「成遂げる」の意味とは?基本の定義を解説
「成遂げる」とは、困難なことや長い時間のかかることを、最後までやり通して実現させるという意味の言葉です。単に物事を終わらせるだけでなく、そこに至るまでの努力や苦労が含まれているのが大きな特徴です。
たとえば「宿題を成遂げる」とはあまり言いません。これは、日常のちょっとした作業には向かない言葉だからです。一方で「長年の夢を成遂げる」「困難なプロジェクトを成遂げる」のように、時間や労力をかけた末に得られる結果を表すときに自然に使われます。
似た言葉に「終える」がありますが、「終える」は単に作業が完了したことを示すだけで、そこに苦労のニュアンスは含まれません。「成遂げる」はそれに対して、乗り越えるべき壁があったことを暗に伝える言葉です。
また「達成する」との違いも押さえておきたいところです。「達成する」は主に目標や数値的なゴールに到達したことを表すのに対し、「成遂げる」はより広く、偉業や大きな出来事全体を成功させたというニュアンスを持ちます。「成遂げる」は結果だけでなく、そこに至る過程の重みまで含めて評価する言葉だと言えます。
「成遂げる」の読み方は「なしとげる」
「成遂げる」の読み方は「なしとげる」です。この読み以外に正しい読み方はなく、まずはこの一点をしっかり覚えておくことが大切です。
初めてこの漢字を見た方の中には、音読みのイメージから「せいとげる」のように読んでしまう方もいるかもしれません。これは、「成」という字を単独で見たときに「成功(せいこう)」「成立(せいりつ)」など音読みで使われる場面が多いために起こりやすい誤読だと考えられます。
しかし「成遂げる」は訓読みの言葉であり、「成す(なす)」という動詞に由来しています。「成す」を連用形にした「成し」に「遂げる」が続く形が語源となっており、そこから「なしとげる」という読みが生まれています。
読み間違いを防ぐコツとしては、「成し遂げる」という送り仮名付きの表記を思い浮かべるとよいでしょう。「成し」の部分が目に入ることで、自然と「なし」という読みを連想しやすくなります。声に出して「なしとげる」と繰り返し読む練習も、記憶の定着に役立つ方法のひとつです。
「成遂げる」の漢字の成り立ちと由来
「成遂げる」という言葉は、「成す」と「遂げる」という二つの動詞が組み合わさってできた複合動詞です。それぞれの漢字が持つ意味を知ることで、この言葉の奥行きがより深く理解できます。
「成」という字は、物事を形づくり完成させるという意味を持っています。「成長」「完成」といった熟語からも分かるように、何かが出来上がる、実を結ぶという方向性を示す漢字です。一方の「遂」は、途中で投げ出さずに最後までやり抜くという意味を持ちます。「遂行(すいこう)」という熟語にも使われており、途切れることなく完了させるニュアンスが込められています。
この二つが組み合わさることで、「物事を完成させるところまで、最後までやり抜く」という強い意志を伴う意味が生まれました。単に「する」だけでは表せない、達成までの粘り強さが漢字の成り立ちからも読み取れます。
なお、現代の表記では「成し遂げる」と送り仮名を入れる形が一般的です。「成す」の連用形である「成し」を明示することで、語の成り立ちがより分かりやすくなっている点も注目したいポイントです。この送り仮名の扱いについては、次の章で詳しく解説します。
「成遂げる」と「成し遂げる」の表記の違い
「成遂げる」と「成し遂げる」は、同じ言葉の表記ゆれです。送り仮名の「し」を入れるかどうかの違いであり、読み方も意味もどちらも変わりません。
この違いが生まれる背景には、「成す」という動詞の連用形「成し」をどこまで送り仮名として表記するかという判断があります。「成し」の「し」を送る書き方が、語の構成を正確に示す形といえます。
公用文や新聞などでの表記では、送り仮名を省略しない「成し遂げる」が標準的な書き方として広く使われています。国語辞典の見出し語も多くは「成し遂げる」の形で掲載されており、公的な文書やニュース記事ではこちらの表記が優先される傾向にあります。
実務上の目安としては、迷った場合は「成し遂げる」と書いておくのが無難です。「成遂げる」という表記も誤りではありませんが、読み手に読み間違いをさせないという観点からは、送り仮名を省略しない書き方のほうが親切だと言えるでしょう。ビジネス文書や公的な文章では特に、標準的な表記を選ぶことをおすすめします。
「成遂げる」が使われる場面や文脈
「成遂げる」は、大きな努力や困難を伴う出来事について語るときに使われる言葉です。そのため、日常のちょっとした会話よりも、改まった場面や特別な出来事を語る文脈でよく登場します。
ビジネスの場面では、長期にわたるプロジェクトの完遂や、困難な目標の達成を語るときに使われます。「大規模な業務改革を成遂げた」「厳しい交渉の末に契約を成遂げた」のように、単なる業務完了ではなく、大きな壁を乗り越えたことを強調したいときに選ばれる表現です。
スポーツの分野でも、選手が長い年月をかけて偉業を達成したときによく使われます。「悲願の優勝を成遂げた」「前人未到の記録を成遂げた」といった見出しは、スポーツニュースでもなじみのある表現でしょう。また人生の節目、たとえば長年の夢や目標を実現したときにも用いられ、感慨深さを込めて語られることが多い言葉です。
一方で、日常会話の中では少し硬い印象を与える表現でもあります。友人同士の軽い雑談の中で使うと、大げさに聞こえてしまうこともあるため、文章や改まったスピーチなど、ある程度フォーマルな場面で使うのが適しているといえるでしょう。
「成遂げる」の使い方と文法的なポイント
「成遂げる」は下一段活用の動詞で、「成し遂げる」と同様の活用パターンを持ちます。未然形は「成し遂げ(ない)」、連用形は「成し遂げ(ます)」、終止形・連体形は「成し遂げる」、仮定形は「成し遂げれ(ば)」、命令形は「成し遂げろ・成し遂げよ」という形になります。
この言葉が持つ意味の性質上、目的語には大きな成果や困難な事柄がくることが多いのも特徴です。「偉業を成遂げる」「悲願を成遂げる」のように、規模の大きさや達成の難しさを感じさせる名詞と組み合わせることで、言葉の持つ重みがより自然に伝わります。
受け身の形にする場合は「成し遂げられる」となりますが、日常的にはあまり多用される形ではありません。「その改革は多くの人々によって成し遂げられた」のように、主語を明示せずに出来事の重要性を強調したい文章で使われることがあります。
使役表現では「成し遂げさせる」という形も文法上は成立しますが、実際の使用頻度は高くありません。誰かに強制的に達成させるという意味合いが強くなりすぎるため、この言葉が本来持つ「本人の努力による達成」というニュアンスとはややずれてしまう点に注意が必要です。文章を書く際には、主語となる人物自身の意志や努力を主語に据える使い方が、この言葉本来の趣旨に合っています。
「成遂げる」を使った例文
- 【例文1】長年温めてきたプロジェクトを、チーム一丸となって成遂げることができました
- 【例文2】困難な交渉を粘り強く続け、ついに大型契約の締結を成遂げた
- 【例文3】厳しい練習に耐え抜き、彼はマラソン完走という目標を成遂げた
- 【例文4】留学という夢を成遂げるために、彼女は毎日語学の勉強を続けていた
- 【例文5】困難な手術を無事に成遂げられたと、担当医が家族に報告した
ビジネスの例文では、個人の努力だけでなくチームでの達成を表す場面でよく使われます。「成遂げる」は結果だけでなく、そこに至るまでの苦労や過程を含めて評価するニュアンスを持つ言葉です。そのため単なる「終わらせる」よりも重みのある表現になります。
スポーツや人生の目標に関する例文では、努力の末に困難を乗り越えた達成感を強調する使い方が中心です。過去形にすることで「すでに乗り越えた」という完了のニュアンスがはっきりと伝わります。
敬語表現にする場合は「成遂げられました」「成遂げることができました」のように、可能形や丁寧語と組み合わせるのが自然です。目上の人の功績を語る際にも失礼にならない、上品な言い回しとして活用できます。
「成遂げる」の類語や言い換え表現
「成遂げる」に近い言葉として「達成する」「果たす」「完遂する」が挙げられます。「達成する」は目標や数値に到達する場面で広く使われる中立的な言葉で、日常会話からビジネスまで幅広く使えます。一方「果たす」は役割や約束、使命に焦点を当てた表現で、「責任を果たす」のように義務のニュアンスが強くなります。
「完遂する」はもっとも硬い響きを持ち、計画や任務を最後までやり通すという意味でビジネス文書や公的な場面に適しています。「成遂げる」はこれらの中間に位置し、困難を乗り越えた達成感を込めたい時に選ばれる言葉です。
フォーマル度で並べると「果たす」は日常寄り、「達成する」は中間、「完遂する」と「成遂げる」はやや改まった響きを持ちます。会話では「達成する」、スピーチや文章では「成遂げる」を選ぶと自然にまとまります。
文脈に応じた使い分けとしては、単純な数値目標には「達成する」、義務や役目には「果たす」、困難な道のりを経た大きな成果には「成遂げる」を選ぶとニュアンスがぴったり合います。
「成遂げる」の対義語や反対の意味を持つ言葉
「成遂げる」の対義語としてよく挙げられるのが「挫折する」と「断念する」です。「挫折する」は目標の途中で心が折れ、続けられなくなる状態を表し、「断念する」は自らの意思で目標をあきらめることを指します。どちらも「成遂げる」が示す達成とは正反対の結末です。
対義語と並べて見ることで、「成遂げる」が単なる完了ではなく、困難に打ち勝った末の達成を意味する言葉だとより深く理解できます。「挫折」や「断念」という言葉があるからこそ、成遂げることの価値が際立つとも言えます。
使用例で比較すると「彼は事業拡大を成遂げた」と「彼は資金難で事業拡大を断念した」では、結末がまったく逆になります。同じ目標を語っていても、結果を表す動詞ひとつで文全体の意味が大きく変わる点が興味深いところです。
「成遂げる」を使う際の注意点やよくある誤用
「成遂げる」は困難を伴う大きな目標に使う言葉なので、日常のささやかな用事に使うと大げさな印象を与えてしまいます。「今日の掃除を成遂げた」のような軽い達成には不向きで、代わりに「終わらせた」「済ませた」を使う方が自然です。
公的な文章や記事では「成し遂げる」と送り仮名を入れて表記するのが一般的なので、「成遂げる」と混在させず、一つの文章内では表記を統一することが大切です。見た目が似ているだけに、うっかり書き分けてしまうミスには注意しましょう。
もう一つ気をつけたいのが読み間違いです。この言葉の読み方は「なしとげる」であり、「せいとげる」と読むのは誤りです。漢字の「成」につられて音読みしてしまうケースが多いので、意識して正しい読みを覚えておくと安心です。
「成遂げる」についてのまとめ
- 読み方は「なしとげる」で、「せいとげる」は誤読。
- 困難や苦労を乗り越えて目標を達成することを表す言葉。
- 類語は「達成する」「果たす」「完遂する」、対義語は「挫折する」「断念する」。
- 軽い用事には使わず、公的な文章では「成し遂げる」表記に統一する。
ここまで見てきたように、「成遂げる」は単に物事を終える言葉ではなく、困難を乗り越えて目標を達成したという重みを込めた表現です。読み方は「なしとげる」ただ一つであり、由来からもわかるように成果と歩みの両方を大切にする言葉だと言えます。
使い方のポイントとしては、対象となる目標の大きさや、そこに至るまでの努力の度合いを意識することが挙げられます。表記についても「成し遂げる」との統一を意識すれば、文章全体の印象がぐっと整います。
ふさわしい場面で「成遂げる」を選ぶことができれば、達成の重みや喜びをより豊かに伝えられる表現になります。日々の言葉選びの中で、ぜひ活用してみてください。