「機会を得る」の読み方と基本情報
「機会を得る」は「きかいをえる」と読みます。
特に難読というわけではありませんが、話し言葉ではあまり耳にしないため、初めて目にすると一瞬読み方に迷う方もいるかもしれません。
構成を見てみると、名詞の「機会」に助詞の「を」が続き、そこに動詞の「得る」が組み合わさってできている言葉だとわかります。
「機会」は物事を始めたり行動を起こしたりするのに、ちょうどよいタイミングや場面を指す言葉であり、ビジネスから日常生活まで幅広く使われています。
「機会を得る」は日常のくだけた会話よりも、文章やスピーチ、面接などあらたまった場面で選ばれることが多い表現です。
友人同士の会話であれば「チャンスをつかんだ」と言うことの方が自然で、「機会を得る」はやや書き言葉寄りの響きを持っています。
例えば、あいさつ状や受賞スピーチの冒頭で「この度は貴重な機会を得ましたので」のように使われることが多く、聞き手や読み手に丁寧で謙虚な印象を与えます。
ビジネスシーンでの自己紹介や実績紹介でも重宝され、手紙やメールの文面でも、「機会を得る」を使うことで文章全体が引き締まった印象になります。
このように「機会を得る」は、読み方や成り立ちを押さえておくだけでも、フォーマルな文章を書くときの語彙の引き出しが一つ増える言葉だと言えるでしょう。
普段何気なく使っている「得る」という動詞の重みを意識するだけでも、言葉選びに対する感覚が磨かれていくはずです。
「機会を得る」の意味とは
「機会を得る」とは、物事を始めたり行動を起こしたりするのにふさわしいタイミングや場面を、自分のものとして手に入れるという意味です。
つまり、ただ待っているだけでなく、何らかのきっかけや条件がそろって初めて実現するという状態を表します。
「得る」には、自分の努力だけでなく、周囲の状況や他者の後押しなど、外部からの働きかけによって物事が手に入るというニュアンスが含まれており、「掴み取る」に比べて受け身の要素が強い言葉です。
例えば「昇進の機会を得る」という場合、本人の実力に加えて、上司の推薦や会社の状況といった外的要因が重なって実現することを示しています。
単なる偶然ではなく、日頃の準備や信頼関係の積み重ねがあってこそ得られるものだというニュアンスも込められています。
似た言葉に「チャンス」がありますが、「チャンス」がやや口語的でカジュアルな響きを持つのに対し、「機会を得る」はあらたまった文章表現として使われる点に違いがあります。
履歴書や職務経歴書などでも、「チャンスを得る」より「機会を得る」の方が座りがよいとされ、採用担当者にも良い印象を与えやすくなります。
意味の範囲としてはほぼ重なりますが、日常会話で「チャンス」を使う場面を「機会を得る」に置き換えると、文章全体が引き締まった印象になります。
特に転職活動や自己PRの場面では、「機会を得る」を使うと落ち着いた印象を残せ、話し言葉の中でも知的な響きを添えられます。
「機会を得る」の由来・成り立ち
「機会」はもともと中国から伝わった漢語で、「機」は物事が動き出す、きっかけとなる大事な節目を、「会」は人や物事とめぐりあう・出会うことを意味していると言われています。
たとえば「機転」「好機」「危機」など、「機」を使った言葉の多くには、物事の分かれ目やきっかけという意味合いが共通して見られます。
この二つの漢字が組み合わさることで、「ちょうどよいタイミングでめぐりあうもの」という「機会」の意味が形づくられてきたと考えられています。
同じように「会」を使った「再会」「面会」といった言葉からも、人や物事とめぐりあう場面を表す文字であることがうかがえます。
一方の「得る」は古くからの和語の動詞で、「自分の手に入れる」「自分のものとして受け取る」という意味を昔から持ち続けてきました。
「地位を得る」「信頼を得る」のように、古い文章にも「得る」は数多く登場しており、日本語の基本的な語彙として定着してきました。
こうした背景から、「得る」は特別な言葉ではなく、幅広い場面で使われてきた息の長い動詞であり、現代の「入手する」「獲得する」といった言葉と比べても、柔らかい響きを保っています。
つまり「機会を得る」は、漢語の「機会」と和語の「得る」という異なる成り立ちの言葉が結び付き、長い年月を経て自然な言い回しとして定着したものだと言えるでしょう。
現代の私たちが違和感なく使えているのは、こうした言葉の積み重ねに支えられてきたからなのかもしれません。
「機会を得る」の使い方とよく使われる形
「機会を得る」は、「話す機会を得る」「挑戦する機会を得る」のように、動詞の連体形を前に置いて使うのが基本の形です。
留学する、発表する、交渉するなど、さまざまな動詞をあてはめることができ、応用範囲の広い形であり、初めて使う人でも当てはめやすいのが魅力です。
このように「〜する機会を得る」という形にすることで、何を行うための機会なのかが一目でわかりやすくなります。
反対に、機会の中身を示さず「機会を得る」だけで使うと、やや漠然とした印象になり、相手に真意が伝わりにくくなることもあります。
「貴重な機会を得る」「またとない機会を得る」のように、機会の大きさや価値を強調する修飾語が前に付きやすく、文章に重みを加えることも特徴です。
ほかにも「絶好の」「またとない」「大きな」といった言葉が、「機会を得る」の価値をより印象づけるために使われます。
反対に「小さな機会を得る」とはあまり言わず、機会を形容する言葉には規模の大きさや価値の高さを示すものが好まれる傾向があり、控えめな言葉と組み合わせると謙虚さも表現できます。
「機会を得た」と過去形にすると実際に実現した出来事として語ることができ、「機会が得られる」と可能形にすると、条件が整えば実現しそうだという見通しを表せます。
このように活用を変えるだけで、出来事なのか可能性なのかというニュアンスを細かく調整できるのも「機会を得る」の便利なところです。
「機会を得る」と「機会を作る」「機会に恵まれる」の違い
「機会を得る」と似た表現に「機会を作る」「機会に恵まれる」があり、いずれも意味は近いものの、主体的な度合いに違いがあります。
特にビジネスの場面では、この違いを意識して使い分けると、文章の説得力が増します。
「機会を作る」は、自分から積極的に働きかけて機会そのものを生み出す、能動的な意味合いの強い表現です。
営業で人脈を広げるために交流会を企画するなど、行動の主体が自分自身にある点がポイントです。
例えば「勉強会を主催して交流の機会を作る」のように、自分の行動によって機会そのものを新しく用意するときに使います。
会議で新規プロジェクトの提案枠を用意することも、「機会を作る」の一例だと言え、周囲を巻き込みながら状況を切り開く姿勢が伝わります。
一方「機会に恵まれる」は、運や環境、周囲の人など、自分の力の及ばない要因によって良い状況がもたらされたことを表します。
例えば「恩師との対話の機会に恵まれる」のように、自分の力だけでは作り出せない、ありがたい巡り合わせを語るときにふさわしい表現です。
これに対して「機会を得る」は、自分から動いた結果として機会を手にした場合にも、周囲の状況に助けられた場合にも使える、ちょうど中間に位置する表現だと考えるとわかりやすいでしょう。
目安としては、努力や工夫が伝わる主語なら「機会を得る」、周囲への感謝を伝えたいときは「機会に恵まれる」を選ぶとよいでしょう。
「機会を得る」を使った例文集
- 【例文1】このたびは新商品の企画を担当する機会を得ましたので、精一杯取り組んでまいります
- 【例文2】前職では海外拠点との連携窓口を務める機会を得て、語学力と交渉力を磨くことができました
- 【例文3】本日はこのように栄誉ある賞を受ける機会を得られましたことに、心より感謝申し上げます
- 【例文4】厳しい選考を経て、念願だった海外の大学院で学ぶ機会を得ることができました
- 【例文5】友人の紹介がきっかけで、思いがけず地域のボランティア活動に参加する機会を得ました
ビジネスメールや面接では、何のための機会だったのかを具体的に添えると、意欲や実績が伝わりやすくなります。
特に転職の面接では、機会を得てから何を得たのか、成果まで一言添えると、聞き手に具体的な仕事ぶりが伝わり説得力が増します。
スピーチや受賞挨拶では、支えてくれた人への感謝と組み合わせることで、謙虚で好感度の高い印象になります。
自分の力だけでなく、周囲の助けがあったことをひと言添えるのが、この場面での基本マナーであり、聞き手に清々しい印象を残します。
留学や日常のちょっとした出来事であっても、「機会を得る」を使うと出来事の印象が引き締まり、文章に品が生まれます。
身近な例文を自分の状況に置き換えて練習しておくと、本番の場面でも自然に口や文章から出てくるようになり、いざというときにも慌てず伝えられます。
ビジネスシーンで「機会を得る」を使うときのポイント
ビジネスの場で「機会を得る」をそのまま使うと、状況によっては少し硬すぎたり、逆にそっけない印象を与えてしまうことがあります。
相手との関係性や場のあらたまり具合に応じて、言い回しを少し調整するだけで、ぐっと好印象につながります。
よく使われるのが「このたび〜する機会をいただき、心より御礼申し上げます」や「貴重な機会を頂戴し、誠にありがとうございます」といった言い回しです。
「得る」を謙譲語の「いただく」「頂戴する」に変えるだけで、丁寧さがぐっと増します。
「機会を得る」を「機会をいただく」に置き換えるだけで、相手への敬意がぐっと伝わりやすくなります。
たとえば「貴重な機会をいただき、心より感謝申し上げます」のように使うと、文章全体の丁寧さの印象が大きく変わってきます。
面接の自己紹介やプレゼンテーションの導入部分、登壇のあいさつ、懇親会での自己紹介など、あらたまった場面でとてもよく使われる表現です。
「本日は貴重な機会をいただき、ありがとうございます」と一言添えるだけで、丁寧で誠実な印象になります。
取引先や上司など目上の人には「いただく」「たまわる」を使うとより丁寧な印象になります。
一方、社内の同僚同士やチャットなどくだけたやり取りをする場合は「機会を得る」のままでも十分自然に響くので、無理に敬語を重ねる必要はありません。
「機会を得る」の類語・言い換え表現
「機会を得る」には、似た意味を持つ言い換え表現がいくつかあります。
代表的なものに「チャンスを得る」「好機に恵まれる」「機会を手にする」などがあり、フォーマル度や文章の硬さによって、それぞれ微妙にニュアンスが異なります。
「チャンスを得る」はカジュアルな響きがあり、日常会話や友人同士のやり取り、SNSの投稿などでもよく使われる表現です。
一方「好機に恵まれる」はやや文語的で、スピーチ原稿や式辞など格式のある文章に向いています。
フォーマル度に応じて言い換えを選ぶことで、文章の硬さを自在に調整できます。
たとえば友人へのメッセージなら「いいチャンスをもらえた」、式辞なら「大変な好機に恵まれ」のように、場面に応じて選ぶと文章全体の印象がすっきりまとまります。
ビジネス文書では「貴重な機会を頂戴する」「機会を賜る」「またとない機会をいただく」といった、より丁寧な言い換えも重宝します。
稟議書や式典の挨拶状、取引先へのお礼状やメールの結びなど、格式を重んじる文書には特にぴったりの表現です。
少しやわらかく伝えたいときは「機会に恵まれる」、勢いや積極性を出したいときは「チャンスをつかむ」、謙虚さを出したいときは「機会を頂戴する」のように、文章の温度感や場面の雰囲気に合わせて選ぶのがおすすめです。
迷ったときは、まず「好機に恵まれる」を選んでおくと、大きく外すことはありません。
「機会を得る」の対義語となる表現
「機会を得る」には、対応する一語だけの対義語は存在しません。
その代わりに「機会を逃す」「機会を失う」「機会をふいにする」といった、動詞と組み合わさった否定的なフレーズで表現されるのが、日本語らしい特徴だといえます。
「機会を逃す」はタイミングを見誤って目の前の好機を取りこぼしてしまうニュアンス、「機会を失う」は状況の変化によって機会そのものがなくなってしまうニュアンスを持ちます。
たとえば「絶好の機会を逃してしまった」のように、後悔の気持ちを込めて使われることも多い表現です。
「機会を得る」の対義語は一語ではなく、状況に応じたフレーズで表されるのが特徴です。
この点は、単語同士でペアを覚えようとすると混乱しやすいので、セットになったフレーズごと覚えるのがおすすめです。
機会を得られていない状態を表すときは「機会に恵まれない」「機会がない」という言い方がよく使われます。
こちらは何かを失ったわけではなく、単にめぐり合わせがまだ訪れていない、いわば中立的でニュートラルな状態を指す表現です。
「機会を逃す」は自分の判断や行動が関わる場合に、「機会に恵まれない」は運やタイミングなど自分の力が及ばない場合に使うと、それぞれのニュアンスの違いがより自然に伝わります。
反対に「機会を得る」を使いたい場面では、努力や行動によって手にした前向きな印象を残せます。
「機会を得る」を英語で表現する方法
「機会を得る」は英語で表現する場合、代表的なのが「get a chance to」と「have the opportunity to」です。
どちらも「〜する機会を得る」と訳せますが、微妙にニュアンスが異なります。
「get a chance to」はカジュアルな会話でよく使われる表現で、日常的な機会について話すときにぴったりです。
一方「have the opportunity to」はややフォーマルで、ビジネスやスピーチの場面でよく使われます。
「be given a chance」を使うと、自分から動いたというより、機会を与えられたという受け身のニュアンスを出せます。
面接やスピーチで謙虚さを表したいときに便利な言い方です。
ビジネスメールや自己紹介では「I am grateful for the opportunity to」「Thank you for giving me this opportunity」のような定型フレーズがよく使われます。
文末を少し変えるだけで、フォーマルな印象にも柔らかい印象にも調整できます。
こうした表現を覚えておくと、面接や商談など英語を使うビジネスの場面でも、自信を持って自分の経験や意欲を伝えられるようになります。
英語のフレーズも日本語と同様に、場面やフォーマル度に応じて使い分けることが大切です。
「機会を得る」を使う際の注意点とまとめ
- 「機会を得る」は読みが「きかいをえる」で、何かに挑戦したり取り組んだりできる状況や立場を手に入れることを表す言葉です。
- ビジネスでは「機会をいただく」など謙譲表現に言い換えると、より丁寧な印象になります。
- 類語には「チャンスを得る」「好機に恵まれる」などがあり、フォーマル度や文章の硬さに応じて使い分けられます。
- 対義語は一語ではなく「機会を逃す」「機会に恵まれない」などのフレーズで表されます。
「機会を得る」を可能形にするときは「機会を得られる」が正しく、「機会を得れる」という、いわゆるら抜き言葉は誤用にあたるので注意しましょう。
正しくは「得られる」のように「ら」を入れる形になるので、話し言葉でも意識しておくと安心です。
また「機会を得る」を何度も繰り返すと、文章全体が硬く、回りくどい印象になってしまうことがあります。
前後で「チャンス」や「恵まれる」など、言い換えを適度に織り交ぜるとバランスの良い文章になります。
「機会を得る」は、意味・使い方・類語・対義語・英語表現までセットで押さえておくと、実際の会話や文章で自信を持って使いこなせます。
正しい形を意識しながら、場面に合った言い換えも上手に活用してみてください。