「定義」とは?意味や例文や読み方や由来について解説!

「定義」という言葉の意味を解説!

「定義」とは、対象となる事柄の本質的な特徴を明確にし、その範囲を言葉で限定する行為もしくはその結果を指します。辞書的には「ある語句や概念の意味・内容を、他と区別できるように明確化すること」と説明されることが多いです。数学では公理系における基本概念の取り決め、法学では条文中の用語の範囲設定など、分野ごとに微妙なニュアンスが異なります。どのケースでも共通しているのは「曖昧さを取り除き、共有理解を作り出す」という目的です。

定義が適切に示されると、議論の前提が整い誤解が減ります。逆に不十分な定義は、長い議論の末に「そもそも言葉の意味が食い違っていた」という事態を招きかねません。

科学論文やビジネス文書では、結論より前に専門語の定義を列挙して読者の視点をそろえるのが一般的です。これは学術的な正確さだけでなく、コミュニケーションコストを下げる実務上の工夫でもあります。

「定義」の読み方はなんと読む?

「定義」は音読みで「ていぎ」と読みます。「定」は「さだめる」「きめる」といった意味を持ち、「義」は「ことわり」「理(ことわり)」つまり筋道を表します。二つの漢字を合わせることで、「筋道を定める」というイメージが自然に浮かび上がります。

常用漢字表に掲載されているため、一般的な文章・公的文書でも平仮名補助なしでそのまま使われる語です。送り仮名や別の読み方は存在せず、アクセントは「テ」にやや強勢を置く東京式アクセントが標準的とされます。

文中では「…を定義する」「…として定義される」「…の定義は〜である」といった形が慣用句となっています。読み誤りは少ない語ですが、初学者には「ていよし」や「じょうぎ」と読んでしまう誤読が稀に見られるため注意が必要です。

「定義」という言葉の使い方や例文を解説!

使い方のポイントは「対象を限定し、不必要な曖昧さをなくす」場面で用いることです。会話でも文章でも、概念的・専門的なテーマを扱うときほど登場頻度が高まります。

【例文1】「この研究では『都市』を人口五万人以上の自治体と定義する」

【例文2】「法律上の労働者の定義は、労務提供の対価として報酬を受ける者である」

例文からわかるように、前置詞的に「〜を…と定義する」や受動態の「…と定義される」がよく用いられます。ビジネス現場ではKPIやペルソナを設定する際、「数値の定義を合わせよう」と確認する光景もおなじみです。

定義を示す際は、排他性(対象外が明確か)と充足性(漏れがないか)の両面に注意しましょう。これらが欠けると、関係者ごとに異なる解釈が生まれ、後工程で手戻りが発生します。

「定義」という言葉の成り立ちや由来について解説

漢籍を通じて伝わった古代中国語の「定義」が、日本で意味を保持したまま定着したと考えられています。紀元前の『論語』や『荀子』には「名を正す」思想があり、これは「概念の境界を定める=定義」の萌芽といえます。

日本では奈良時代に仏典を漢訳通りに読む中で「義」を「ことわり」と理解し、「定義」は「ことわりを定む」と訓読されました。平安期には学僧が仏教概念を整理する際、用語の「義」を定める作業を「定義」と呼称しています。

近代以降、西洋哲学の”definition”が輸入されると、既存の「定義」がその訳語として採用され、論理学や数学の専門用語として再活性化しました。こうして古代発の語が近代学術語として再評価され、現代に至るまで連続的に使用されています。

「定義」という言葉の歴史

日本語における「定義」は、仏教用語→漢学用語→翻訳語という三段階で意味領域を拡大してきました。江戸期の朱子学では、概念整理の手法として「定義」が頻繁に使われ、学問的権威を帯びます。

明治期になると、西周や中江兆民らが西洋近代哲学を紹介する過程で、”definition”の訳語に「定義」を採択しました。科学技術文書でも同様に用いられ、数学者の高木貞治らが著作で「定義◯◯」と番号を振る形式を定着させました。

戦後は学校教育で円や三角形の性質を「定義」として教えるなど、日常語としての使用が拡大します。21世紀の現在でも、IT業界のAPI仕様書や法律の条文など、多岐にわたる分野で基盤語としての地位を保っています。

「定義」の類語・同義語・言い換え表現

代表的な類語には「規定」「仕様」「取り決め」「解釈指針」などがあります。これらの語は文脈に応じて「定義」とほぼ同義または近いニュアンスで使われますが、完全な代替とは限りません。

「規定」は法令や社内ルールにおいて拘束力を伴うケースが多く、「定義」より強制力が前面に出ます。「仕様」はITや製造分野で、機能や性能を細かく記した文書を指す語として一般化しました。「取り決め」は口頭合意を含む柔らかな表現で、厳密性よりも便宜性を示す傾向があります。

言い換えの際は、精度を求める目的か、運用ルールを示す目的かを意識すると選択を誤りにくくなります。学術論文や特許明細書では、最初に「本稿では○○を『定義』する」と断言し、以後は省略する運用が推奨されます。

「定義」の対義語・反対語

厳密な対義語はありませんが、概念の境界をあえて曖昧にする「曖昧化」「拡張解釈」などが反対概念として挙げられます。「不定義」という造語がまれに登場しますが、一般的ではありません。

哲学的には、定義が「確定」なら、対極は「未確定」や「流動」といった状態を指します。ビジネスの現場では「概念設計前」や「ルーズ仕様」などが近い立場に位置づけられることがあります。

反対語が明示的でない理由は、言語行為としての「定義」が人間の知的営みを支える基盤であり、わざわざ逆行する行為が体系化されにくいからです。そのため、多くの場合は「まだ定義していない」という否定形で表現されるにとどまります。

「定義」と関連する言葉・専門用語

「概念(コンセプト)」「公理」「命題」「仕様書」「タクソノミー」などが密接に関わるキーワードです。これらは定義と組み合わせることで、知識体系や製品仕様を論理的に構築できます。

「概念」は定義の対象であり、抽象的なイメージや属性の集合を指します。「公理」は数学的枠組みの最小前提で、定義とともに理論を支えます。「命題」は真偽を判定できる文で、定義を用いて精緻化されます。IT分野の「タクソノミー」は概念を階層構造で整理したもので、各ノードが定義によって分割されます。

一方で「パラメータ」や「メタデータ」といった用語も、システム設計で定義の正確さが求められる例として挙げられます。関連語を理解すると、定義を中心とした情報設計の全体像が見えやすくなります。

「定義」を日常生活で活用する方法

身近な場面でも、言葉の意味を先に定義するだけでコミュニケーションの質が大幅に向上します。たとえば家族会議で「掃除」を「床に物がない状態」と定義すると、役割分担や達成基準が明確になります。

【例文1】「週末の『早起き』を午前7時以前と定義しよう」

【例文2】「ダイエット成功を体脂肪率マイナス3%と定義する」

学習面でも、試験勉強の冒頭で専門用語の定義カードを作ると理解がスムーズです。また自己啓発として「幸福」を「心身が健康で挑戦意欲がある状態」などと自ら定義し、目標設定に活かす人もいます。

注意点は、状況が変わったら定義を見直す柔軟さを持つことです。特に複数人が関わるプロジェクトでは、定義が古くなると意図しないトラブルを生むため、定期的なアップデートが欠かせません。

「定義」という言葉についてまとめ

まとめ
  • 「定義」は対象の本質を言葉で限定し、共有理解を成立させる行為・結果を指す語。
  • 読み方は「ていぎ」で、「筋道を定める」という漢字の成り立ちを反映している。
  • 古代中国の思想を起源に、仏教用語から近代学術語へと歴史的に発展した。
  • 現代では学術・法律・日常会話で幅広く用いられ、曖昧さ排除が最大の効用となる。

定義は「意味を定める」だけでなく、コミュニケーションを円滑にし、合意形成を助けるツールです。ビジネスから家庭生活まで応用範囲は広く、理系文系を問わず知的活動の基盤に位置づけられます。

歴史的にも、古代の「名を正す」思想から現代ITの仕様書まで連続的に進化しており、その重要性は今後も変わりません。自分や組織の目標を達成する際は、まず「定義を合わせる」ことから始める習慣を身につけましょう。