「叙述」とは?意味や例文や読み方や由来について解説!

「叙述」という言葉の意味を解説!

「叙述」とは、物事の筋道や状態を順序立てて述べる行為、あるいは文章・発話そのものを指す言葉です。事実を淡々と説明するスタイルから、情緒を交えながら描写するスタイルまで幅広く含みます。論文・報告書・小説など、媒体を問わず「何が起きたのか」を読者や聞き手に伝える核心部分を担うため、情報伝達の基礎的概念といわれます。

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叙述は「描写」と混同されやすいですが、描写が主観的な感覚や印象の再現を重んじるのに対し、叙述は出来事や論理の筋を重視します。そのため、客観性を保つ文章を求められる場面で特に重要になります。

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法律文書では事実関係の叙述が証拠評価の土台となり、文学作品では物語展開のリズムを作る要となります。このように、叙述は「何をどの順で語るか」という構造自体を示し、情報の精度と説得力を高める鍵になるのです。

「叙述」の読み方はなんと読む?

「叙述」は一般に「じょじゅつ」と読みます。「叙」の字は「のべる」「つぐ」などの意味を持ち、「述」は「のべる」「言い進める」を示します。よって両方とも「述べる」意を含む漢字が重なり強調的な熟語を構成しています。

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なお「じょうじゅつ」と読まれることがありますが、国語辞典では誤読として扱われるのが通説です。ビジネス文書や学術発表で使う際には読み間違いが起こりやすいため、事前に音読して確認すると安心です。

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外国語表記では英語で「description」「narration」「statement」などが近い訳語とされますが、学術論文のセクション名では“Description”よりも“Method of Narration”のように具体的に補足する例も見られます。これにより、日本語の叙述が持つ「順序立てた述べ方」のニュアンスを補完できます。

「叙述」という言葉の使い方や例文を解説!

文章内で「叙述」は名詞・サ変動詞(叙述する)として使用可能です。特に論理展開を点検するときに「この段落の叙述が曖昧だ」といった表現で使われます。小説講座では「情景描写」と「事実叙述」を区別する練習が定番で、読み手が混乱しない文脈作りに役立ちます。

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叙述の的確さは、そのまま文章全体の信頼性や説得力を左右します。数字や固有名詞を明示して事実を絞り込み、接続詞で時間・原因・結果を整理することで、読み手に筋道の通った像を提示できます。

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【例文1】教授は論文の中で実験結果を叙述した。

【例文2】彼女の報告書は事実叙述が簡潔で読みやすい。

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ビジネスメールでも「仕様変更の経緯を叙述します」のように使うと、単なる羅列ではなく「順序立てて説明する」姿勢を示せます。文章校正の観点では、主語と述語の対応、時制の一致を確認し「叙述の飛躍」を防ぐことが最重要ポイントです。

「叙述」という言葉の成り立ちや由来について解説

「叙述」は漢籍に由来し、中国古典の文章論で「叙」と「述」を並置する語が既に見られます。「叙」は序列を整えながら述べる行為、「述」は既存の知識を受け継ぎ語る行為を示し、両者の結合で「条理を立てて語る」意味が強調されました。

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奈良〜平安期にかけて漢文訓読が広まると、宮中記録や寺院縁起で「叙述」という語が採用され、日本語に定着しました。当時の文書はほぼ漢文体だったため、読み下す際に「じょじゅつ」と訓じる形が定番化したとされています。

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鎌倉以降、軍記物語や史書においても「叙述体」という語が生まれ、歴史的事件を編年体で語る手法が「叙述」と呼ばれました。この流れは江戸期の儒学者の書簡にも受け継がれ、学問的な叙述=厳密な史料批判を伴う、という意識が形成されています。

「叙述」という言葉の歴史

叙述の概念は古代ギリシア・ローマの修辞学にも対応概念が存在しましたが、日本では漢文圏を通じて独自に発展しました。江戸後期、蘭学や洋学の導入により記述的報告や観察記録が注目され、叙述という語は「記述」とともに科学分野へ浸透します。

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明治期には西洋の“narrative”“description”を翻訳する際の定訳として採用され、国語学・文学評論の基礎用語になりました。夏目漱石は評論『文学論』で「情景の描写」「心理の叙述」を峻別し、近代文学に分析的視点をもたらしました。

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昭和戦後、言語学の「叙述述語」「叙述機能」など専門用語として広がり、現代では小学校国語科でも「叙述の工夫」を学習指導要領に位置付けています。法律・報道・SNSまで、媒介が変わっても「事実を筋道立てて語る」という核心は不変です。

「叙述」の類語・同義語・言い換え表現

「叙述」の近い意味を持つ語には「記述」「描写」「説明」「敍説(じょせつ)」などがあります。これらは共通して「書き述べる」行為ですが、焦点や用法に差異があります。

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特に「記述」は観察結果を客観的に書きとめるニュアンスが強く、統計・実験レポートで好まれます。一方「描写」は感覚的・情緒的側面を丁寧に表す表現技法で、小説やエッセイと相性が良いです。

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類語の使い分けは、読者層と目的意識によって決まります。学術論文で「描写」を多用すると主観が強く見え、信頼性を損なう恐れがあります。逆に旅行記で「叙述」を連発すると、味気ない印象を与えることもあります。

「叙述」の対義語・反対語

対義的に位置付けられる語としては「省略」「要約」「黙示」「沈黙」などが挙げられます。これらは事実や経緯を詳述せず、短くまとめたり語らなかったりする方向性を示します。

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叙述が「語ること」であるのに対し、省略は「語らないことで情報を圧縮する」技法です。例えば、プレゼンで詳細をすべて叙述すると時間超過になりますが、ポイントを要約すれば聞き手の負荷を軽減できます。

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叙述と対義語を意識的に切り替えることで、情報量と理解度のバランスを最適化できます。文章編集では「ここは叙述、ここは要約」と区分けし、リーダビリティを高める戦略が推奨されます。

「叙述」を日常生活で活用する方法

日記やブログで出来事を時間順に書く際、「叙述的視点」を意識するだけで可読性が向上します。まず「何が・いつ・どこで・なぜ・どうなったか」の5W1Hを箇条書きし、それを接続詞でつなげば自然な叙述文が完成します。

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会議の議事録では、誰の発言かを主語に置き、議論の流れを順序立てて叙述することで後日の確認がスムーズになります。特に「提案→質疑→決定」の三段構成を明示すると、読み手の理解度が飛躍的に向上します。

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音声メディアでも応用可能です。ポッドキャストでゲストの経歴を紹介する際に叙述的フレームを当てはめれば、聴衆は歩みを追いやすくなります。

「叙述」という言葉についてまとめ

まとめ
  • 「叙述」とは物事の筋道や状態を順序立てて述べる行為・文章を指す言葉。
  • 読み方は「じょじゅつ」で、誤読の「じょうじゅつ」に注意する。
  • 漢籍由来で平安期に定着し、明治以降は学術・文学用語として発展。
  • 現代では論文・ビジネス・日常記録まで幅広く活用され、客観性と説得力を高める鍵となる。

叙述は「順序立った語り」を支える基盤概念であり、文章のみならず口頭発表や映像脚本にも共通する技法です。意味・読み方・由来を正しく理解し、類語や対義語との違いを踏まえれば、情報を適切な形で伝達できるようになります。

また、日常生活で叙述を意識するだけで、議事録・メール・SNS投稿の質が向上し、相手に「伝わる」喜びを味わえます。今後の文章作成やコミュニケーションの場面で、ぜひ叙述の力を活用してみてください。