「常在菌」の読み方とは
「常在菌」は「じょうざいきん」と読みます。
漢字だけ見ると難しそうですが、コツをつかめば決して読みにくい言葉ではありません。
「常在菌」の読みは「じょうざいきん」のみで、これ以外の読み方はありません。
ふだんの会話にはあまり登場しない言葉なので、初めて目にすると読み方に迷ってしまう方も多いようですが、慣れてしまえばすぐに読めるようになります。
文章の中では「常在菌(じょうざいきん)」のようにふりがなが添えられることも珍しくなく、読み方に自信がない場合はふりがなを参考にするとよいでしょう。
「常」は「つね」と読み、いつも変わらず続く状態を表す漢字で、「在」は「ある」「存在する」という意味を持ち、この言葉の中では「ざい」と濁って読みます。
「常」は「日常」、「在」は「存在」といった身近な言葉にも使われているので、そちらから連想すると意味も読み方も覚えやすくなります。
「菌」は細菌や微生物全般を指す言葉で、医学の専門書だけでなく健康や美容に関するニュースでも広く使われており、じつは「常在」の2文字だけでも「常にそこにある」という意味で使われる言葉です。
読み間違いで特に多いのが、「在」を濁らせずに「じょうさいきん」と発音してしまうケースなので、耳で聞くときも注意しておきたいところです。
「皮膚常在菌」「腸内常在菌」のように他の言葉と組み合わさっても読み方は変わらず「じょうざいきん」のままなので、一度覚えてしまえば迷うことはありません。
「常在菌」の意味とは
「常在菌」とは、人の体や身の回りの環境に、生まれたときから常に存在している微生物の総称です。
多くの常在菌は病気を引き起こすどころか、私たちの体を守る味方として働いています。
皮膚や腸内、口の中など、体のさまざまな場所にすみつき、外から来る菌の侵入を防ぐ盾のような役割を果たしています。
常在菌と対になる言葉に「外来菌(通過菌)」があり、これは一時的に体に付着してもすみつかずに通り過ぎていく菌を指します。
「常在菌がいる=不衛生」というイメージを持たれがちですが、実際にはどれだけ体を清潔に保っていても、健康な人の体には当たり前に存在するものです。
医師の診察や健康診断の結果で「常在菌が検出されました」と言われても、多くの場合はそれほど心配のいらないケースです。
もともとは医学や微生物学の専門用語として使われてきた言葉ですが、近年は腸活や美肌ケアといった健康・美容の文脈でも耳にする機会がぐっと増えました。
スキンケア用品のパッケージに「肌の常在菌バランスを守る」といった謳い文句が使われるのも、この言葉が持つ身近さの表れといえるでしょう。
細菌だけでなく、皮膚にいるマラセチアのような真菌(カビの仲間)まで含めて「常在菌」と呼ぶことがある点も覚えておきたいポイントです。
「常在菌」という言葉を使うときは、必ずしも悪いものを指しているわけではない、という前提を押さえておくと、健康情報を読むときの理解がぐっと深まります。
「常在菌」の由来・語源
「常在菌」という言葉は、漢字の意味そのままに「常に在る菌」という成り立ちから生まれたと言われています。
英語の「resident flora」や「normal flora」に対応する訳語として、日本の医学界に定着していったと言われています。
医療系の教科書や辞典では、英語表記とあわせてこうした語源が紹介されていることも少なくありません。
「flora(フローラ)」はもともと「植物相」を意味する言葉で、微生物の集まりを植物の群生になぞらえた表現だとされ、それが日本語の医学用語にも取り入れられました。
もともと「菌」という漢字はキノコやカビといった生き物を指す文字でしたが、時代とともに細菌全般を指す言葉としても使われるようになったと言われています。
細菌が発見され、人体にすみつく微生物の存在が明らかになる中で、それらを分類し呼び分けるために「常在菌」という訳語が必要とされたと考えられています。
顕微鏡が発達して目に見えない微生物の世界が次々と解明されていった19世紀以降、少しずつ医学界で使われ始めた言葉だとされています。
当初は専門分野の学術用語でしたが、健康志向の高まりとともに一般向けの書籍やメディアにも広がり、今では日常的に使われる言葉になりました。
こうした背景から、「常在菌」は現在では医学書だけでなく、一般の辞典や学校の教科書にも載る言葉として定着しています。
同じ意味を指す言葉として「常在細菌叢」という表現が使われることもあり、近年は英語の「マイクロバイオータ」に近いニュアンスで使われる場面も増えています。
「常在菌」がすむ体の部位
常在菌は体のさまざまな部位にすみついており、その顔ぶれや数は部位ごとの環境に合わせて大きく異なります。
代表的なすみかは、皮膚・腸内・口腔や鼻腔などの粘膜の3つで、それぞれ環境も役割も異なります。
皮膚には表皮ブドウ球菌などの常在菌が存在し、皮脂や汗をエサにしながら肌の表面を弱酸性に保ち、乾燥や刺激から肌を守る働きも担っています。
皮脂の多い顔や頭皮、乾燥しやすい腕や脚、汗をかきやすいわきの下など、皮膚の中でも部位によってすみつく菌の種類やバランスは異なります。
腸内には数百種類、数にして100兆個ともいわれる腸内細菌がすみつき、腸内フローラ(腸内細菌叢)を形成しています。
胃は強い酸性のため常在菌がほとんど生きられませんが、小腸を経て大腸まで進むと、その数と種類は一気に増えていきます。
同じ腸内でも、食生活や生活習慣、年齢によってすみつく菌のバランスは人それぞれ大きく異なり、いわば指紋のような個人差があります。
口の中には300種類以上ともいわれる常在菌がおり、湿度や温度が保たれやすい環境の中で消化を助けたり口内環境を整えたりしています。
鼻の粘膜にも独自の常在菌がいて、呼吸のたびに外から入り込もうとするウイルスや病原菌を、真っ先に食い止める最前線として働いています。
同じ「常在菌」という言葉でも、すみつく場所によって種類も働きも大きく異なるという点を覚えておきましょう。
「常在菌」の種類と代表的な菌
常在菌にはとても多くの種類があり、すみつく場所や個人の体質、年齢によっても代表的な顔ぶれが大きく変わってきます。
皮膚の代表格は表皮ブドウ球菌で、皮脂を分解して肌を弱酸性に保つ働きがあります。
同じ皮膚常在菌でも、毛穴の奥にすみつくアクネ菌や、頭皮やわきの下などに多いマラセチア菌(真菌の一種)など、すむ場所によって顔ぶれにバリエーションがあります。
腸内ではビフィズス菌や乳酸菌が有名で、どちらも発酵食品やヨーグルトの名前としてもおなじみです。
同じ乳酸菌でもラクトバチルス属など細かく分類されており、種類によって得意とする働きが少しずつ異なります。
ヨーグルトや乳酸菌飲料のパッケージに書かれた「LG21」「ガセリ菌」といった名前も、乳酸菌の中の特定の菌株を指しています。
常在菌は働き方によって、体に良い「善玉菌」、悪影響を与える「悪玉菌」、状況次第でどちらにも傾く「日和見菌」に分けられます。
善玉菌の代表がビフィズス菌や乳酸菌、悪玉菌の代表がウェルシュ菌や黄色ブドウ球菌の一部で、日和見菌の代表は無害な大腸菌やバクテロイデスです。
腸内フローラでは、善玉菌2割・悪玉菌1割・日和見菌7割という比率がよく紹介されますが、これはあくまで分かりやすくするための目安の一つだと言われています。
善玉菌・悪玉菌・日和見菌はすべて常在菌の一種であり、「常在菌」はこれら3つの分類をまとめて指す、より大きな枠の呼び名だと理解しておきましょう。
「常在菌」の役割・働き
常在菌は、私たちがふだん意識することのない場所で、毎日休むことなく体を守るために働き続けています。
最も重要な役割の一つが、病原菌の侵入や増殖を防ぐバリア機能です。
皮膚や粘膜の表面はすでに常在菌でびっしりと占有されているため、新たにやってきた病原菌はすみつく隙間を見つけられません。
常在菌が乳酸や脂肪酸などを作り出して周囲を弱酸性に保つことも、病原菌が増えにくい環境づくりに役立っています。
常在菌どうしが縄張りやエサを奪い合いながら一定の数を保っている状態は「細菌干渉」と呼ばれ、これも立派なバリア機能の一つです。
また、常在菌がいることで免疫細胞がほどよく刺激され続け、免疫システムの発達や維持にも深く関わっていると言われています。
生まれたばかりの赤ちゃんは無菌に近い状態で、成長する中で少しずつ常在菌に触れることで、体の免疫が「訓練」され、正しく働くようになっていくとも言われています。
腸内の常在菌は、食べ物の消化を助けたり、ビタミンB群やビタミンKといった体に必要な栄養素を合成したりと、栄養面でも私たちの体を支えています。
私たちの消化酵素だけでは分解しきれない食物繊維も、腸内細菌が発酵させることでエネルギー源に変えてくれます。
常在菌は「ただそこにいるだけ」の存在ではなく、目に見えないところで私たちの健康を支え続けている縁の下の力持ちだといえるでしょう。
「常在菌」と病原菌・日和見菌の違い
私たちの体にすみついている菌は、大きく常在菌・日和見菌・病原菌の3つのグループに分けて考えることができます。
同じ「体にいる菌」という括りでも、それぞれ体への影響や普段のふるまいはまったく異なっていて、スキンケアや体調管理を考えるときにもこの違いを知っておくと役立ちます。
常在菌は体に住み着いていても悪さをすることはほとんどなく、むしろ肌をうるおいで守ったり腸の調子を整えたりと、健康を支えてくれる頼もしい存在です。
特別に意識しなくても、生まれたときから当たり前のように、そばでずっと体を支えてくれている菌なのです。
一方の病原菌は、体内に侵入すると増殖して感染症などの病気を引き起こす菌のことで、食中毒や膀胱炎の原因になる菌をイメージするとわかりやすいでしょう。
発熱や下痢、炎症といった症状は、病原菌に対する体の防御反応として起こることが多いのです。
日和見菌はその中間に位置する菌で、体が元気なときはおとなしくしていますが、疲れや加齢で抵抗力が落ちると、とたんに悪さを始めることがあります。
疲れがたまっているときに口内炎や肌荒れができやすくなるのも、日和見菌の影響のひとつと言われています。
このように同じ体内の菌でも役割はさまざまなので、「常在菌=良い菌」「病原菌=悪い菌」という単純な線引きだけでなく、状況によって立場が変わる日和見菌の存在も含めて理解しておくと、体調の変化にも落ち着いて対応できるようになります。
「常在菌」のバランスが崩れる原因
常在菌は普段いいバランスを保っていますが、いくつかの生活習慣がきっかけで、そのバランスが崩れてしまうことがあります。
特別な病気にかかっていなくても、日々のちょっとした行動の積み重ねが常在菌に影響することもあるので、原因を知って早めに対策しておきたいところです。
抗生物質は、細菌による感染症の治療でよく使われる薬ですが、病原菌だけでなく体を守ってくれている常在菌まで区別なく減らしてしまうことがあります。
下痢や口内炎が起こりやすくなるのは、こうして常在菌のバランスが乱れたサインのひとつと言われています。
睡眠不足や不規則な生活、慢性的なストレスも、常在菌のバランスを乱す原因のひとつと言われています。
夜更かしが続いたときにお腹の調子を崩しやすいのも、自律神経の乱れが腸内環境に影響し、常在菌がすみやすい状態を保ちにくくなるためと考えられています。
偏った食生活や、過度な除菌・殺菌も常在菌にとっては大きな負担になります。
野菜や発酵食品が少なく脂っこいものに偏った食事や、なんでも除菌シートでふき取ったり除菌スプレーを多用したりする習慣は、必要な常在菌まで洗い流し、減らしてしまいかねません。
このように、常在菌のバランスは特別な病気がなくても、日々のちょっとした積み重ねによって少しずつ崩れてしまうものです。
まずはどんな行動が原因になりやすいのかを正しく知ることが、対策を考えるうえでの確かな第一歩になります。
「常在菌」のバランスを整える方法
常在菌のバランスを整える方法は、決して難しいものではなく、毎日のちょっとした心がけの積み重ねです。
特別なサプリメントや高価な道具に頼らなくても、食事・睡眠・日々の洗い方という3つの切り口を意識するだけで、体の内側からコンディションを整えていくことができます。
まず意識したいのが、毎日の発酵食品や食物繊維を取り入れた食事です。
ヨーグルトや納豆、味噌、キムチなどの発酵食品と、野菜や海藻、きのこ類に含まれる食物繊維は、常在菌のよいエサになり、腸内での増殖をやさしく助けてくれると言われています。
十分な睡眠をとり、ストレスをためこまないようにすることも、常在菌にとって大切な環境づくりです。
忙しい毎日でも、湯船にゆっくりつかったり好きな音楽を聴いたりして、自分に合ったリラックス方法をいくつか持っておくと、心にも体にも余裕が生まれやすくなります。
そして、洗いすぎず過剰な除菌を避けることも、常在菌を守るための大切な工夫です。
肌はゴシゴシこすらず低刺激の石けんでやさしく洗い、アルコール除菌や消毒スプレーも本当に必要な場面だけに絞るくらいが、ちょうどよい距離感と言われています。
どれも特別な道具や知識がなくても、今日の食事や入浴、眠り方のちょっとした工夫から始められることばかりです。
まずはできるところをひとつだけ選んで、無理のない範囲で気長に続けていくことをおすすめします。
「常在菌」を使った例文
- 【例文1】肌にはたくさんの常在菌がいるから洗いすぎには気をつけたほうがいいよ
- 【例文2】お腹の調子を整えるには腸内の常在菌を増やす食事が大事なんだって
- 【例文3】抗生物質を飲んだあとは常在菌のバランスが乱れることがあります
- 【例文4】腸内の常在菌を整えることは免疫力の維持にもつながると言われています
- 【例文5】この化粧水は肌の常在菌を守りながら整えるように作られています
- 【例文6】常在菌のバランスが整った肌はうるおいを保ちやすいとされています
日常会話では、肌や腸の調子と結びつけて、わりとカジュアルに使われることが多い言葉です。
「肌の常在菌を大事にする」「お腹の常在菌を増やしたい」といった言い回しで、健康や美容に関心がある人同士の雑談やSNSの投稿でも自然に使われています。
医療・健康分野の記事では、抗生物質の副作用や免疫の仕組み、腸内フローラとの関係を説明する場面でよく登場します。
専門的な内容を一般の読者にもわかりやすく伝えるための言葉として、解説記事やお医者さんが書くコラムなどでもよく使われています。
美容・スキンケアの分野でも、肌の常在菌を守るという視点が近年よく取り上げられるようになりました。
低刺激や無添加、常在菌ケアをうたう化粧品や洗顔料のパッケージ、広告のキャッチコピーでもすっかりおなじみの表現になっています。
「常在菌」のまとめ
- 「常在菌」は「じょうざいきん」と読み、肌や腸など体のあちこちにすみつきながら、私たちの健康を陰でずっと支えてくれる菌のことです。
- 「常在」という言葉のとおり、常にそこに在り続けている菌という意味合いが、その名前の由来と考えられています。
- 発酵食品や食物繊維を意識した食事、十分な睡眠とストレスケア、過剰な除菌を避ける工夫が常在菌との上手な付き合い方です。
- 常在菌は病原菌の侵入を防いだり、肌や腸の調子を整えたりしてくれるなど、健康維持に欠かせない存在です。
ここまで見てきたように、常在菌は「じょうざいきん」と読み、私たちの体にすみついて健康を支えてくれている、とても身近な存在の菌のことです。
名前が示すとおり、特別なときだけでなく、普段の生活の中でも常にそこにいてくれる存在だと言えます。
特別なケアをしなくても、規則正しい生活と発酵食品を意識した食事を心がけるだけで、常在菌はいつも元気に働いてくれます。
反対に、抗生物質の使いすぎや過度な除菌・殺菌は、常在菌にとって大きな負担になってしまうことも覚えておきましょう。
常在菌の存在を正しく知り、無理なく上手に付き合っていくことが、これからの健康づくりを支える確かな第一歩になるはずです。
目には見えない小さな菌たちのはたらきに、日々の生活の中で少しだけ意識を向けてみてください。