「後ろ倒し」とは?意味や例文や読み方や由来について解説!

「後ろ倒し」の読み方

「後ろ倒し」は「うしろだおし」と読みます。

この言葉に関して、辞書に載っている読み方は「うしろだおし」のひとつだけです。

「後」という漢字には「あと」という読み方もあり、「後払い(あとばらい)」や「後回し(あとまわし)」といった言葉に慣れている分、「後ろ倒し」も「あとだおし」と読んでしまう方が少なくありません。

しかし辞書を引いても「あとだおし」という読みは載っておらず、これは広く認められた読み方ではありません。

さらに「倒し」は単独では「たおし」と読みますが、「後ろ」に続くと連濁して「だおし」と濁るため、「うしろたおし」と読んでしまわないよう注意も必要です。

濁点の有無だけで印象が変わる言葉なので、声に出すときは特に気をつけたいポイントです。

「後ろ」も「倒し」もどちらも訓読みにあたるため、音読みと訓読みが入り混じった読み方ではありません。

新聞記事やビジネス文書でも、使われているのは一貫して「うしろだおし」という読みだけで、訓読みのみで構成されたすっきりとした言葉です。

会議やメールなど改まった場面で使うことも多い言葉だからこそ、読み間違いのないようにしっかり覚えておきたいところです。

「後ろ倒し」の意味

「後ろ倒し」とは、もともと決まっていた予定や日程を、当初よりも遅らせることを意味する言葉です。

日付や時刻そのものを後ろにずらすという、具体的でわかりやすい動きを表しています。

たとえば会議の開始時刻を30分遅らせたり、商品の発売日を1か月先に延ばしたりするときに使われます。

納期やイベントの開催日、プロジェクトの締め切りなど、何らかの期日が設定されているものであれば幅広く使える言葉です。

この言葉は「前倒し」と対になる関係にあり、スケジュールを早める動きを表す「前倒し」に対して、「後ろ倒し」はその逆方向の動きを表しています。

言い換えれば、時間軸を未来の方向にずらす動きそのものを指していると考えるとわかりやすいでしょう。

単に「遅れる」と言うのとは違い、関係者の合意のもとで計画的にスケジュールを調整し直すというニュアンスが含まれている点が特徴です。

誰かの都合や準備状況を前向きに補うための調整として使われることが多いのも特徴のひとつです。

そのため、天候不順や事故といった不可抗力によるトラブルよりも、社内都合や準備状況を踏まえた意図的な調整の場面でよく使われる傾向があります。

会議やプロジェクトの現場では、日常的に飛び交う言葉のひとつといえるでしょう。

「後ろ倒し」は、予定をなくすことではなく、あくまで実施する前提を保ったまま時期だけを動かす言葉である点も押さえておくと、意味を取り違えにくくなります。

「後ろ倒し」と「前倒し」の違い

「後ろ倒し」と「前倒し」は、どちらも「予定を動かす」ことを表す言葉ですが、動かす方向だけが正反対になっています。

この二つは対義語の関係にあり、セットで覚えておくと理解がぐっと深まります。

「前倒し」は予定を本来の日程よりも早めることを指し、「後ろ倒し」は反対に予定を本来の日程よりも遅らせることを指します。

例えば発売日を早めるなら「前倒し」、延期するなら「後ろ倒し」というように、時間軸上でどちら向きに動かすかによって使い分けます。

この二つの言葉はセットで使われることも多く、「会議を前倒しにする」「納期を後ろ倒しにする」のように、同じ文型の中で方向だけを入れ替えて使うことができます。

ビジネスの現場では、どちらも頻繁に登場する実用的な表現です。

注意したいのは、「後ろ」という言葉の響きから「後回しにする」「急いで片付ける」といった曖昧なイメージで誤用されてしまうことがある点です。

正しくは、日程を遅らせる場合にのみ使う言葉だと覚えておきましょう。

方向を取り違えると意味が正反対になってしまうため、特にビジネスメールなど誤解が許されない場面では、どちらの言葉を使うべきかを一度立ち止まって確認する習慣をつけておくと安心です。

実際のビジネスシーンでは、「前倒し」は納期や作業を早めることで余裕を生み出すポジティブな調整として歓迎されやすい一方、「後ろ倒し」は準備不足や都合を理由にした調整と受け取られやすく、伝え方次第で印象が大きく変わる点も押さえておきたいところです。

英語で表現する場合、「前倒し」は「move up」や「bring forward」、「後ろ倒し」は「postpone」や「push back」のように訳し分けられることが多く、方向性の違いがそのまま言葉選びに表れています。

「後ろ倒し」という言葉の由来

「後ろ倒し」は、先に広く使われるようになった「前倒し」という言葉から派生して生まれた表現だと言われています。

もともと一つの言葉だったわけではなく、既存の言葉に対する形で後から作られた言葉だという点が特徴です。

「前倒し」は、予定を早めに進めるという意味の言葉で、工事や作業の進行を早めることを指す言葉として使われ始めたと言われています。

この「前倒し」が行政の予算執行やビジネスの現場にも浸透していく中で、反対の動きを表す言葉として「後ろ倒し」が自然に作られていったと考えられています。

ここで使われている「倒す」という漢字は、物を倒す動作のイメージが時間の流れの中で予定を前後に動かす様子と重なり、比喩的な表現として定着したと言われています。

予定という目に見えないものを、まるで棒を前後に倒すように動かすイメージです。

その後、企業の経営計画やプロジェクトのスケジュール管理といった場面で頻繁に使われるようになり、新聞やニュースでも広く見かける表現として定着していきました。

もともとは行政や財政の専門的な場面で使われていた言葉が、やがてビジネスの現場や日常会話にも広がっていったという点で、言葉の広がり方としても興味深い例といえるでしょう。

使われ始めてからまだ日が浅いぶん、今も使われ方が少しずつ変化している言葉だと考えられます。

「前倒し」自体は、予算を年度の早い時期に前もって使う「予算の前倒し執行」といった行政用語として広まったとされ、本来は会計や予算の分野に根差した言葉だったと考えられています。

「後ろ倒し」の基本的な使い方

「後ろ倒し」は、「〜を後ろ倒しにする」「〜が後ろ倒しになる」という形でよく使われます。

この二つの言い回しを使い分けられると、より自然な文章になります。

「会議を後ろ倒しにする」のように、自分や周囲の意思で予定を動かす場合は「〜を後ろ倒しにする」という形を使います。

一方で「開催日が後ろ倒しになった」のように、結果として予定が動いたことを伝える場合は「〜が後ろ倒しになる」という形がよく使われます。

また、「後ろ倒しする」「後ろ倒しされる」のように、名詞に「する」をつけて動詞のように使うこともできます。

「後ろ倒しにする」と「後ろ倒しする」はほぼ同じ意味で使われますが、「後ろ倒しにする」のほうがやや丁寧で書き言葉的な響きを持っています。

この言葉の主語や目的語になりやすいのは、日程・会議・納期・開催日・締め切りといった、期日が定められているものです。

逆にいえば、何らかの期日とセットになっていなければ使いにくい言葉だといえます。

反対に、人の性格や気持ちのように期日と結びつかないものには使わないため、「気分を後ろ倒しにする」といった表現は基本的に不自然な使い方になります。

また「一週間後ろ倒しにする」「来月に後ろ倒しする」のように、ずらす期間や新しい時期を具体的な言葉とセットで示すことで、単に「遅らせる」とだけ伝えるよりも状況が相手に伝わりやすくなります。

ビジネスシーンでの「後ろ倒し」の使い方

ビジネスの現場では、会議の時間や納期を変更する際の連絡に「後ろ倒し」がよく使われます。

変更を伝える表現の中でも、比較的よく使われる定番の言い回しです。

「来週の定例会議を後ろ倒しにしたいのですが」「納期を1週間後ろ倒しさせていただけますでしょうか」のように、相手にスケジュールの変更を打診する場面で頻繁に登場する表現です。

上司や取引先に伝える際には、「後ろ倒し」という言葉だけで終わらせず、理由や新しい日程をあわせて伝えることで、丁寧で誠実な印象を与えることができます。

一方的な都合による変更だと受け取られないよう、言葉選びには気を配りたいところです。

「恐れ入りますが」「大変申し訳ございませんが」といったクッション言葉を添えると、一方的な印象を和らげることができます。

メールや報告書では「〜の件につきまして、日程を後ろ倒しとさせていただきたく存じます」のようにやや硬めの表現を使う一方、口頭での報告では「ちょっと後ろ倒しになりそうです」のようにやわらかく使われることもあり、場面に応じて言葉の硬さを調整できる便利な表現です。

また社内のチャットツールなど、よりカジュアルなやり取りの場では「ちょっと後ろ倒しでお願いします」のように軽い依頼表現として使われることもあり、相手との関係性や使う媒体に応じて言葉の硬さを調整できる柔軟さも、この言葉がよく使われる理由のひとつです。

特に取引先など社外の相手に伝える場合は、後ろ倒しにする期間を明確にし、いつまでに最終的な対応を完了させるのかをあわせて伝えることで、単なる先延ばしではなく責任ある調整であることが伝わりやすくなります。

ニュースや日常会話での「後ろ倒し」の使われ方

「後ろ倒し」という言葉は、ビジネスメールの中だけで使われる表現ではありません。

新聞やテレビのニュース原稿にもたびたび登場し、行政からの発表を伝える際によく使われています。

学校行事に関する報道では、感染症の流行や猛暑の影響で運動会や修学旅行の時期が後ろ倒しになったと伝えられることがよくあります。

選挙の投開票日の変更や、スポーツ大会の日程調整を伝える時事ニュースの中でも、「後ろ倒し」はすっかり定着した表現として使われています。

一方で友人同士の気軽な会話の中でも、予定の変更を伝えるくだけた言い回しとして「後ろ倒し」が使われることが珍しくありません。

気象庁の発表や自治体の広報でも、台風や豪雨の影響で工事や行事のスケジュールが後ろ倒しになったという表現が使われており、生活に身近な話題として見聞きする機会は少なくありません。

このように改まった報道から気軽な雑談まで同じ言葉がそのまま使えるのは、「後ろ倒し」が特定の業界だけの専門用語ではなく、幅広い世代に浸透した汎用性の高い表現になっているからだといえるでしょう。

「後ろ倒し」を使った例文

  • 【例文1】プロジェクトの納期を一週間ほど後ろ倒しにしていただけないでしょうか
  • 【例文2】本日の会議の開始時刻を30分ほど後ろ倒しにさせてください
  • 【例文3】今度の飲み会の予定、来週の金曜日に後ろ倒しにしない
  • 【例文4】悪天候のため、花火大会の開催日は来月に後ろ倒しとなりました
  • 【例文5】市は小学校の運動会の日程を一週間後ろ倒しにすると発表しました
  • 【例文6】資料の提出期限が後ろ倒しになったので、少し余裕ができました

こうして並べてみると、「後ろ倒し」はかしこまったビジネスメールから友人同士のくだけた会話まで、幅広い場面で使われる言葉だとわかります。

目上の相手に使う際は「〜していただけないでしょうか」のような依頼表現と組み合わせると、ぐっと丁寧な印象になります。

ニュース調の例文では「〜となりました」「〜と発表しました」のように、客観的で落ち着いた言い方になっている点も覚えておきましょう。

また例文4や例文5のように、主語が「花火大会」や「市」など人以外のものになる場合は、「〜となりました」「〜と発表しました」という形で淡々と事実を伝える言い回しが選ばれやすい傾向があります。

「後ろ倒し」の類語・言い換え表現

「後ろ倒し」と似た意味を持つ言葉に、「延期」「先送り」「繰り下げ」などがあります。

「延期」は期日をあとに延ばすことを指す言葉で、「後ろ倒し」よりも古くから使われてきた一般的な表現です。

「先送り」は問題や課題への対応をあとにまわすという意味合いが強く、やや消極的な印象を与えることがあります。

「繰り下げ」は時間や順位を一つずつあとにずらすイメージで使われることが多く、「後ろ倒し」よりもややフォーマルな響きを持つ言葉です。

格式を重んじる公式文書では「延期」や「繰り下げ」を選び、社内の気軽なやり取りでは「後ろ倒し」を使うといった使い分けが実用的だと言えます。

このほかにもスポーツ大会や野外イベントで天候を理由に日程をずらす場合には「順延」という言葉がよく使われ、これは不可抗力によって予定が動く場面に限定して使われることが多い点で、人の都合による調整を表す「後ろ倒し」とは少し性質が異なります。

こうした類語とのニュアンスの違いを意識しながら言葉を選ぶことで、文章全体の印象をより的確にコントロールできるようになります。

「後ろ倒し」を使う際の注意点

「後ろ倒し」は便利な言葉ですが、使い方によっては相手にネガティブな印象を与えてしまうことがあります。

予定の変更を伝える際は、理由や今後の見通しを添えて丁寧に説明することを心がけましょう。

一つの文章や会話の中で「後ろ倒し」を何度も繰り返すと、単調でくどい印象を与えてしまうので注意が必要です。

もともとは話し言葉に近いカジュアルな表現なので、格式の高い文書では「延期」などに置き換えたほうが無難な場合もあります。

場面に応じて言葉を選ぶ意識を持つことで、「後ろ倒し」をより自然に使いこなせるようになります。

また「後ろ倒し」はあくまで日程を調整するための言葉であり、作業の内容そのものを省略したりなかったことにしたりする意味は含まれていません。

そのため予定を後ろ倒しにした場合でも、最終的にいつ何を完了させるのかという着地点をあわせて示しておくことで、相手に安心感を与える伝え方になります。

「後ろ倒し」のまとめ

まとめ
  • 「後ろ倒し」は「うしろだおし」と読みます。
  • 予定や期日をあとの時期にずらすことを意味します。
  • 「前倒し」とは逆方向の意味を持つ対になる言葉です。
  • ビジネスからニュース、日常会話まで幅広く使われます。

ここまで「後ろ倒し」の意味や使い方、類語との違いについて見てきました。

「後ろ倒し」は「前倒し」とセットで覚えておくと、意味の対比がはっきりして記憶に残りやすくなります。

日常の会話からビジネスメールまで、それぞれの場面に合わせて丁寧に使い分けていきましょう。

似た意味を持つ「延期」「先送り」「繰り下げ」といった言葉とのニュアンスの違いもあわせて押さえておくと、場面に応じてより的確な表現を選べるようになるでしょう。