「叙勲」とは?意味や例文や読み方や由来について解説!

「叙勲」の意味とは?基本の定義をわかりやすく解説

「叙勲」とは、国や社会のためにめざましい功績を挙げた人に対して、国が公式に勲章を授けることを意味する言葉です。

普段の生活の中で自分から使うことは少なくても、意味を知っておくと式典やニュースの内容がぐっと理解しやすくなります。

長年にわたり社会や公共の利益に貢献してきた人を、国が正式に讃えて勲章を授与する仕組み、それが叙勲だと考えるとわかりやすいでしょう。

この言葉には、国から公式に功績を認められたという重みのある響きがあります。

もともとは国が「勲章を授ける」という行為そのものを表す言葉ですが、実際には受け取る側の視点でも使われます。

「叙勲された」「叙勲を受けた」のように授ける側・授けられる側のどちらの立場からも使える表現です。

春や秋になるとニュースで「〇〇さんが叙勲されました」といった報道を目にする機会が増えるので、なじみのある人も多いはずです。

またビジネスやカジュアルな場面ではほとんど使われず、ニュースや公的な挨拶など、あらたまった文脈で使われることが多い言葉です。

式典で天皇陛下や関係者から勲章が手渡される厳かな場面が報道されることも多く、格式の高さを感じさせる言葉だといえるでしょう。

家族や関係者にとっても、これまでの努力が報われたと感じられる出来事であり、ニュース番組でも本人のコメントとあわせて紹介されることが多い身近な話題の一つです。

「叙勲」の読み方は「じょくん」|正しい読みと漢字の意味

「叙勲」は「じょくん」と読みます。

日常生活ではあまり使わない漢字の組み合わせなので、初めて目にしたときに正しく読めなかったという人も少なくありません。

「叙」という漢字には物事を順序立てて述べるという意味のほかに、地位や勲等を授けるという意味があります。

一方「勲」という漢字は、国や社会のために尽くした手柄や功績そのものを表す漢字です。

「叙」も「勲」もどちらも音読みで、二つの音読みが組み合わさって「じょくん」という読みになっています。

訓読みを使う言葉ではないため、音読み以外の読み方をあてはめてしまうと誤りになるので注意しましょう。

単独では読みにくくても、「叙位」は「じょい」、「叙任」は「じょにん」のように「叙」を使う別の言葉とあわせて覚えると、読み方が定着しやすくなります。

「叙勲」という熟語自体は日常会話にはあまり登場しませんが、報道や公文書では定型的に使われる読み方です。

新聞にふりがなが振られていない場合でも、正しく「じょくん」と発音できれば、式典の中継やニュース原稿を読むときにも困らないはずです。

声に出して何度か読んでみることで、「じょくん」という音の響きが自然に頭に残り、次に見かけたときも迷わず読めるようになるはずです。

「叙勲」と「褒章」「受章」はどう違う?混同しやすい言葉を整理

「叙勲」とよく似た言葉に「褒章」がありますが、実はこの二つは別の制度として運用されています。

「叙勲」は勲章を授ける制度を指し、「褒章」はそれとは別に設けられた栄誉の制度を指します。

勲章が長年にわたる功績や国家・社会への幅広い貢献を対象とすることが多いのに対し、褒章はある分野での善行や優れた技能を対象とすることが多いといわれています。

たとえば人命救助や篤志、業務への精励など、褒章はより具体的な行為や功労にスポットを当てる傾向があります。

また「受章」という言葉は、勲章・褒章のどちらを受け取った場合にも使える表現です。

「叙勲」は勲章について使う言葉、「受章」は勲章にも褒章にも使える言葉と覚えておくと整理しやすいでしょう。

一方「授章」という言葉が使われる場面もありますが、一般的には「受章」のほうが勲章・褒章を問わず広く使われています。

勲章と褒章はどちらも春と秋にあわせて発表されるため、ニュースでも並んで取り上げられることが多く、混同されやすいのだと考えられます。

名称も「勲章」「褒章」と一字違いで似ているため、字面だけで区別しようとすると余計にややこしく感じられるかもしれません。

制度の違いを意識しておくと、ニュースの内容もより正確に理解できるようになるでしょう。

「叙勲」で授けられる勲章の種類と等級

叙勲で授けられる勲章にはいくつかの種類があり、それぞれに等級が設けられています。

代表的なものが「旭日章」と「瑞宝章」で、どちらも大綬章から単光章まで6段階の等級に分かれています。

旭日章は国や社会のために特に顕著な功績を挙げた人に贈られることが多い勲章です。

一方、瑞宝章は公務員をはじめ、特定の分野で長年にわたり功労を積み重ねてきた人に贈られる傾向があります。

このほかにも、文化や科学の分野で優れた業績を残した人に贈られる「文化勲章」という特別な勲章もあります。

等級は数字が小さいほど格が高いわけではなく、大綬章がもっとも上位で、重光章、中綬章と続き、単光章がもっとも下位にあたります。

同じ旭日章を受章した場合でも、大綬章と単光章とでは評価された功績の大きさが異なると考えてよいでしょう。

このほか、国家に対して特に大きな功績を残した人には、桐花大綬章のような最高位に近い勲章が贈られることもあります。

ニュースで勲章の名前を目にしたときは、その種類と等級から、どのような分野の功績が評価されたのかをある程度読み取ることができます。

どの勲章にも共通しているのは、一人ひとりの積み重ねてきた実績への敬意が込められているという点です。

「叙勲」の対象になるのはどんな人?選考基準を解説

叙勲の対象になるのは、公共の利益や社会の発展に貢献した人です。

対象となる分野は幅広く、行政や地方自治、産業や経済、教育や医療、文化・芸術、スポーツなど多岐にわたります。

会社の経営者や研究者、地域医療を支えてきた医師、長年ボランティア活動に携わってきた人なども対象になり得ます。

特別な資格や肩書きを持つ人だけが選ばれるわけではなく、それぞれの持ち場で積み重ねてきた功績そのものが評価の対象です。

年齢に明確な決まりはありませんが、長年の功績の積み重ねが評価されるため、受章者は70歳前後以上の人が中心になる傾向があるといわれています。

ただしスポーツの分野での顕著な功績など、比較的若い世代が対象になるケースもあります。

叙勲はあくまで個人を対象とした栄誉であり、企業や団体そのものが受けることはありません。

公務員か民間人かを問わず対象になり、長年にわたり日本に貢献してきた外国人が対象になることもあります。

選考にあたっては、功績の大きさだけでなく、地道な取り組みを長く続けてきた姿勢そのものも重視されるといわれています。

こうした基準があるからこそ、叙勲は一過性の話題ではなく、積み重ねてきた人生への敬意として受け止められています。

「叙勲」が発表される時期|春の叙勲と秋の叙勲

叙勲は年に2回、春と秋に行われるのが恒例です。

春の叙勲は4月29日、秋の叙勲は11月3日に受章者の氏名が発表されます。

4月29日は「昭和の日」、11月3日は「文化の日」にあわせた発表で、どちらも国民の祝日にあたります。

この時期になると新聞やテレビで受章者の一覧や横顔が特集され、話題になることも珍しくありません。

発表の後には各府省庁による伝達式が行われ、大臣などから勲章が手渡されます。

さらに等級の高い勲章を受けた人には、皇居で天皇陛下から直接勲章を授けられる親授式が用意されています。

発表からおよそ1か月ほど後に、こうした式典が執り行われるのが一般的な流れです。

高齢や病気などの事情がある場合には、通常の発表時期とは別に叙勲が行われることもあるといわれています。

春と秋の発表が近づくと、自分の関わる業界や地域から受章者が出るかもしれないと、ニュースを気にかける人も少なくありません。

年2回という決まったタイミングがあるからこそ叙勲はニュースで取り上げられやすく、伝達式や親授式では正装した受章者とその家族の晴れやかな様子が伝えられ、長年その分野を支えてきた人の名前が並ぶ発表は関係者にとって大きな励みにもなっています。

「叙勲」が決まるまでの流れ|推薦から伝達式まで

「叙勲」は、ある日突然決まるものではなく、半年から一年ほどの時間をかけて選考が進められる栄誉です。

まず各府省庁や都道府県知事、業界団体などが、日頃の功績や社会への貢献が顕著な人を候補者として推薦するところから選考は始まります。

推薦された候補者については内閣府の賞勲局が中心となって審査を行い、功績の内容や社会への貢献度、分野ごとの偏りがないかまで慎重に確認されます。

「叙勲」は日本国憲法が定める天皇陛下の国事行為のひとつで、内閣の助言と承認のもとで執り行われる点も大きな特徴です。

本人が自分から応募する制度ではなく、あくまで周囲からの推薦によって候補にあがる仕組みで、この点は公募型の賞などとは大きく異なります。

そのため「叙勲されたい」と自己申告しても、直接ノミネートされるわけではありません。

審査を通過した候補者は最終的に閣議で正式に決定され、毎年春と秋の年2回、叙勲者の氏名が政府から発表されます。

発表の内容は官報にも掲載され、氏名や功績の概要とともに広く社会に公にされる仕組みです。

発表後は各府省庁や都道府県庁で「伝達式」が開かれ、担当大臣や知事などから勲記と勲章が本人に手渡され、家族が同席することも少なくありません。

なかでも上位の勲章を受ける方は、皇居で天皇陛下から直接授与される「親授式」に臨むこともあり、本人にとって生涯の思い出となる一日になります。

「叙勲」を使った例文|ニュースや日常での使い方

  • 【例文1】今年の春の叙勲で、恩師が瑞宝小綬章を叙勲されたと聞き驚きました
  • 【例文2】叔父は長年の消防団活動への貢献が認められ、秋の叙勲の対象者に選ばれました
  • 【例文3】ニュースで著名な俳優が旭日小綬章を叙勲されたと報じられていました
  • 【例文4】祖父は叙勲の栄に浴し、今も勲章を大切に保管しています
  • 【例文5】このたびのご叙勲、誠におめでとうございますとスピーチで述べました
  • 【例文6】叙勲者の名簿には、各分野で活躍した方々の名前が並んでいました

ニュースでは「〇〇氏が叙勲された」のように受け身の形で使われるのが基本のパターンです。

特に、長年の功績が認められた人物を紹介する記事の締めくくりとして使われることが多く、全国紙だけでなく地方紙でも地域の受章者を紹介する際によく見られる表現です。

「叙勲される」「ご叙勲」「叙勲の栄に浴する」など、主役はあくまで授与される本人になる言い回しが自然です。

「〇〇を叙勲する」のように授与する側を主語にする使い方は、あまり一般的ではありません。

「叙勲を受ける」「叙勲の対象となる」といった言い方も同じように本人を主語にして使われ、お祝いのスピーチでは「このたびのご叙勲、誠におめでとうございます」のように、目上の方には特に丁寧な形で用いられます。

謙虚な方の中には「まさか自分が叙勲されるとは」と驚きを語る方も少なくありません。

「叙勲」の由来|漢字の成り立ちと制度の歴史

「叙」という漢字には、物事を順序立てて並べるという意味があります。

位や役職を授けるという意味でも使われる字で、外交官や裁判官の任命を表す「叙任」という言葉にもこの漢字が使われています。

「勲」は功績やてがらを表す漢字で、「勲功」「殊勲」といった言葉にも使われています。

二つの漢字を組み合わせた「叙勲」は、積み重ねてきた功績の大きさに応じて、国が順序立てて位や勲章を授けるという成り立ちの言葉なのです。

実は位を授けるという考え方自体は古代の律令制にまでさかのぼるとも言われていますが、勲章というかたちに整えられたのは明治以降のことです。

欧米の勲章制度を参考にしながら、明治8年に文官・武官を問わず授与できる「旭日章」が定められ、明治21年には主に文官向けの「瑞宝章」も新たに設けられました。

戦後一時は生存者への叙勲が見送られた時期もありましたが、昭和39年に再開されました。

平成15年には勲一等・勲二等といった数字による等級表示が見直されるなど、時代の変化に合わせて対象となる分野や基準も少しずつ広がり、現在にいたっています。

こうした長い歴史の積み重ねがあるからこそ、「叙勲」という言葉には今も特別な重みが感じられるのです。

成り立ちや歴史的背景を知っておくと、単なる表彰との違いや、この言葉に込められた敬意がより実感しやすくなるはずです。

「叙勲」の類語・言い換え表現

「褒章」は「叙勲」とよく似た制度ですが、地位や功績の積み重ねよりも、発明や善行など特定の行いに対して贈られる点に違いがあります。

人命救助には紅綬褒章、学術や芸術分野での功績には紫綬褒章というように、行為の種類ごとに色分けされているのも大きな特徴です。

「褒章」も内閣府が所管する栄典制度である点は「叙勲」と共通しており、多くの場合、春と秋の叙勲にあわせて発表されます。

ただし「叙勲」は国が長年にわたる功績に対して公式に授ける栄誉であるのに対し、「表彰」は企業や学校なども含め、授与する主体や規模を問わず幅広く使える、より一般的な言葉という違いがあります。

社内表彰や皆勤賞、模範従業員賞なども「表彰」の一種ですが、これらは国が授与する公式な制度ではないため「叙勲」と呼ぶことはありません。

「顕彰」は功績を広く世に知らしめてたたえるという意味合いが強く、顕彰碑や顕彰式など功績を後世に伝える場面でよく使われる言葉です。

地域の偉人や先人の業績をたたえる「顕彰事業」のように、必ずしも勲章という形をともなうとは限らない点も「叙勲」とは異なります。

また、響きの似た「叙位」は勲章ではなく位階を授けることを指し、「叙勲」とあわせて「叙位叙勲」と呼ばれることもあります。

「授勲」は授ける側、「受勲」は受け取る側から見た言葉で、迷ったときは両方の意味を含む中立的な「叙勲」を使うと無難です。

「叙勲」とは|記事のまとめ

まとめ
  • 「叙勲」の読み方は「じょくん」で、国が個人の功績に応じて位や勲章を授ける、格式ある制度です。
  • 各府省庁や都道府県などからの推薦を受け、内閣府による厳正な審査と閣議決定を経て正式に決定されます。
  • 発表は春と秋の年2回で、伝達式や親授式を通じて本人に勲記と勲章が授けられます。
  • 「褒章」「授勲」「受勲」「叙位」など似た言葉とのニュアンスの違いを押さえておくと、より正しく使いこなせます。

ここまで「叙勲」の意味や読み方、決定までの流れ、由来や類語などを詳しく見てきました。

改めて振り返ると、一つひとつの言葉に長い歴史と厳正な手続きが込められていることが分かります。

「叙勲」は単なる表彰ではなく、国が個人の長年にわたる功績を公式に認める、重みのある制度だとご理解いただけたと思います。

読み方や由来、類語との違いまで理解しておくことで、ニュースや会話の中でも自信を持って使えるようになるはずです。

ニュースなどで「叙勲」という言葉を見かけた際は、今回ご紹介した背景を思い出していただけると、記事への理解がより深まるはずです。

身近な方が叙勲された際にも、今回の内容を参考に、正しい言葉づかいで気持ちよくお祝いを伝えていただき、末永く記憶に残る一日にしていただければ幸いです。