「掲揚」とは?意味や例文や読み方や由来について解説!

「掲揚」の読み方とは?正しくは「けいよう」

「掲揚」は「けいよう」と読みます。

日常会話ではあまり使わない言葉なので、ニュースや式典の案内などで見かけるたびに、正しく読めるかどうか一瞬迷ってしまう方もいる言葉です。

「掲」は音読みで「ケイ」、「揚」も音読みで「ヨウ」と読み、この二字をどちらも音読みのまま続けて読むのが「けいよう」という正しい読み方です。

訓読みと音読みを混ぜて読むことはできないので、二字とも音読みで通すところがポイントで、これは他の多くの熟語にも共通する読み方のルールです。

「掲げる」や「揚げる」という訓読みの響きにつられて、「かかげよう」と読んでしまう方も少なくないようです。

響きとしては自然に感じられますが、辞書の上ではこの読み方は認められておらず、誤読として扱われていますので、文章や式典の場では特に気をつけたいところです。

「掲揚」という言葉は、テレビのニュース原稿や新聞記事、学校の入学式・卒業式のお知らせ、さらには役所の広報誌など、活字として目にする機会が思いのほか多い言葉です。

普段は何気なく読み流している方でも、いざ自分の声に出して読もうとすると読み方に自信が持てず、人前でアナウンスをする際には特に読み間違えたくないと感じる言葉でもあります。

「けいよう」という読み方さえしっかり覚えておけば、式典の司会やアナウンスの原稿を任された際にも、また誰かに読み方を尋ねられた際にも、迷うことなく堂々と答えられるでしょう。

「掲揚」の意味をわかりやすく解説

「掲揚」とは、旗などを高い位置に掲げて、多くの人の目につくように示すことを意味します。

単に物理的に高く上げるだけでなく、周囲に向けてその存在をはっきりと見せる、というニュアンスまで含んだ言葉です。

ただ「上げる」という動作全般とは異なり、「掲揚」は公的な場や儀礼的な場面で用いられる、ややあらたまった響きを持つ言葉です。

友人同士のカジュアルな会話で使われることはまずなく、フォーマルな文章や場面でこそ使われる言葉だと考えてよいでしょう。

たとえば洗濯物を高く干すことやカーテンを引き上げることを「掲揚」とは言わず、国旗や校旗のように象徴的な意味を持つ旗に対して使われる動作です。

象徴性の強い旗だからこそ「掲揚」というあらたまった言葉がふさわしくなるのであり、そこには自然と敬意や、あらたまった気持ちが込められているのだと考えられます。

「掲揚」を行う主体は、個人というよりも学校や役所、企業といった組織や団体であることが多く、儀式や行事の一部として執り行われるイメージがあります。

誰か一人が気軽に行うというより、組織を代表する形で執り行われる、ややかしこまった動作だと考えると理解しやすいでしょう。

「誰が」「何のために」高く掲げるのかを意識すると、「掲揚」という言葉が持つ、あらたまった雰囲気や重みがより深く理解できるはずです。

日常語の「上げる」に置き換えられそうで置き換えられない、そんな独特の立ち位置を持つ言葉だと言えるでしょう。

「掲揚」の由来・漢字の成り立ち

「掲揚」は、「掲」と「揚」という、どちらも「上げる」という動きに関わる漢字を組み合わせてできた言葉です。

それぞれの漢字が持つ意味を知ると、「掲揚」という言葉がなぜこれほど格式高く感じられるのか、その理由も見えてきます。

「掲」という字には、板や旗などを高い場所に取り付けて、人々に見えるように示すという意味があります。

単に「上げる」だけでなく、「見せる・示す」というニュアンスが強く含まれているのが特徴だと言われています。

「掲」の字は手へんを持つ漢字で、手を使って物を高く掲げ持つ動作と関わりが深い字だと言われています。

人に見えるよう手で高く差し出す、というイメージを思い浮かべると理解しやすいでしょう。

一方の「揚」は、物を高い位置へ引き上げる、勢いよく上がっていくという意味を持つ漢字です。

「揚力」や「揚水」といった言葉にも使われており、下から上へと力強く上がっていく動きを表す字だと言われており、「掲」の静かな「示す」に対して「揚」は動きのある力強さを担っていると考えると分かりやすいでしょう。

「掲」が持つ「人に示す」というニュアンスと、「揚」が持つ「高く上げる」という力強い動きが組み合わさることで、「高々と掲げて示す」という「掲揚」の意味合いがいっそう強調されると言われています。

だからこそ「掲揚」は単なる「上げる」以上に儀礼的で重みのある言葉として使われており、二つの漢字それぞれの持ち味が、そのまま言葉の格式につながっているのです。

「掲揚」の対象になるものとは?国旗やのぼりなど

「掲揚」の対象として真っ先に思い浮かぶのは、やはり国旗でしょう。

国そのものを象徴する特別な旗だからこそ、日常的な「上げる」ではなく「掲揚」というあらたまった言葉がよく使われるのです。

国旗のほかにも、学校の校旗や企業の社旗、自治体の旗、スポーツ大会の大会旗、国際機関の旗なども「掲揚」の対象になります。

いずれも組織や催しを象徴する旗である点が共通しており、誰かの持ち物というより「その場を代表する旗」だからこそ、単なる装飾用の旗とは一線を画す存在だと言えるでしょう。

お祭りや催事で見かけるのぼり旗や、イベント会場に張られる横断幕なども、ポールや支柱を使って高く掲げる場合には「掲揚」と表現されることがあります。

ただし、手に持って振るだけの小さなミニチュア国旗や、机に置くだけの卓上旗については、常設のポールに掲げる場合とは区別して、あまり「掲揚」とは言わないのが一般的です。

一方で、部屋に飾るポスターや壁に貼るお知らせのように、平らな場所に留めて示すだけのものには「掲揚」という言葉は使いません。

「掲揚」と呼ぶには、旗としてポールや旗竿などに取り付け、風を受けてはためかせるように高い位置へ示すことが前提になります。

ポールや旗竿を使って、高い位置からはためかせるように示すかどうかが、「掲揚」と呼べるかどうかを見分ける一つの目安になると覚えておくとよいでしょう。

屋外で風を受けてはためく姿こそ、「掲揚」という言葉にふさわしい光景だと言えるでしょう。

「掲揚」が行われる代表的な場面

「掲揚」が行われる場面としてまず思い浮かぶのは、学校の朝礼や入学式、卒業式、体育祭の開会式などの式典でしょう。

校庭に立つポールに国旗や校旗がゆっくりと掲げられていく光景を、児童や生徒として目にした経験がある方も多いのではないでしょうか。

毎朝の朝礼で日直の児童が国旗を掲揚する当番を担当する、という学校も少なくありません。

小さな当番活動を通じて、「掲揚」という言葉や所作を自然に学んできた方も多いはずで、そうした経験が大人になってからの語彙として残っている場合もあります。

オリンピックやワールドカップなどの国際大会の表彰式も、「掲揚」が行われる代表的な場面の一つです。

金メダルを獲得した選手の国歌が流れる中、その国の国旗が掲揚台にゆっくりと上がっていく光景は、涙ぐむ選手の姿とともに、大会の名場面としてテレビ中継でもたびたび取り上げられます。

このほか、官公庁の庁舎前や大使館、港に停泊する船舶でも、日常的に国旗の掲揚が行われています。

毎朝決まった時刻に掲揚し、日没とともに降ろすという運用を続けている施設が多く、雨や強風の日には掲揚を見合わせる施設もあるようで、私たちの暮らしのすぐそばに根付いた習慣だと言えるでしょう。

このように「掲揚」は、学校の日常的な行事から国際的な大舞台まで、実にさまざまな場面で行われている、私たちの生活に身近な動作なのです。

規模の大小を問わず、また日常か非日常かも問わず使われる、案外汎用性の高い言葉でもあります。

「掲揚」を使った例文集

  • 【例文1】入学式の朝、体育館の前に立てられたポールで国旗と校旗が掲揚された
  • 【例文2】開会式では選手団の入場に合わせて、会場に大会旗が掲揚された
  • 【例文3】表彰式で金メダリストの母国の国旗が、国歌とともにゆっくりと掲揚されていく
  • 【例文4】市役所の前庭では、毎朝八時に守衛の手で国旗が掲揚される
  • 【例文5】新装オープンした店舗の前に、開店を知らせるのぼり旗が何本も掲揚された
  • 【例文6】台風の接近に備えて、掲揚していた旗を職員が急いで降ろした

こうして並べてみると、「掲揚」は学校行事から国際大会、公共施設、さらにはお店の販促まで、意外に幅広い場面で使われている言葉だとわかります。

国旗のようなあらたまった場面だけでなく、のぼり旗のような身近な商業的場面でも使われる、案外守備範囲の広い言葉なのです。

共通しているのは、旗を「高く掲げて、人目につくようにする」という動作である点です。

逆に言えば、高く掲げて示すという条件さえ満たせば、旗の種類を問わず「掲揚」と表現できるということでもあります。

ニュース原稿や実況中継では特に、国旗や大会旗が上がっていくシーンを伝える際の定番表現として、「掲揚」という言葉が重宝されています。

例文6のように、悪天候の際には「掲揚していた旗を降ろす」という形でも使われ、「揚げる」ではなく「掲揚する」と書くだけで文章全体の印象が引き締まって感じられるのも、この言葉ならではの面白さです。

「掲揚」と「掲示」「掲載」の違い

「掲揚」と字面が似ている言葉に、「掲示」と「掲載」があります。

どちらも「掲」という字を使うため、意味を混同しやすい言葉です。

「掲示」は、お知らせやポスターなどを壁や掲示板に貼り出し、人に知らせることを指します。

学校の掲示板に時間割を貼るような場面をイメージすると分かりやすいです。

最近ではインターネット上の「掲示板」のように、デジタルな場面でも「掲示」は使われています。

「掲載」は、新聞や雑誌、ウェブサイトなどの紙面に記事や広告を載せることを表す言葉です。

「名前が掲載される」のように、個人の情報が載る場合にも「掲載」は使われる言葉です。

「掲揚」だけが、旗やのぼりを高く揚げるという物理的な動作を意味する点で、この二つとははっきり区別されます。

掲示や掲載は「情報を見せて伝える」ことに重きが置かれる言葉です。

一方で掲揚は、実際に物を空高く掲げる動きそのものが主役になります。

例えば「新聞に掲載された記事」を「新聞に掲揚された記事」とは言いません。

逆に「校庭の掲揚台」を「校庭の掲示台」と言い換えることもできません。

このように結びつく相手の言葉を見れば、三つの違いは自然と見えてきます。

「掲揚」という言葉には、儀式的で改まった響きがあることも覚えておくとよいでしょう。

普段の会話でも、この違いを意識するだけで表現の正確さが増します。

こうした使用例を知っておくと、実際の文章でも迷わず使い分けられるようになります。

三つの言葉を正しく使い分けられれば、文章の説得力も高まるはずです。

「掲揚」の対義語「降納」との関係

「掲揚」には、対になる言葉として「降納」があります。

「降納」は「こうのう」と読み、掲げた旗を降ろして丁寧にしまうことを意味します。

学校や式典などでは、国旗の掲揚と降納がセットで行われるのが一般的です。

朝に国旗を掲揚し、夕方になると降納するという流れを見たことがある人も多いはずです。

入学式や卒業式で国旗を掲揚し、式の終わりに降納するという光景を思い浮かべると理解しやすいでしょう。

「掲揚」が旗を高く揚げる行為なら、「降納」はその旗を降ろし敬意を持って収める行為だといえます。

似た言葉に「降下」がありますが、こちらは単に物が下に落ちる・下がることを指す一般的な言葉です。

パラシュートで降下する、気温が降下するといった場面で使われ、旗の扱いに限定されません。

「降納」には、掲揚された旗を丁重に扱うという儀礼的な意味合いが込められています。

「降納」は日常会話ではあまり登場しませんが、儀礼や式典の文脈では欠かせない言葉です。

単なる「下げる」動作なら降下、儀式として旗を丁寧に降ろすなら降納と使い分けると覚えておきましょう。

掲揚と降納の関係を知っておくと、式典での国旗の扱いがより理解しやすくなります。

海上自衛隊の艦艇でも、国旗の掲揚と降納は毎日欠かさず行われる大切な儀礼です。

このように「掲揚」と「降納」は、一日の始まりと終わりを象徴する対の言葉なのです。

普段はあまり使わない言葉ですが、意味を知っておくと式典の理解が深まります。

「掲揚」に関するマナーと注意点

「掲揚」には、知っておきたいマナーや注意点がいくつかあります。

まず気をつけたいのが、弔意を表す「半旗」として掲揚する場合の扱いです。

半旗にするときは、一度旗を旗竿の最上部まで掲揚してから、静かに半分の位置まで降ろします。

いきなり半分の高さから掲揚を始めるのはマナー違反とされているので注意が必要です。

弔旗として掲げる際も同様に、旗の扱いには特別な配慮が求められます。

次に注意したいのが、旗の上下や向きです。

旗によっては上下や表裏が決まっているものもあり、逆さまに掲揚しないよう確認が欠かせません。

のぼりや社旗などでも、デザインの向きを間違えると意味が変わってしまうことがあります。

また、夜間はできるだけ掲揚したままにせず、日没とともに降ろすのが望ましいとされています。

雨や強風など悪天候の日は、旗が傷んだり破れたりしないよう掲揚を控える配慮も大切です。

個人の家庭で掲揚する場合は、そこまで厳密なルールに縛られる必要はありません。

とはいえ、学校や役所など公共の場では、決められた手順を守ることが求められます。

祝日に国旗を掲揚する家庭もありますが、その際もほこりや汚れがない状態を保つよう心がけたいものです。

迷ったときは、掲揚を行う施設や団体の担当者に確認するのが安心です。

マナーを守って掲揚することは、旗そのものや、旗が表すものへの敬意を示すことにもつながります。

こうした基本マナーを知っておくと、いざというときにも慌てず対応できます。

「掲揚」を英語で表現する方法

「掲揚」は、英語では主に「hoist」や「raise」という単語で表現されます。

「hoist」は、もともとロープなどを使って物を引き上げるという意味を持つ単語です。

「hoist the flag」は「旗を掲揚する」に最も近いニュアンスを持つ定番フレーズです。

掲揚台のポールにロープで旗を引き上げていく動作と、意味がよく重なっています。

一方「raise」は、より広く「上げる」全般に使われるやさしい単語です。

「raise the flag」も「旗を掲げる」という意味で日常的によく使われます。

日常会話では「raise」、儀式や正式な場面では「hoist」が好まれる傾向があります。

どちらの単語も、掲揚という動作の力強さやていねいさを伝えるのに役立ちます。

すでに掲げられている状態を表したいときは、「fly」という単語も便利です。

「The flag is flying over the building.」で「旗が建物に掲揚されている」といった意味になります。

国旗掲揚式のような行事は、英語で「flag-raising ceremony」と表現されるのが一般的です。

ちなみに、半旗を表す英語表現には「at half-mast」というフレーズがあります。

こうした表現を知っておくと、海外の人と国旗の話題で会話するときにも役立ちます。

場面や伝えたいニュアンスに応じて、これらの単語を使い分けるとよいでしょう。

「掲揚」とは何かのまとめ

まとめ
  • 「掲揚」は「けいよう」と読み、旗やのぼりなどを高く掲げることを意味します。
  • 「掲示」「掲載」とは異なり、物を空高く揚げる動作そのものを表す言葉です。
  • 国旗を掲揚する際は、半旗の扱いや上下の向きなどマナーへの配慮が欠かせません。
  • 英語では「hoist」や「raise」を使い、「hoist the flag」などと表現します。

ここまで、「掲揚」の意味や由来から、関連する言葉、マナー、英語表現までを見てきました。

「掲揚」は、単に旗を「上げる」だけでなく、高く掲げて人々の目に触れさせるという意味を持つ言葉です。

「掲示」「掲載」といった似た言葉と比べても、その物理的な動作を表す点に大きな特徴があります。

対義語である「降納」とセットで理解しておくと、式典などでの旗の扱いもより深く理解できるはずです。

「掲揚」は普段の生活であまり使わないと感じるかもしれませんが、学校や地域の行事では意外と身近な言葉です。

読み方は「けいよう」の一択で、他の読みに惑わされないようにしましょう。

意味だけでなく由来やマナーまで知っておくと、行事や式典に参加したときの理解もぐっと深まります。

正しい意味とマナーを知ったうえで「掲揚」という言葉を使えば、文章や会話に自然な説得力が生まれます。

これから「掲揚」という言葉を目にしたときは、ぜひ今回の内容を思い出してみてください。

日常のちょっとした場面でも、ぜひ正しく使い分けてみてください。