「栄誉」という言葉の意味を解説!
「栄誉」とは、社会や集団から高く評価され、尊敬や称賛を受ける状態や行為そのものを指す言葉です。この言葉には「名誉」「光栄」「誉れ」といったニュアンスが含まれ、個人だけでなく組織や国、製品など多様な対象に対して用いられます。具体的には、勲章の授与、賞の受賞、偉業の達成など、第三者が「価値あるもの」と認める出来事や実績に付随して使われることが一般的です。
栄誉という漢字を分解すると、「栄」は“栄える・光り輝く”を、「誉」は“ほまれ・評判”を意味します。両者が組み合わさることで「輝かしいほまれ」というイメージが生まれ、単なる称賛以上に格式ばった印象を与えます。
また、“栄誉”は物理的に目に見えるトロフィーやメダルだけでなく、無形の評価や名声も含む点が特徴です。たとえば「このプロジェクトに参加できたこと自体が私の栄誉です」のように、人からの賛辞が目に見えなくても、その価値が当人にとっては大きな誇りとなります。
実際のビジネスシーンでは「永年勤続○年の栄誉に浴する」などと表現され、公式文書や表彰状に登場する頻度が高い言葉です。格式や儀礼を重んじる場面で使われることから、文章に取り入れると重厚感が生まれ、相手への敬意をより強く伝えられます。
「栄誉」の読み方はなんと読む?
「栄誉」の読み方はひらがなで「えいよ」と読みます。音読みのみで構成されるため、訓読みや送り仮名は存在しません。日常会話で言い慣れない場合、「えいよ」という音がやや硬く感じられることがありますが、公のスピーチや表彰式ではよく耳にする音です。
漢字一文字ずつを確認すると、「栄」は常用漢字で読みが複数ありますが、この語では音読みの「エイ」を採用します。「誉」は常用漢字表では「ほまれ」「ヨ」が示されていますが、ここでも音読み「ヨ」を使います。
読み間違えやすい例として「さかえほまれ」という訓読みの当て字が挙げられますが、正式には用いられません。また「栄誉ある」を「えいよある」と続けて発音すると、日本語として自然に聞こえます。
口頭での発音が不明瞭になりやすいため、マイクを使った式典では「エ・イ・ヨ」という区切りを意識すると、聴衆に聞き取りやすいアナウンスになります。
「栄誉」という言葉の使い方や例文を解説!
栄誉はフォーマルな場で使うほど効果を発揮する言葉ですが、日常のメールや会話でも敬意を示したいときに応用できます。まず大前提として、主語になる対象が「賞賛に値する実績」を備えていることが使用条件です。よって軽い冗談や皮肉として使うと、相手に誤解を与える恐れがあります。
以下に代表的な用法を例文で示します。
【例文1】創業以来の快挙として国際デザイン賞を受賞し、大きな栄誉に浴しました。
【例文2】先生のもとで学べることを栄誉だと思っております。
例文のように「栄誉に浴する」「栄誉だ」といった連語で使われることが多い点が特徴です。また「栄誉ある〜」と形容詞的に用いると、対象の価値を際立たせられます。
一方、注意したいのは「自分の功績を自ら栄誉と呼ぶ」と自己顕示と取られるリスクです。第三者への感謝を添えて「〜という栄誉を賜りました」と表現すれば、謙虚なニュアンスを保てます。
「栄誉」という言葉の成り立ちや由来について解説
栄誉という熟語は、中国の古典『礼記』や『史記』などに見られる「栄」と「誉」の組み合わせが日本に伝来し、宮中儀礼の語彙として定着した経緯があります。奈良時代の漢籍受容期に公文書へ取り入れられ、平安期の朝廷儀式でも「栄誉」の語が記録されています。これは律令制の位階や勲位を授与する際に、人の功績を表す敬語として機能していました。
江戸時代になると武士社会における「武勲」「忠義」に重ねて使われ、藩主から家臣への感状に「栄誉」の語が刻まれる例が数多く残っています。その後、明治期には西洋のhonor(オナー)を訳す際の最有力語として再評価され、勲章制度の確立とともに「栄誉」の公式性が強まりました。
現代日本では、国際的な授賞式で“honor”を通訳するときに「栄誉」が定訳となるほど定着しています。以上のように、長い歴史の中で官僚機構・軍事・学術・文化という多層的な文脈を渡り歩きながら、今日のフォーマルな語感が醸成されたといえます。
「栄誉」という言葉の歴史
時代ごとに「栄誉」を感じる基準は変化しますが、語そのものは1300年以上の間、権威と賞賛を象徴する看板語であり続けてきました。奈良・平安期の貴族社会では、官位や和歌会での佳作が「栄誉」とされ、文字どおり身分秩序を裏づける言葉でした。
中世・戦国期には、武勲や領地拡大が栄誉の中心テーマへと移り、戦功を称える「感状」が武士の新たなステータスとなります。ここで栄誉は「生命を賭して掴み取るもの」へと印象を変えました。
近代以降、日本が近代化を進めるなかで、学術・スポーツ・芸術の分野にも栄誉の概念が広がりました。ノーベル賞やオリンピックメダルといった国際的な評価軸が浸透し、「世界に認められること」が新時代の栄誉として受け止められています。
そして現代のデジタル社会では、SNSフォロワーの数や動画再生回数が一部で「栄誉」と見なされるなど、新たな価値指標が登場しました。もっとも、公的な勲章や学会賞など“公の機関による認定”は依然として別格とされ、栄誉の伝統的イメージを支えています。
「栄誉」の類語・同義語・言い換え表現
類語を知っておくと、文章のトーンや状況に合わせた微調整ができ「言葉の選択肢」が広がります。代表的な同義語には「名誉」「光栄」「誉れ」「栄光」が挙げられます。
「名誉」は社会的評価全般を指し、法的概念としても使われるため、裁判や経歴に関する文脈で重宝します。「光栄」は相手からの好意や招待に対し、謙譲の意味合いを含めて返礼するときに便利です。「誉れ」はやや雅な響きがあり、歌や演説に取り入れると格式が上がります。
一方「栄光」はスポーツ報道など熱量を帯びた場面で多用され、努力の結果としての輝きを強調します。「栄誉」と比較すると感動の共有性が高い表現といえるでしょう。
シーン別にまとめると、公的表彰では「栄誉」か「名誉」、謝辞では「光栄」、詩的表現では「誉れ」、勝利報道では「栄光」を使い分けると、文章の印象が引き締まります。
「栄誉」の対義語・反対語
栄誉の対義語として最も一般的なのは「不名誉」であり、社会的評価を高く下げる概念です。不名誉は評価が損なわれるだけでなく、当事者の信用や地位を傷つけるニュアンスを含みます。また「恥辱」「汚点」「屈辱」も対置語として挙げられますが、これらは主に心理的ダメージを強調する表現です。
具体例として「告発を受けて会社の名を不名誉にさらした」「試合で不正が発覚し、選手の栄誉が汚点に変わった」などが典型です。栄誉と不名誉はコインの裏表とも言える関係にあり、同じ事柄が状況次第でどちらにも転ぶ点が興味深いところです。
「敗北」「失墜」「零落」など、尊厳が失われる言葉も広義の対義語といえます。文章作成の際には「栄誉」「不名誉」を対比させることで、ドラマティックな効果を生むことが可能です。
「栄誉」を日常生活で活用する方法
ビジネスや家庭内でも「栄誉」という言葉を適切に使えば、相手への敬意をスマートに伝えられます。最も簡単な活用法は、社内メールや贈り物の添え状で「○○賞受賞、誠に栄誉に存じます」と書くことです。これにより、形式ばった場面でも真心を込めることができます。
また子どもの卒業式やスポーツ大会で「あなたの活躍は家族の栄誉です」と声を掛ければ、尊重と愛情を伝える温かいフレーズになります。ただし、私的なシーンではやや堅い印象も残るため、感謝やお祝いの文脈を併せて述べると柔らかさが出せます。
職務経歴書では「社長賞を受賞し、大きな栄誉を得ました」のように実績を端的に示すと、高評価につながります。リモート会議中に上司の表彰を紹介する際は「当部門にとっても栄誉な出来事です」と伝えると、チーム全体の士気向上に寄与するでしょう。
「栄誉」に関する豆知識・トリビア
知っておくと会話のネタになる栄誉のトリビアは意外と豊富です。たとえば、日本国憲法第第14条では叙勲制度が明記され「栄誉の授与は国会がこれを制限できる」と規定されています。これにより、法律上“栄誉”は国家権力と密接に結びついた概念であることが分かります。
世界最古の勲章はイギリスのガーター勲章(1348年)といわれ、これを日本に倣って設立したのが明治期の大勲位菊花章です。つまり“栄誉”の制度化は中世ヨーロッパの王権との関係が源流なのです。
もうひとつ面白いのは、「栄誉礼」という自衛隊の儀式用語です。外国元首の訪日や新天皇の即位礼など、限られた場面でのみ行われる最上級の礼式で、音楽隊の演奏や儀じょう隊の栄誉礼銃が含まれます。日常生活にはほとんど登場しないものの、国家行事を彩る壮大なセレモニーとして知られています。
「栄誉」という言葉についてまとめ
- 「栄誉」とは、社会的に高く評価される名誉や輝かしいほまれを意味する言葉。
- 読み方は「えいよ」で、音読みのみが使われる点が特徴。
- 中国古典に起源を持ち、律令制・武家社会・近代勲章制度を経て現代に至る歴史がある。
- フォーマルな場面での敬意表現として有効だが、自己称賛にならないよう配慮が必要。
栄誉は古来より「輝かしいほまれ」を指す格式高い日本語であり、国や組織が公式に称賛を表す際の最適語として重用されてきました。読みやすく覚えやすい「えいよ」という発音ながら、その裏には1300年にわたる制度と文化の積み重ねが存在します。
一方で、現代ではビジネスメールや家庭の祝いの言葉など日常のさまざまな場面に応用できる柔軟性も備えています。ただし、自身の成果を語る際は「周囲への感謝」を添えることで、栄誉本来の品格を損なわず、謙虚な印象を保つことができるでしょう。