「症状」とは?意味や例文や読み方や由来について解説!

「症状」という言葉の意味を解説!

「症状」とは、病気やけがなどの身体的・精神的な異常が、患者自身や第三者に観察できる形で現れた具体的な現象を指す言葉です。医師がカルテに記載する際は、患者が自覚して訴える「自覚症状」と、医療者が診察や検査によって確認する「他覚症状」を分類して扱います。発熱や咳、痛みなどの身体的現象だけでなく、不安感や倦怠感といった精神的な状態も含まれる点が特徴です。

症状は疾患の存在を示す手がかりとなり、診断や治療方針の決定に欠かせません。例えば咳という症状は風邪や肺炎、アレルギーなど多岐にわたる原因を示す可能性を持っています。そのため、症状を正確に表現し医療者に伝えることは、早期発見・早期治療に繋がる大切なプロセスです。

「症状」の読み方はなんと読む?

「症状」は「しょうじょう」と読みます。漢字の成り立ちを分解すると、「症」は“病気”や“しこり”を意味する「疒(やまいだれ)」と「正しい」を示す「正」から構成され、「病気の正体」を示す象形的な意味合いがあります。「状」は“姿”や“形”を表す漢字で、両者が合わさることで「病気が外に現れた姿」を端的に示す熟語となりました。

読み方は「しょうじょう」と清音で発音され、日常生活はもちろん、正式な医療文書や報道でもそのまま使われます。なお、「症状」の語感が似た単語として「症候(しょうこう)」が挙げられますが、こちらは複数の症状が組み合わさった“まとまり”を指す点で使い分けが必要です。

「症状」という言葉の使い方や例文を解説!

症状は日常会話から専門的な診療録まで幅広く利用されます。使い方のコツは、症状の内容・開始時期・程度を具体的に述べることです。医療機関での受診時に「どのような症状がありますか」と尋ねられた場合、発熱・咳・頭痛といった具体的な語を並べることで診断精度が高まります。抽象的な「体調が悪い」よりも、症状を細かく伝えることで適切な医療を受けやすくなります。

【例文1】頭痛の症状が昨日の夜から続いている。

【例文2】くしゃみと鼻水の症状がひどく、花粉症かもしれない。

また、ビジネス文書や報道では「〇〇患者の主な症状は発熱と倦怠感だ」のように、複数名の患者で共通してみられる現象をまとめて記述するケースもあります。

「症状」という言葉の成り立ちや由来について解説

「症状」は中国医学の古典に由来する熟語で、日本には奈良時代から平安時代にかけて医学知識とともに伝来したと考えられています。「症」はもともと“できもの”や“しこり”を表し、「状」は“姿・状態”を表したことから、病変の外に表れた状態を示す言葉として定着しました。つまり「症状」という漢字の組み合わせには、病気の存在を目で確認できる形に置き換えるという思想が込められています。

江戸時代には漢方医学が発達し、「証(しょう)」と「症状」の概念が区別されました。「証」は証拠やパターンを示す診断概念で、「症状」はその証を構成する個々の現象を指すという位置づけでした。現代医学でも、症状は原因究明への第一歩として扱われるという考え方が受け継がれています。

「症状」という言葉の歴史

古代中国の医学書『黄帝内経』には、すでに症状を細かく分類し診断の基点とする記述が見られます。それが遣唐使や僧侶を通じて日本へ伝わり、平安時代の医書『医心方』に取り入れられました。江戸時代の蘭学の影響で西洋医学の概念が紹介されると、症状の観察に解剖学や病理学の知見が加わり、客観性が高まりました。明治以降、ドイツ医学が導入されると「症状学」という学問分野が整備され、今日の臨床医学の礎となりました。

戦後は英語の「symptom」が「症状」と翻訳され、国際的にも同一概念として扱われるようになりました。現在でも医学教育では症状学が必修科目となっており、看護学や薬学など他分野にも波及しています。

「症状」の類語・同義語・言い換え表現

症状と近い意味を持つ言葉には「徴候(ちょうこう)」「兆候(ちょうこう)」「病状(びょうじょう)」「症候(しょうこう)」などがあります。これらは似ていても使い分けが重要で、例えば「徴候」は検査数値なども含めた“異常のサイン”を指し、「症状」は患者が訴える現象に焦点を当てます。

「病状」は病気の進行具合を示す広い概念であり、治療経過の説明に使われます。「兆候」は症状が出始める前段階を含み、予防医学や公衆衛生の文脈で活躍します。「症候」は複数の症状が組み合わさった総体を指し、「症候群(シンドローム)」という形で疾患名に取り込まれることもあります。文脈や目的に応じて適切な語を選ぶことが、情報伝達の精度を高めるポイントです。

「症状」の対義語・反対語

症状の明確な対義語としては「健康」「平常」「無症状(むしょうじょう)」が挙げられます。とりわけ「無症状」は医学的に重要な概念で、感染症の拡大防止や検診の必要性を語る際に欠かせない言葉です。

「健康」は疾患が存在しない理想的な身体・精神状態を指しますが、WHO憲章では単に病気がないだけではなく“肉体的・精神的・社会的に完全に良好な状態”と定義されています。「平常」は変化や異常が認められない通常状態を示す日常的な表現です。これらの語を対比させることで、症状が持つ“異常のサイン”としての意味がより際立ちます。

「症状」と関連する言葉・専門用語

医療現場では症状を記述する専門用語が数多く用いられます。例えば「疼痛(とうつう)」は痛み全般を表す医学用語で、「咽頭痛」「胸痛」など部位ごとに詳細化されます。「倦怠感(けんたいかん)」は“だるさ”を示し、甲状腺機能低下症や貧血などの鑑別に役立ちます。また「悪寒(おかん)」は“寒気”を意味し、発熱前の典型的な症状として知られています。

診断学では「主要症状(メインシンプロム)」と「随伴症状(アソシエイテッドシンプロム)」を区別し、主要症状が病名決定の核心になります。電子カルテではSNOMED CTなどの標準用語集が導入され、症状を国際的に統一したコードで管理する流れが加速しています。

「症状」についてよくある誤解と正しい理解

「症状がないから健康だ」という誤解は根強く存在します。無症候性の疾患として高血圧や糖尿病、初期がんなどがあり、検診による早期発見の重要性が指摘されています。自覚症状が現れた時点では病気が進行しているケースも多く、症状の有無だけで健康を判断するのは危険です。

また、「同じ症状=同じ病気」と考えるのも誤解の一つです。咳は風邪だけでなく、喘息や心不全、逆流性食道炎でも生じます。症状はあくまで“手がかり”であり、診断には診察・検査・病歴聴取が不可欠です。インターネット検索による自己診断は便利ですが、専門家の評価を置き換えるものではない点を理解しましょう。

「症状」という言葉についてまとめ

まとめ
  • 「症状」とは、病気やけがによる身体的・精神的異常が外に現れた具体的な現象を指す言葉。
  • 読み方は「しょうじょう」で、漢字の組み合わせが病気の“姿”を示す。
  • 古代中国医学から受け継がれ、明治以降は西洋医学と融合して現在の概念が確立した。
  • 無症状でも病気が潜む可能性があり、症状の有無だけで健康を判断しないことが重要。

症状は医学と日常生活を結ぶキーワードであり、適切に理解し活用することで健康管理に大きく役立ちます。自覚症状を正確に言語化し、医療者に共有する姿勢が早期発見・早期治療への第一歩です。

一方で、症状はあくまで異常のサインであって病名そのものではありません。自己判断に頼りすぎず、定期的な検診や専門家の診断を受けることで、無症状の疾患リスクを抑えられます。正しい知識を持ち、症状と上手に付き合っていきましょう。