「棚割」の読み方とまず知っておきたい意味
「棚割」は「たなわり」と読みます。
「棚割」とは、お店の棚にどの商品を、どれくらいの数、どの位置に並べるかを決める計画のことです。
いわば売り場の設計図のような存在です。
スーパーやコンビニでいつも目にする整然とした商品の並びには、実はこうした計画がきちんと存在しています。
何気なく手に取っている商品の位置にも、きちんとした理由があるのです。
この言葉は主に小売業や流通業で使われ、スーパー、コンビニ、ドラッグストアなど商品を陳列して販売するあらゆる業態で耳にする専門用語です。
メーカーの営業担当者や売り場を管理するバイヤーにとっても、日常的に使う基本の言葉となっています。
たとえばコンビニのレジ横に並ぶお菓子や、スーパーの飲料コーナーにずらりと並ぶペットボトルも、あらかじめ決められた棚割にもとづいて配置されています。
入り口近くの季節商品やレジ前の小さなお菓子のように、お客さまの動きを踏まえて配置が決められている場所も少なくありません。
「陳列」という言葉と似ていると感じる人もいますが、陳列は商品を実際に並べる作業そのものを指すのに対し、棚割はその前段階として配置の計画を立てることを指す言葉です。
両者は密接に結びついていますが、計画を指すか作業を指すかという点に違いがあると理解しておくと、言葉の使い分けがしやすくなります。
「棚割」とは具体的に何を決める作業か
「棚割」という作業では、棚に並べる商品の種類、それぞれの数量、そして置く位置という三つの要素を具体的に決めていきます。
たとえば「この段にはA社の商品を三つ、隣にはB社の商品を二つ」というように、棚の一区画ごとに細かく割り振っていくのです。
決めた内容は図面として表されることが多く、どの棚のどの段に何を置くかが一目でわかるようになっています。
この図面があることで、本部の担当者と各店舗のスタッフが同じイメージを共有しながら売り場をつくることができます。
棚割は売り場づくりの土台にあたる作業であり、品出しや陳列のやり方そのものを方向づける重要な工程として位置づけられています。
たとえばドラッグストアの日用品売り場であれば、「このシャンプーは上段に三個、リンスはその下に二個」といった形で、商品一つひとつの位置と数が細かく決められています。
こうした棚割の情報には、商品をどの向きで置くか、パッケージの正面をお客さまに見せるかといった陳列の細部まで書き込まれることもあり、どの店舗でスタッフが作業しても同じような売り場の見た目に仕上がるよう、作業のばらつきを防ぐ役割も担っています。
「棚割」という言葉の由来・成り立ち
「棚割」は「棚」と「割り」という二つの言葉が組み合わさってできた言葉です。
「棚」は商品を置く陳列棚そのものを指し、「割り」は何かを区分したり配分したりすることを意味する言葉です。
つまり「棚割」とは、棚というスペースを商品ごとに割り振るという、言葉の成り立ちそのままの意味を持っています。
「割り」という言葉は「役割」や「割り当て」といった表現にも使われており、何かを分配するという感覚が共通していると言われています。
この言葉は小売業が規模を拡大し、売り場づくりを計画的に行う必要が生まれていく中で、業界用語として定着していったと考えられています。
日本語には「時間割」や「席割り」のように、限られた枠を目的に応じて振り分ける際に「割り」という言葉を使う表現が古くから存在しており、「棚割」もこうした言葉の使い方の流れを受け継いでいると考えられます。
小売業が個人商店から大型のチェーン展開へと広がっていく過程で、複数の店舗で統一した売り場をつくる必要性が高まり、棚割という考え方や言葉が業界内で広く共有されるようになったとされています。
言葉自体はシンプルですが、その背景には小売業の発展の歴史が重なっています。
「棚割」が売り場で行われる目的
棚割を行う一番の目的は、売上を伸ばし、お客さまの購買意欲を高めることにあります。
商品の配置をほんの少し工夫するだけでも、手に取られる回数が変わってくるため、棚割は力を入れられる作業なのです。
また、欠品や過剰在庫を防ぐという目的も欠かせません。
よく売れる商品にはしっかりスペースを確保し、動きの少ない商品は量を抑えることで、在庫のムダを減らすことができます。
さらに、お客さまが目的の商品をすぐに見つけられるようにすることも、棚割の大切な役割です。
探しやすい売り場は、お客さまの満足度にも直結します。
関連する商品を近くに置くことで、ついで買いを促す効果も見込まれています。
たとえばパスタの近くにパスタソースを置く、歯ブラシの近くに歯磨き粉を置くといった工夫は、多くの売り場で見られる棚割の工夫のひとつです。
こうした細やかな配置の工夫が積み重なることで、お客さま一人あたりの購入金額を高めることにもつながり、棚割は売り場全体の収益性を左右する重要な要素として位置づけられています。
「棚割」を決める際に考慮される要素
棚割を決める際には、POSデータなどから分かる商品の売れ行き情報がまず重視されます。
よく売れている商品を優先的に目立つ場所へ置くことで、さらに売上を伸ばすことができるからです。
季節性やそのときどきのトレンドを反映させることも、大切な視点のひとつです。
夏は冷たい飲料を増やし、冬はホット商品を増やすといった調整は、多くの売り場で日常的に行われています。
人の目線が届きやすく手も伸ばしやすい、いわゆるゴールデンゾーンへの配置や、競合する商品どうしの並べ方にも細かな配慮がなされています。
店舗の規模や立地によっても、最適な棚割は変わってきます。
たとえば学生の多いエリアの店舗では軽食や飲料を充実させ、住宅街の店舗では家庭用の大容量商品を増やすといった具合に、地域やお客さまの特性に応じた調整が行われています。
さらに、新商品の発売キャンペーンやメーカーとの販促契約といった事情が棚割に反映されることもあり、単純な売れ行きだけでなく、さまざまな事情を踏まえたバランスの取れた判断が求められます。
「棚割」が作られるまでの流れ
棚割はいきなり出来上がるものではなく、いくつかの段階を踏んで作られていきます。
まず行われるのは、売上データや市場の動向を分析する作業です。
どの商品がどのくらい売れているか、お客さまの購買傾向はどうかといった情報を丁寧に読み解いていきます。
分析結果をもとに、棚割図と呼ばれる図面を使って具体的な配置を設計していきます。
最後に実際の店舗で試してみて、売れ行きなどの効果を検証しながら必要に応じて見直しを重ね、より良い棚割へと近づけていくのです。
この一連の流れは一度きりで終わるものではなく、分析から設計、検証までのサイクルを繰り返しながら、より精度の高い棚割へと少しずつ近づけていく継続的な取り組みとして行われています。
店舗によって売れ行きの傾向が異なることも多いため、同じ棚割をすべての店舗にそのまま当てはめるのではなく、エリアごとの特性を踏まえて細部を調整する作業が加わることもあります。
「棚割」に関連して使われる専門用語
「棚割」の現場には、他の業務ではあまり耳にしない独特の専門用語がいくつも登場し、知っておくと現場の話がぐっと理解しやすくなります。
まず基本となるのが、どの商品をどの位置に置くかを図や表に書き起こした「棚割表」や「棚割図」と呼ばれる資料です。
棚割表は売り場づくりの設計図ともいえる、現場で欠かせない資料になっています。
次に覚えておきたいのが「フェイス数」という考え方で、同じ商品を横に並べて陳列する個数のことを指します。
このフェイス数を増減させて商品の見え方を調整する作業は「フェイシング」と呼ばれ、売れ行きとのバランスを見ながら行う棚割の基本テクニックです。
さらに、棚の中でも目線や手の届く範囲にあって最も商品が選ばれやすい高さのことは「ゴールデンゾーン」と呼ばれ、主力商品や利益率の高い商品を優先して配置する場所になります。
ほかにも、売れ行きの良い商品を指す「売れ筋」、売れ行きの悪い商品を指す「死に筋」といった言葉も、棚割を検討する際によく一緒に使われる用語です。
加えて、どの商品をどのカテゴリーに分類して売り場をつくるかという考え方は「カテゴリーマネジメント」と呼ばれ、棚割を検討する際の大きな方針として取り入れられることもあります。
これらの用語はそれぞれ単独で使われるだけでなく、実際の現場では組み合わさって使われることが多く、たとえば「売れ筋商品のフェイス数を増やしてゴールデンゾーンに配置する」といったように、一連の判断の中で結びついて登場します。
「棚割」を担当する人や使われるツール
「棚割」を実際に組み立てるのは、小売店で商品の仕入れや売り場づくりを担当する「バイヤー」や「マーチャンダイザー」と呼ばれる人たちです。
売上データや季節性を踏まえながら、どの商品をどこに置くかを決めていくのが彼らの重要な仕事のひとつです。
メーカー側の営業担当者が棚割の提案に加わることも多く、商品の特長や販促データを示しながら配置を提案する場面もよく見られます。
近年では、棚割を作成するための専用システムやソフトウェアを導入している企業も増えています。
こうしたツールを使うと、商品の売上データを取り込みながら棚の配置をシミュレーションでき、効率よく精度の高い棚割を作成できます。
最終的に棚割を決めるのは小売店側ですが、メーカーと小売店が協議しながら双方の納得できる形に調整していくのが実務の一般的な流れです。
こうした棚割作成システムの多くは、売り場の寸法や棚のサイズをあらかじめ登録しておくことで、実際の棚の大きさに合わせたシミュレーションができるようになっており、現場に出る前に配置の見栄えを画面上で確認できる点が大きな利点とされています。
メーカーの営業担当者にとっても、棚割の提案は重要な仕事のひとつであり、自社商品のデータや販促資料を用意して小売店のバイヤーと交渉する場面は、日々の営業活動の中でもよく見られる光景です。
「棚割」の使い方がわかる例文
- 【例文1】来月から新しいドリンクの棚割を見直すので、会議で案を出し合いましょう
- 【例文2】新商品のフェイス数を増やすよう棚割を変えてもらえますか
- 【例文3】この棚割表は担当者が先週作成してくれたものです
- 【例文4】本資料は第3四半期における菓子売り場の棚割変更案をまとめたものです
- 【例文5】新商品の発売に合わせて、来週から店舗の棚割を変える予定です
- 【例文6】このスーパーではカテゴリーごとに棚割するルールが徹底されています
例文1と例文2のように、「棚割」はビジネスの会話の中でも日常的に使われる言葉で、会議や商談の場面で頻繁に耳にします。
例文3と例文4は資料や報告書での使い方を示したもので、「棚割表」「棚割変更案」のように他の言葉と組み合わせて名詞として使われることが多いのも特徴です。
例文5と例文6のように「棚割を変える」「棚割する」といった動詞的な使い方もよく見られ、現場の状況に応じて柔軟に言い換えられる便利な言葉だといえます。
こうした例文からもわかるように、「棚割」という言葉は特定の業種に限らず、小売店の店頭はもちろん、メーカーの営業資料や社内会議の議事録など、さまざまな文書や場面で広く使われている言葉です。
特に「棚割を見直す」「棚割を変更する」「棚割を検討する」のように、動詞と組み合わせた言い回しは実務の会話で頻出するパターンであり、覚えておくと社内のやり取りの意味がスムーズに理解できるようになります。
「棚割」を見直す際のポイントと注意点
「棚割」は一度決めたら終わりではなく、売れ行きや季節の変化に合わせて定期的に見直すことが欠かせません。
特に新商品が発売されたタイミングや、季節商品が入れ替わるタイミングは見直しの好機とされています。
見直しの際に注意したいのは、担当者の思い込みや好みだけで配置を決めてしまわないことです。
売上データや購買データといった客観的な根拠に基づいて判断することが、精度の高い棚割につながります。
また、棚割を変更したあとは、その効果を測定することも忘れてはいけません。
変更前後の売上を比較し、狙った効果が出ているかを確認することで、次の見直しにも活かせる改善サイクルが生まれます。
こうした検証を積み重ねていくことが、長い目で見て売り場全体の売上を伸ばすことにつながります。
見直しの頻度についても、年に数回決まったタイミングで行う場合もあれば、売れ行きの変化に応じて随時対応する場合もあり、業態や取り扱う商品のジャンルによってやり方はさまざまです。
また、棚割の変更は店舗スタッフの作業負担にも直結するため、変更内容を現場にしっかり共有し、無理のないスケジュールで進めることも、見直しをスムーズに行ううえで欠かせない配慮といえます。
「棚割」についてのまとめ
- 「棚割」は「たなわり」と読み、売り場の商品配置を決める作業を指します。
- 棚を割り振るという言葉の成り立ちが、そのまま作業の意味につながっています。
- 売上や顧客満足度を高める目的のもと、棚割表やフェイス数など専門知識を駆使して行われます。
- バイヤーや専用システムが活用され、データに基づいた定期的な見直しが欠かせません。
ここまで、「棚割」という言葉に関連する専門用語や、担当する人・使われるツール、使い方や見直しのポイントについて見てきました。
「たなわり」という読み方と、棚を割り振って商品配置を決めるという基本の意味、そして売上を伸ばすための目的を押さえておけば、ビジネスの会話や資料の中で出てきても戸惑わずに理解できるはずです。
売り場づくりやマーチャンダイジングに関わる機会があれば、今回学んだ専門用語やデータに基づく見直しの考え方を、ぜひ実務に活かしてみてください。
普段何気なく目にしている売り場の棚も、裏側にはこうした緻密な計画と検証が積み重ねられています。
「棚割」という言葉の意味を知ることで、お店に足を運んだときの視点が少し変わってくるかもしれません。