「労相」とは?意味や例文や読み方や由来について解説!

「労相」の読み方とは?

「労相」は「ろうしょう」と読みます。

正しい読み方はこの一通りのみで、これ以外の読み方は新聞や辞書のどこにも載っていません。

「労働」の「労(ろう)」と、大臣を意味する「相(しょう)」を、それぞれ音読みのまま組み合わせただけの、いたってシンプルな成り立ちの二字熟語です。

訓読みを一切含まないため、読み方のルールさえ覚えてしまえば、その後は迷うことがない言葉だといえます。

とはいえ、新聞記事などの文章の中で「労相」という見慣れない文字列に初めて出会うと、正しく読めずに一瞬迷ってしまう人も少なくありません。

特に「相」は複数の読み方を持つ漢字なので、見出しのように前後の説明が少ない場面では、単独で読み間違いが起こりやすいのです。

よくある間違いが「ろうそう」という読み方で、これは「相談(そうだん)」や「相互(そうご)」のように、日常生活で馴染み深い「そう」という読み方に、無意識のうちにつられてしまうために起こります。

見慣れない漢字の組み合わせが並ぶ言葉なので、誰にでも起こりうる自然な勘違いであり、決して恥ずかしいことではありません。

しかし大臣を意味する「相」は、ニュースでもおなじみの「首相(しゅしょう)」や「外相(がいしょう)」と同じく「しょう」と読むのが正解です。

「労相」もこの仲間に入る言葉なので、読み方は「ろうしょう」の一択だとしっかり覚えておきましょう。

「労相」の意味とは?

「労相」とは、厚生労働大臣を指す略称です。

正式な役職名ではなく、あくまで新聞やニュース、雑誌の見出しなどで日常的に使われている通称にあたります。

厚生労働大臣は、雇用対策や賃金、労働時間、労災補償といった労働分野に加えて、年金や医療、介護、子育て支援まで担当する、非常に守備範囲の広い国務大臣です。

担当する分野がこれだけ幅広く多いぶん、正式名称もそのぶん長い言葉になっているというわけです。

「厚生労働大臣」は漢字だけで6文字もある長い名称で、見出しや短い文中に入れるとどうしても長すぎてバランスが悪くなりがちです。

そこで文字数に厳しい新聞や雑誌、ニュース番組では、要点だけを残した「労相」という表記が好んで使われています。

新聞やネットニュースの見出しは限られた文字数の中で要点を伝えなければならないため、「労相」のような二字の略称は非常に重宝されるのです。

「労相」はあくまで厚生労働大臣を短く言い換えた略称であり、それ自体が独立した公式の役職ではありません。

実際にニュースキャスターが話すときや、政府の公式な文書を作るときには、省略せずに「厚生労働大臣」と表記・発言するのが基本です。

「労相」は主に、紙面や画面のスペースが限られる場面で重宝されてきた、書き言葉寄りの略称だと考えておくとよいでしょう。

「労相」という言葉の由来・成り立ちとは?

「労相」という言葉は、「労働」の「労」と、大臣を意味する「相」という漢字を組み合わせて作られています。

この「相」という一字だけで大臣を表せるのは、古くから漢語の世界で使われてきた、由緒ある用法だからです。

「相」はもともと人を助ける、補佐するという意味を持つ漢字で、古代中国の古典の世界では、君主を補佐する重臣のことを「宰相」と呼んでいたと言われています。

この「補佐する」という意味合いが、国のトップを支える大臣を表す漢字として、そのまま日本語にも取り入れられていったのです。

日本で「〇相」という略称が広まったのは、1885年(明治18年)に内閣制度が発足し、各省の大臣を新聞などで短く表記する必要が出てきたことがきっかけだと言われています。

当時からすでに「外相」「内相」といった略称が新聞紙面で使われていました。

つまり「相」を大臣という意味で使う型は、明治期の官制の時代からすでにしっかりと定着していたということです。

「労相」自体は1947年の労働省設置後に生まれた比較的新しい略称ですが、この明治期からの命名の型を受け継いだ言葉なのです。

このように「労相」は、労働分野を表す「労」と、由緒ある大臣の略称である「相」という、性質の異なる二つの要素が組み合わさってできた言葉だと言えます。

労働分野を担当する大臣だからこそ、「労」の字が使われているというわけです。

「労相」と「厚労相」はどう違う?

現在、厚生労働大臣の略称として最も広く使われているのは、「労相」ではなく「厚労相」のほうです。

これは2001年に行われた中央省庁再編によって労働省と厚生省が統合され、大臣の略称も「厚労相」へと変わったためです。

それ以前は、労働省のトップである「労働大臣」と、厚生省のトップである「厚生大臣」が、それぞれ独立した役職として存在していました。

前者の略称は「労相」、後者の略称は「厚相」と呼ばれていました。

2001年1月6日の中央省庁再編によって労働省と厚生省が統合され、「厚生労働省」とそのトップである「厚生労働大臣」が誕生しました。

この統合にあわせて、新聞やニュース番組など各メディアで使われる略称も、自然と「厚労相」へと切り替わっていきました。

つまり「労相」は統合前の呼び方であり、「厚労相」は統合後の呼び方という、時代背景の異なる略称なのです。

現在「労相」という表記を見かける場合は、主に2001年より前の労働大臣について述べる歴史的な文脈だと考えてよいでしょう。

ただし労働分野の政策だけに絞って語るような場面などでは、現在でも口語的に「労相」という言葉が使われることがあります。

とはいえ現在の正式な略称はあくまで「厚労相」なので、記事などを書くときは使い分けに注意が必要です。

「労相」はどんな場面で使われる言葉?

「労相」が最も活躍するのは、新聞や雑誌の見出しなど、文字数に制限がある媒体です。

限られたスペースで情報を伝える必要がある見出しでは、「労相」のような二字の略称が重宝されます。

特に1947年の労働省発足から2001年の省庁再編までの間は、労働大臣の動向を伝える新聞記事の見出しで「労相」が日常的に使われていました。

国会審議や政策発表を伝えるニュース記事の本文でも、二度目以降の言及を簡潔にするために使われていました。

現在では、当時の政策や国会でのやり取りを振り返る歴史的な記事や書籍の中で、「労相」という表記に出会うことが多くなっています。

当時を知らない世代にとっては、資料を読み解く際のちょっとした手がかりになる言葉でもあります。

労働運動や労働政策の歴史を扱う学術文献・研究資料でも、当時の役職名として「労相」がそのまま使われることが一般的です。

「労相」は、紙面のスペースが限られる媒体と、特定の時代を振り返る文脈でよく登場する言葉なのです。

現役の大臣を指して使われることはほとんどなくなったものの、過去の労働行政を語るうえでは欠かせない言葉として、今も一定の役割を持ち続けています。

こうした背景も踏まえて言葉を使い分けると、より正確で読みやすい文章になります。

「労相」を使った例文

  • 【例文1】労相は記者会見で、来年度の最低賃金引き上げについて検討を進める考えを示した
  • 【例文2】労相が新たな雇用対策を発表し、詳細は来週の閣議で決定される見通しとなった
  • 【例文3】1960年代の労相は、労働時間の短縮を重要な政策課題として掲げていた
  • 【例文4】当時の労相は国会答弁で、労働組合との対話を続ける姿勢を強調した
  • 【例文5】祖父は昔の労相の名前を今でもすらすら言えるらしい

例文1・2のように、ニュース記事や会見の内容を伝える文章では、「労相」は主語として簡潔に使われます。

「〇〇大臣」とそのまま書くよりも文字数が少なく済むため、テンポよく情報を伝えられるのが利点です。

例文3・4は、まだ労働省という独立した省庁が存在していた時代の労働大臣を指す、歴史的な文脈での使い方です。

現在の出来事ではなく過去の政策や答弁について語る際には、「労相」がそのまま登場することがよくあります。

例文5のように、会話の中で使われる場合は、当時を知る人が思い出話として口にするような、少しレトロな響きを持つ言葉になります。

「労相」はどちらかというと書き言葉としての性格が強く、日常会話ではやや硬い印象を与える言葉だと覚えておきましょう。

歴代の「労相」にはどんな人物がいる?

労働省は1947年、戦後の民主化が進むなかで労働問題を専門に扱う官庁として、厚生省から独立するかたちで発足しました。

初代の労働大臣には片山哲内閣のもとで米窪満亮が就任し、戦後の労働行政の第一歩を踏み出しています。

戦後の労相たちは、労働組合法にもとづく労働者の権利保障や、労働基準法による労働条件の整備など、今の日本の働き方の土台づくりを担ってきました。

労働争議が相次いだ時期には、労相が労使の間に立って調整にあたる場面も少なくありませんでした。

歴代の労相には、労働運動の現場で活動してきた人もいれば、官僚として行政を支えてきた人もいます。

なかでも複数の内閣で労働大臣を歴任した石田博英は、失業保険制度の拡充や雇用対策の強化に力を注いだ政治家として知られています。

1959年に制定された最低賃金法のように、労相のもとでは働く人の生活を守るための法整備も少しずつ積み重ねられてきました。

こうした歩みの一つひとつが、今の労働環境の基礎になっています。

2001年の中央省庁再編で労働省が厚生省と統合されると、労働大臣という役職は厚生労働大臣に引き継がれました。

「労相」という言葉は、今では主に1947年から2001年までの歴史を語るときに使われる呼び名になっています。

「労相」と他の「〇相」との違いとは?

新聞やニュースには、「労相」のほかにも「〇相」という略し方がたくさん登場します。

外務大臣なら「外相」、財務大臣なら「財務相」というように、各省の大臣には短い呼び名がついています。

防衛大臣は「防衛相」、法務大臣は「法相」、文部科学大臣は「文科相」と呼ばれることもあります。

こうした略称は、正式名称が長い大臣を新聞の見出しなどで簡潔に示すために使われています。

これらはどれも、省庁名の中から特徴的な文字を取り出し、大臣を意味する「相」を組み合わせるという共通のルールで作られています。

「相」はもともと、君主を補佐する重臣を指す古い言葉で、それが転じて今では各省の大臣を短く呼ぶ言い方として定着しています。

ただし「労相」については、労働省がすでに存在しないため、日常のニュースで単独に使われる場面は少なくなっています。

現在の報道では、後継省庁の略称である「厚労相」が使われるのが一般的です。

実際、総務省の「総務相」や経済産業省の「経産相」など、今も現役で使われている「〇相」はたくさんあります。

「労相」は、その中でも役目を終えた略称の一つだといえるでしょう。

つまり「〇相」という呼び方自体は共通のルールですが、どの文字が使われるかは、その時代にどの省庁が存在するかによって変わっていくのです。

かつては存在した「労相」も、今はその移り変わりを物語る言葉のひとつです。

「労相」を英語で表現すると?

現在の厚生労働省は、英語で「Ministry of Health, Labour and Welfare」と表記されます。

この頭文字をとった「MHLW」という略称も、英語ニュースや公式文書でよく使われています。

厚生労働大臣にあたる英語表現は「Minister of Health, Labour and Welfare」で、かつての労働大臣は「Minister of Labour」と訳されていました。

日本政府の公式な英語表記では、アメリカ式の「Labor」ではなくイギリス式の「Labour」というつづりが使われています。

これは厚生労働省の英語名に合わせた表記だと考えられます。

海外メディアの記事では、正式名称を省略して「labor minister」と簡潔に表現されることも多くあります。

直訳と実務上の訳語には、このように少し幅があることを覚えておくとよいでしょう。

歴史書や研究論文など、学術的な文章のなかでは、当時の名称を尊重して「Minister of Labour」がそのまま使われることもあります。

文脈に応じて訳し分けられている点も、あわせて知っておくと役立ちます。

「労相」という日本語をそのまま英語に置き換えるというより、現在の制度に合わせた訳語を選ぶことが大切です。

そのため英字ニュースを読むときは、時代背景に応じてどちらの訳語が使われているかにも注目してみると理解が深まります。

「労相」を使うときの注意点とは?

現在の日本には労働省が存在しないため、今の大臣を指すときの正式な略称は「労相」ではなく「厚労相」です。

ニュース記事やSNSで「労相」とだけ書かれているのを見ても、それが現職の大臣を指しているとは限らない点に注意が必要です。

ニュースや文章で「労相」と書くと、現職の大臣を指しているのか、過去の労働大臣を指しているのか分かりにくくなることがあります。

そのため文章の中では、いつの時代の話をしているかが伝わるように書くことが大切です。

1947年から2001年までの歴史を語る文脈であれば、「労相」という表現はそのまま使っても問題ありません。

むしろ当時の呼び名として使うことで、資料や年表の中でも時代の空気を伝えやすくなります。

一方で、ビジネス文書や公式な文章で現在の大臣について触れる場合は、「厚労相」または正式名称の「厚生労働大臣」を使うほうが誤解を防げます。

特に社外向けの資料では、略しすぎない表現を選ぶと安心です。

もし「労相」という表記を資料などで見かけたら、まずその文章がいつの時代について書かれたものかを確認する習慣をつけると安心です。

前後の文脈から年代を判断できることも多くあります。

歴史的な文脈と現在の文脈を混同しないよう、時代を意識して使い分けることが、正確な文章を書くための小さなコツです。

読む人にとって親切な表現を選ぶ姿勢が、結果として誤解のない伝わりやすい文章につながります。

「労相」についてのまとめ

まとめ
  • 「労相」の読み方は「ろうしょう」です。
  • 「労相」は労働大臣の略称で、1947年から2001年まで存在した役職です。
  • 2001年の省庁再編で労働省は厚生省と統合され、「厚労相」が現在の正式な略称になりました。
  • 現在の文脈で使うときは「厚労相」を使い、「労相」は歴史的な文脈で使うのが望ましい表現です。

ここまで、「労相」の読み方や意味、そして由来から現在の使われ方までを見てきました。

もともとは1947年に発足した労働省のトップである労働大臣を指す、シンプルな略称でした。

2001年の省庁再編を経て、その役割は「厚労相」に引き継がれました。

今では「労相」という言葉自体が、当時の労働省が果たしてきた役割や歴史を物語る呼び名になっています。

普段の会話やニュース記事の理解では「厚労相」を基準にしつつ、過去の記事や歴史の資料を読むときには「労相」が労働大臣を指していることを思い出していただければと思います。

「労相」という一言からも、日本の労働行政の歩みを感じ取っていただけたら嬉しいです。