「背馳」とは?意味や例文や読み方や由来について解説!

「背馳」という言葉の意味を解説!

「背馳(はいち)」とは、背くことや食い違うことを表し、一般的には「両者の間に一致がない」「方向性が反する」といった意味で用いられます。

本来は文語的・やや硬めの表現ですが、学術論文からビジネス文書まで幅広い場面で見かけます。

「背」と「馳」という漢字がともに「後ろ向き」「離れる」というニュアンスを持ち、合わせることで「寄り添わない状態」を強調しているのが特徴です。

「背馳」の読み方はなんと読む?

読み方は「はいち」で、音読み同士の二字熟語です。

「背」を「せ」ではなく「はい」と読む点がつまずきやすいポイントです。

辞書によっては「背馳(はいじ)」と読む例もありますが、現代日本語では「はいち」が優勢とされます。

「背馳」という言葉の使い方や例文を解説!

具体的には「計画が理念に背馳している」など、抽象的な概念間のずれを示すときに便利です。

日常会話よりは文章語でよく登場し、レポートや議事録などフォーマルな文脈で重宝します。

【例文1】その決定は会社の環境方針に背馳している。

【例文2】言葉と行動の背馳が信頼を損なった。

【例文3】理論と実践の背馳をどう埋めるかが今後の課題だ。

「背馳」という言葉の成り立ちや由来について解説

「背」は「そむく・せ・はい」と読み、相手に背を向けることを示します。

「馳」は「はせる・ち・じ」と読み、遠くへ駆けるイメージを持ちます。

二つの漢字を合わせることで「背いて遠ざかる」という動きを抽象化し、現代では「相容れない」という意味に転化しました。

「背馳」という言葉の歴史

古くは中国の古典『春秋左氏伝』などに「背馳」の語が見られ、日本には平安期に漢籍を通じて伝来したといわれます。

江戸期の儒学者が書いた注釈書にも散見され、明治期以降は法律・政治の文脈で頻繁に登場しました。

戦後は社会科学系の論文で「政策と結果の背馳」といった形で定着し、現在まで学術用語として使われ続けています。

「背馳」の類語・同義語・言い換え表現

「乖離(かいり)」「矛盾(むじゅん)」「逸脱(いつだつ)」などが近い意味を持ちます。

特に「乖離」は距離感の強調、「矛盾」は相反性の強調、「背馳」は両者の偽りなく離れている点を示すイメージで使い分けられます。

「背馳」の対義語・反対語

対義語としては「符合(ふごう)」「一致(いっち)」「整合(せいごう)」が代表的です。

これらは「ぴたりと合う」「矛盾がない」状態を指し、背馳との対比で文章の論理構造を明確にできます。

「背馳」についてよくある誤解と正しい理解

「背馳=違反行為」と単純に捉えがちですが、必ずしも法的・倫理的に悪い行為を示すわけではありません。

あくまで「一致していない」事実を客観的に述べる語なので、価値判断とは切り離して用いるのが望ましいです。

また「背馳する」の後に目的語を取る際は「〜に背馳する」と助詞「に」を使うのが自然です。

「背馳」という言葉についてまとめ

まとめ
  • 「背馳」は「一致しない・背く・離れる」を意味する硬めの語句。
  • 読み方は主に「はいち」で、「はいじ」とする資料も少数存在する。
  • 中国古典に起源があり、明治期から学術・法律分野で幅広く使用されてきた。
  • 価値判断抜きで「方向性のズレ」を示せるため、ビジネス文書やレポートで有用。

「背馳」は日常会話で聞く機会は少ないものの、文章表現では論理の精度を高めてくれる便利な言葉です。

意味や成り立ちを正しく理解し、類語・対義語と使い分けることで、レポートやプレゼン資料の説得力が一段と向上します。