「終える」とは?意味や例文や読み方や由来について解説!

「終える」という言葉の意味を解説!

「終える」とは、ある物事や作業、行為などを最後まで行い、区切りをつけて完結させることを示す動詞です。日常会話では「仕事を終える」「食事を終える」のように、あるプロセスが“完了”という状態に到達したことを表します。単に「終わる」との違いは主体性にあります。主語が自らの意思や行動によって完了させるニュアンスが強いため、能動的な響きを持ちます。

さらに「終える」は「終了」や「完了」と密接な関係をもち、時間・行為・状態の切れ目をはっきり示す点が特徴です。「授業を終える」と言えば、講師や生徒が積極的に授業を終結させたという含みがあるため、結果として「もう続きはない」と示す役割を果たします。

法律・ビジネスでは「手続きを終える」「締め切りを終える」といった表現で、工程の最終段階を指し示すことが多いです。公的文書や報告書でも使われるため、フォーマルな場面にも適した語だと言えます。英語では「finish」「complete」が近い訳語ですが、文脈によって「wrap up」「bring to a close」など多様に置き換えられます。

つまり「終える」は「主体が意図して区切りをつける」という点において、完結を強調する重要な日本語です。このニュアンスを理解すると、文章や会話でより的確に状況を伝えることができます。

「終える」の読み方はなんと読む?

「終える」はひらがなで「おえる」と読みます。送り仮名が「える」で終わることで五段活用の動詞「終わる」と区別されます。「おわる」は自然に物事が終了する、または時間的に過ぎ去る受動的なイメージをもちますが、「おえる」は自分または主体が動作として完遂する能動的な意味合いとなります。

この読み方のポイントは「おえ」で口を開いた後、軽く「る」を添えるように発音することです。アクセントは地域差がありますが、首都圏では「おえ」をやや高め、「る」で下げる傾向が一般的です。

漢字表記としては「終える」以外にほとんど用いられませんが、古典では「果つ」「畢る(をはる)」などの同義語が使われていました。現代日本語においては「終える」が標準的形となり、辞書や公的文章でもこの形で記載されています。

読み間違いで多いのは「しゅうえる」ですが、これは誤読なので注意しましょう。「終」の音読み「シュウ」に引きずられやすいものの、訓読みの「お-える」と覚えておくことで正確に発音できます。

「終える」という言葉の使い方や例文を解説!

「終える」は目的語を伴って“何を”完了させたかを示す他動詞として使います。名詞・動名詞を前に置くと意味がクリアになり、文章に締まりを与えます。

【例文1】彼は報告書の作成を終える。

【例文2】マラソンを無事に終える。

上記のように「動作+を終える」で構文が完成します。完了の後に感想や結果を加えることで、情景や心情を豊かに描写できます。

【例文3】季節限定の展示会を終えると、美術館には静けさが戻った。

【例文4】面接を終える頃には緊張もすっかりほぐれていた。

注意点として、「終わる」と混同して「雨が終える」などと書くと文法的に不自然です。「雨が終わる」は自然な言い回しですが、雨は自らの意思で完了しないため「終える」は使えません。主体が完了させるニュアンスを常に意識すると誤用を避けられます。

「終える」という言葉の成り立ちや由来について解説

「終える」は上代日本語に見られる動詞「をふ(終ふ)」が、中世以降に音変化を経て成立したと考えられています。古典文学では「をはる」とも表記され、平安期の『源氏物語』にも「物語を終はり給ふ」のような形が登場します。

奈良時代の万葉仮名では「乎布」などと記され、意味は現在とほぼ同じ「完結させる」でした。その後、室町時代から江戸時代にかけて「はる→える」への音変化が進み、明治期の言文一致運動で「終える」という漢字+送り仮名の形が確立しました。

由来的には“古語の他動詞形”が現代語に残った貴重な例であり、歴史的仮名遣いとの連続性が見て取れます。言語学的には「連用形+り」から「える」へと推移した説もあり、動詞活用の変遷を知る手がかりとなっています。

「終える」という言葉の歴史

「終える」の歴史は日本語の文語体から口語体への転換と密接に結びついています。江戸期以前は文語「終はる」が主流であり、庶民の口語では「おわる」が多く使われていました。しかし幕末から明治にかけての新聞・雑誌出版ブームの中で、接写的な表現として「終える」が注目を浴びます。

大正時代には教育現場で「終える/終わる」の違いを教える国語教材が作成され、昭和期には文学作品や戯曲に頻繁に登場しました。例えば太宰治の短編には「作業を終える」という表現が散見され、登場人物の能動性を描写するのに効果的でした。

戦後の学習指導要領では小学4年生で「終える」を学び、「終わる」と対比させる指導が推奨されています。結果として日本人の語彙として確実に定着し、現在に至ります。

現代ではIT分野のマニュアルやアプリのUIでも「タスクを終える」が定常句となり、デジタル化の中でさらに普及しています。このように「終える」は時代背景とともに意味や使われる場面を広げた語だと言えます。

「終える」の類語・同義語・言い換え表現

「終える」と近い意味を持つ言葉には「完了する」「済ませる」「締めくくる」「やり遂げる」などがあります。これらは微妙にニュアンスが異なるため、状況や文体によって使い分けると文章に深みが出ます。

「完了する」はプロセスの終了を客観的に述べる語で、事務的・技術的文書に適しています。「済ませる」は日常的な雑務や義務を片づけるイメージが強く、軽い調子で使えます。「締めくくる」は連続した内容のまとめや終章に使うと効果的です。

「やり遂げる」は困難や時間を要する課題を成し遂げた達成感を伴います。ビジネスプレゼンでは「プロジェクトをやり遂げる」のように、努力と成果をアピールする際に好まれます。

置き換え時は「主体の努力を強調したいなら“やり遂げる”、淡々と報告したいなら“完了する”」と覚えると便利です。

「終える」の対義語・反対語

「終える」の対義語は「始める」が一般的ですが、文脈によって「着手する」「開始する」「起こす」なども用いられます。「終える」が完了を示すのに対し、「始める」は物事のスタートを示します。

また「中断する」「途中でやめる」は厳密な対義語ではないものの、終結に至らない点で対照的な語です。プロジェクトマネジメントでは「計画を終える」と「計画を開始する」でフェーズが明確に分かれ、進行管理の基準となります。

対義語を理解することで時系列やプロセスの流れを的確に説明でき、文章の論理性が高まります。「終える⇔始める」と「完了⇔着手」のセットで覚えておくと便利です。

「終える」を日常生活で活用する方法

日常生活では「タスクを終える」「一日の家事を終える」のように、行動ログの締めとして「終える」を意識的に使うことで時間管理が上達します。スマートフォンのリマインダーに「買い物リストを終える」と入力すると、チェックリスト方式で達成感が得られます。

学校では「宿題を終える」時間を先に決めておくと集中力が向上し、残った時間を自由に使えます。ビジネスシーンでは「会議を終える時間を宣言」することで議論がダラダラ続くのを防ぎ、生産性を高められます。

「終える」を口に出して確認する行為は、脳に完了信号を与えるためメンタル面での区切り効果も期待できます。例えば就寝前に「今日の仕事を終える」と独り言を言うだけで、睡眠の質が上がったという報告もあります。

「終える」に関する豆知識・トリビア

日本語には同じ漢字を使う異なる動詞として「終わる」「終える」がありますが、英語では一語で区別しないことも多く、日本語独自の語彙豊富さが表れています。また、「終える」に対応する古語「をふ」は能動形ですが、その受動形「をへらる」は室町期の歌謡にしか見られない珍しい語です。

さらに、日本郵便の消印には「業務を終える」時間帯を示す“終印”という内部用語が存在します。鉄道業界では終電を示す際、乗務員間で「列車終える」と略語的に言うケースもあり、専門用語として定着している点が興味深いです。

クロスワードパズルでは「作業を終える」の5文字として「オエル」が答えになることがあり、パズル愛好家の間で知られたヒントとなっています。言葉の豆知識を知っていると、雑学として話題を広げることができます。

「終える」という言葉についてまとめ

まとめ
  • 「終える」は主体が物事を最後まで行い完結させる能動的な動詞。
  • 読み方は「おえる」で、送り仮名「える」が特徴。
  • 上代の「をふ」が音変化して成立し、文語から口語へ定着した。
  • 使い分けに注意し、完了を強調したい場面で活用すると効果的。

「終える」という言葉は、単に“終わる”の類義語として片づけるには惜しいほど、主体性を帯びた動詞です。意識的に使うことで文章のニュアンスが引き締まり、相手に“やり切った”印象を与えられます。

また、歴史や由来を知ることで「終える」に隠された日本語の奥深さが見えてきます。日常のタスク管理からビジネス文書まで幅広く活用し、言葉の力で暮らしにメリハリを付けてみてはいかがでしょうか。