「自給」とは?意味や例文や読み方や由来について解説!

「自給」という言葉の意味を解説!

「自給」とは、必要とする物資やエネルギーを外部に依存せず自分で賄うことを指す言葉です。主に食料や生活必需品を自前で生産・調達する行為を示し、そこから派生して国や地域が国内生産だけで需要を満たす場合にも用いられます。エネルギーや水資源など多様な分野に適用でき、「食料自給率」「エネルギー自給」などの形で使われることが一般的です。

「完全な自給」を達成するには、栽培・加工・保管・再生産といった多面的な技術と労力が欠かせません。家庭菜園で野菜を作る段階でも自給の一部は成立しており、規模の大小を問わず「外から買わずに内で賄う」のがコア概念です。

現在は地球温暖化やサプライチェーンの不安定化が進む中で、災害時の備えや環境負荷軽減策として自給の価値が再認識されています。特に食料自給は「安全な食を自ら守る」行為として注目され、都市圏でもベランダ菜園や共同農園が広がっています。

「自給」の読み方はなんと読む?

「自給」はひらがなで「じきゅう」と読み、ローマ字では jikyū と表記します。漢字の組み合わせにより「自(みずから)」と「給(あたえる・供給)」が結び付くため、「じきゅう」が最も自然な音になります。

「じきゅう」と読む漢字には「時給」もあるため、アルバイトの時給と混同されがちです。「自給」は“自ら供給する”の意、「時給」は“時間当たりの給与”で意味が全く異なるので注意しましょう。

古典的には「じきふ」と読む例も辞書に見られますが、現代の日常語ではまず用いられません。書き言葉でも「自給率」「自給自足」と熟語化して用いられることが多く、単独で「自給」と書くと抽象度が高い印象を与えます。

「自給」という言葉の使い方や例文を解説!

自給は名詞として使うのが基本で、「〜を自給する」「〜の自給率」といった語法が典型的です。形容詞的に「自給的生活」「自給農家」のように連体修飾語として用いるケースも頻出します。

「自給自足」は自給を強調する四字熟語で、必要なものをすべて自分でまかない、外部にほとんど依存しない暮らしを表します。この四字熟語のおかげで「自給」が単独でも通じやすくなっています。

【例文1】災害時に備えて家庭で電力を自給できるよう、太陽光パネルを設置した。

【例文2】政府は食料自給率を向上させるために有機農業への支援を拡充した。

文章にする際は「自給率○%」のように数値と結び付けると具体性が増し、読み手に伝わりやすくなります。さらに「部分的自給」「地域自給」といった限定表現を加えれば、実態に沿ったニュアンスが示せます。

「自給」という言葉の成り立ちや由来について解説

「自給」は中国古典に源流があり、漢籍では「自ら給す」「自給自足」などの形で登場します。二字ともに常用漢字で、「自」は“おのれ”“自分で”を表し、「給」は“満たす”“与える”の意を持つため、構造的にも意味が直感的に理解できる熟語です。

日本語としては奈良時代の律令制文書にも散見され、当初は寺院や荘園が自前で資材を調達する行為を示していました。やがて江戸期の農書で各農家が「自給」する作物一覧がまとめられるなど、農業分野で日常語化した歴史があります。

明治以降は工業化・貿易拡大に伴って「自給率」が政策用語として定着し、第二次世界大戦期には戦時体制下での食料・燃料確保の文脈でも頻繁に用いられました。このように、時代ごとの社会状況を映し出す用語でもあります。

「自給」という言葉の歴史

古代中国で生まれた概念が日本へ伝来した後、平安期には宮廷や寺社の蔵で「自給物資」を整える慣習が記録されています。中世になると荘園領主が農民に自給を奨励し、米や麦以外の畑作物を育てることで飢饉対策を図りました。

江戸時代は年貢制度により生産物の多くを納める仕組みでしたが、村落共同体では副食を自給し、保存食文化が花開きました。明治政府は近代国家の食糧安全保障を確立するため「国民皆兵」と並行して「穀物自給率」を重視し、統計を整備しました。

戦後の高度経済成長期には貿易自由化で自給割合が低下し、1970年代のオイルショックや世界的凶作が「自給回帰」の議論を再燃させました。21世紀に入ると気候変動やパンデミックが起こり、エネルギー・医薬品も含めた広義の自給が政策課題となっています。

「自給」の類語・同義語・言い換え表現

自給の近い概念としては「自活」「自足」「自賄(じまかな)い」「自己供給」などが挙げられます。それぞれニュアンスに微妙な差異があり、「自活」は生計全体を自分で立てること、「自足」は“足りている”状態を指し、必ずしも生産行為を伴わない点が自給と異なります。

また「自己完結」や「ローカルプロダクション・フォー・ローカルコンシュンプション(地産地消)」も類似表現として用いられますが、自給は“自らの需要を自らの生産で満たす”点に焦点があります。場面に応じて使い分けることで、文章の精度と説得力が向上します。

「自給」を日常生活で活用する方法

家庭菜園やベランダ栽培は初心者でも始めやすい自給の入り口です。プランターと市販の土があれば、葉物野菜やハーブは数週間で収穫できます。余剰が出たら乾燥や冷凍で保存し、年間を通じて消費できる体制を整えると「部分的自給率」が飛躍的に高まります。

電力の自給を目指すなら太陽光パネルと蓄電池の導入が現実的です。災害時にスマートフォンだけでも充電できる環境は安心感につながります。また、雨水タンクの設置で庭の水やりに上水道を使わずに済み、年間の水道代を削減できます。

趣味として養蜂やキノコ栽培を試す人も増えており、都市部でも屋上や共有スペースを活用した「コミュニティ自給」の取り組みが注目されています。いずれも小さな一歩から始め、楽しみながら継続することが成功のコツです。

「自給」についてよくある誤解と正しい理解

自給と聞くと「電気もガスも完全に自家発電・自家製造しないといけない」と誤解されがちですが、段階的・部分的な取り組みでも立派な自給です。“可能な範囲で外部依存を減らす”という考え方が現実的で、都市住民がベランダ菜園をするのも「自給の一形態」と言えます。

また「自給=時給」の書き間違いも多く、求人情報を検索する際に誤入力すると全く異なる結果が表示されるので注意が必要です。自給は家計を圧迫するイメージを持たれることもありますが、自家生産で経費を抑えられる側面も大きく、長期的には支出削減につながるケースが多いです。

「自給」に関する豆知識・トリビア

日本のカロリーベース食料自給率は2022年度で38%と報告されており、先進国の中では低い水準です。対照的にカナダやオーストラリアは100%を超える“純輸出国”で、自給どころか海外に余剰を供給しています。

エネルギー分野では、アイスランドが地熱と水力で電力自給率100%を達成しています。海藻や廃食油を原料にしたバイオ燃料は、将来の地域エネルギー自給を支える技術として研究が進んでいます。

さらに、国際宇宙ステーションでは閉鎖空間で水・酸素・食料を一部循環させる「宇宙自給」の技術開発が行われ、人類の深宇宙探査に向けた試金石となっています。こうした話題は、自給の発想が地球規模から宇宙規模へ拡大していることを示しています。

「自給」という言葉についてまとめ

まとめ
  • 「自給」とは外部に頼らず自ら必要物資を供給することを指す語で、食料やエネルギーなど幅広い分野で使われる。
  • 読み方は「じきゅう」で、「時給」と混同しないよう注意が必要。
  • 中国古典由来で、日本では農業政策や戦時体制を経て現代の環境・防災分野へと用途が広がった。
  • 部分的自給でも立派な取り組みであり、家庭菜園や再生可能エネルギーなど実践方法は多彩で現代生活にも応用可能。

自給という言葉は「自分の力で生活基盤を支える」という古くて新しい発想を映し出しています。完全自給は理想論に聞こえるかもしれませんが、日常の中で少しずつ外部依存を減らす工夫は誰にでも始められます。

食料高騰や災害リスクが高まる現代社会では、自給の視点が暮らしを守るセーフティネットになります。まずはプランター栽培や省エネ家電の導入など、できるところから自給の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。