きを勢いづける”様子が伝わってきます。

ビジネス文書や技術書では「○○駆動」という複合語が多数登場するため、読みと同時にアクセント(頭高型か平板型か)を確認しておくと聞き取りやすくなります。

なお、英語では「drive」「driven」「actuation」などに相当しますが、外来語としてカタカナ表記にするより、日本語の「駆動」を使うほうが意味の幅を柔軟に表現できます。

「駆動」という言葉の使い方や例文を解説!

「駆動」は名詞として使われるほか、後ろに語を付けて「電気駆動」「直流駆動」「データ駆動型意思決定」のように複合語を形成します。動詞化したい場合は「駆動させる」「駆動する」と表現します。ビジネスや研究論文では、システム全体を説明する際に「○○を駆動するエンジン」など主語を明確にして用いると伝わりやすくなります。

使い方のポイントは“動かす主体”と“動かされる対象”をセットで示し、エネルギー源や制御方法まで補足すると、誤解なく具体的なイメージを伝えられることです。

【例文1】エレクトリックモーターが車両の車輪を駆動する。

【例文2】データ分析が経営判断を駆動する。

【例文3】バッテリー駆動で8時間稼働するノートパソコン。

【例文4】光駆動スイッチにより高速通信を実現。

上記のように技術系の文章では力学的・電気的なニュアンスが中心ですが、抽象的な話題でも問題なく使えます。「顧客の声が新製品開発を駆動した」のように、動きのトリガーを説明する際に便利です。

「駆動」という言葉の成り立ちや由来について解説

「駆動」は漢字文化圏で比較的新しく生まれた語で、日本では明治期以降、欧米技術の翻訳語として広まったと考えられています。「drive」の訳語として「駆動」が定着する過程で、蒸気機関や内燃機関の普及が後押ししました。

「駆」は古来より馬を走らせる軍事用語として用いられ、その強力な推進力が比喩的に“何かを押し進める”意味を帯びました。一方「動」は仏教経典にも登場し、天地・心身の活動を表す中心的な字として親しまれてきました。これらを合わせることで「力強く動かす」ニュアンスが濃い熟語が誕生したわけです。

西洋技術の翻訳過程で「ドライブ」を直訳的に「動かす」とするだけでは迫力に欠けるため、“駆ける力”を含む「駆」を足して奥行きを出した点が語形成の特徴です。

同時期に「駆動力」「駆動軸」「駆動系」といった派生語も生まれ、機械工学系の用語として急速に市民権を得ました。現在ではIT分野でも「データ駆動型開発」のように使われ、意味領域が拡張し続けています。

「駆動」という言葉の歴史

明治20年代の工部大学校(現・東京大学工学部)では、蒸気機関車の「ドライビングホイール」を「駆動輪」と訳しました。これが工学教育を通じて全国に広まり、1890年代の鉄道雑誌にも「駆動装置」という語が登場しています。

大正期になると電気モーターが普及し、「電気駆動」が産業界のキーワードになります。第二次世界大戦中は軍需産業で「自動駆動装置」や「遠隔駆動弾頭」のような言葉が使われ、戦後は自動車・家電製品の大量生産とともに一般家庭にも浸透しました。

1970年代にはコンピュータ分野で「ディスクドライブ」を「磁気ディスク駆動装置」と訳したことで、電子機器の世界へも“駆動”が定着しました。

21世紀に入ると「AI駆動」「データ駆動経営」など抽象概念を指す言葉へと拡張し、メタファーとしての使用頻度が増加しました。歴史を振り返ると、常に技術革新の最前線でアップデートされ続ける言葉であることが分かります。

「駆動」の類語・同義語・言い換え表現

「駆動」と近い意味を持つ語としては「作動」「稼働」「運転」「ドライブ」などが挙げられます。機械系では「アクチュエーション(actuation)」「モーション」「ドライビングフォース」も同義的に使われますが、ニュアンスや対象がやや異なるため使い分けが重要です。

「作動」は機械が動く事実を示す語で、制御信号やスイッチのオンオフなど比較的短時間の動きを指す場合が多いです。「稼働」は工場設備やサーバーなどが継続的に稼働率を維持している状態を強調する語です。「運転」は乗り物や機械を人間が操作する行為に焦点が当たり、「駆動」よりヒューマンインターフェースの要素が強くなります。

「駆動」は動力伝達と力学的な推進力を含意する点で「作動」や「稼働」と異なり、エネルギー源と対象物の関係を説明したい場面で最適です。

言い換えの際は、対象が機械か概念か、動きの継続性か瞬間性かを意識し、文脈に合致した語を選択すると読み手に誤解を与えません。

「駆動」の対義語・反対語

「駆動」の直接的な対義語は一般には存在しにくいものの、文意に応じて「停止」「静止」「休止」「停止状態」などが反対の概念として用いられます。大局的にはエネルギー供給が遮断され、運動や作動が止まる状態を指す言葉で対比させると分かりやすくなります。

制御工学では「アクティブ(能動)制御」に対して「パッシブ(受動)制御」を置くことがあります。またITでは「プッシュ駆動」に対して「ポーリング(定期問い合わせ)」を対比させる例など、場面ごとに適切な反義概念が変化します。

要するに“動かす力がある”状態と“動かす力を持たない”状態を対比させれば、多くの文脈で駆動の反対語として機能します。

会話や文書では「動きを止める」「駆動を切る」「モーターを停止する」と組み合わせて使うことで、対義的な含意を自然に表現できます。

「駆動」が使われる業界・分野

「駆動」という言葉は自動車・鉄道・航空機などの輸送機器産業で頻繁に使用されます。例えばエンジンからタイヤへ動力を伝える「パワートレイン」は日本語で「駆動系」と訳されます。またロボット産業ではサーボモーターやアクチュエータが「駆動部」と表記されるのが一般的です。

IT分野では「ハードディスク駆動装置(HDD)」「ソリッドステート駆動装置(SSD)」が代表例です。そのほか、クラウドサービスで「イベント駆動アーキテクチャ」が注目されるなど、ソフトウェア世界にも広く浸透しています。

電力、医療機器、建築設備、化学工学まで“何かを動かす仕組み”が存在する限り、駆動という概念は欠かせません。

近年では環境負荷低減の観点から、モーター駆動を電池で賄う「EV(電気自動車)」、圧縮空気でツールを動かす「空圧駆動」など、省エネルギーや安全性を重視した分野での応用も拡大しています。

「駆動」という言葉についてまとめ

まとめ
  • 「駆動」はエネルギーを受けて対象を動かし続けることを指す熟語。
  • 読み方は「くどう」で、複合語としても幅広く用いられる。
  • 明治期の技術翻訳を起源に、機械・ITなど多分野で発展した。
  • 使う際は動力源と対象をセットで示すと誤解が少ない。

「駆動」は私たちの暮らしを支える機械的・電子的なシステムだけでなく、データやアイデアといった抽象的なものを動かす際にも活躍する万能な言葉です。エネルギーと対象の関係を示すことで、単なる「動く」より具体的で説得力のある表現になります。

歴史的にも最先端技術と歩みを同じくしてきた語であり、今後もAIや再生可能エネルギーの分野で新しい派生語が生まれていくでしょう。文章や会話で「駆動」を使いこなせば、動きのメカニズムを的確に伝えられる表現力が手に入ります。