「改竄」とは?意味や例文や読み方や由来について解説!

「改竄」の読み方は「かいざん」で合っているか

「改竄」は「かいざん」と読みます。

「改」も「竄」もどちらも音読みとして使われている言葉で、この読み方さえ覚えておけば迷うことはありません。

この漢字を見て「もしかしたら他の読み方もあるのかもしれない」と不安になる方もいるかもしれませんが、正しい読みは「かいざん」ただ一つだけです。

「改」が「かい」、「竄」が「ざん」で、二つの音読みを組み合わせただけのシンプルな構造だと考えると、意外と覚えやすい熟語だとも言えます。

「竄」は普段の生活や学校の授業ではほとんど目にする機会がなく、常用漢字表にも含まれていない、いわば裏方のような漢字です。

画数が多いうえに見た目も複雑なので、初めて目にした瞬間に読み方が分からなくなるのはごく自然なことで、恥ずかしく思う必要はありません。

実際によくある誤読が「かいさん」で、字面の似ている「解散」という言葉とつい混同してしまうケースが目立ちます。

ほかにも「かいこん」のように、漢字の見た目や雰囲気から連想して、まったく異なる読み方を当てはめてしまう方も少なくないようです。

「竄」という漢字には訓読みがなく、「改竄」という熟語もつねに音読みの「かいざん」でしか読まれません。

ニュースや新聞記事、契約書などのビジネス文書でこの言葉を見かけたときは、迷わず「かいざん」と読めば間違いありません。

「改竄」の意味とは―何を「変える」と改竄になるのか

「改竄」とは、文書やデータ、記録などの内容を、誰かをだます不正な意図をもってひそかに書き換えることを意味する言葉です。

単に文字や数字を直す行為ではなく、そこに「人の目をごまかそう」とする気持ちが含まれているのが最大の特徴です。

単なる「変更」や「修正」と決定的に違うのは、書き換える側に不正や悪意があるかどうかという一点です。

数字の入力ミスを訂正したり、誤字を直したりする行為は、誰にも不利益を与えないため、改竄とは呼ばれず「訂正」や「修正」と呼ばれます。

一方で、事実とは違う内容にこっそり見せかけたり、都合の悪い記録をわざと消したりすれば、それは立派な改竄にあたります。

つまり「何を変えたか」だけでなく「なぜ、どんな気持ちで変えたのか」という動機の部分こそが、両者を分ける境界線になるのです。

改竄の対象になるのは、紙の書類だけに限りません。

パソコンやスマートフォンに保存された電子データ、システムが自動で記録するログファイル、さらにはクラウド上に保管されたデータまで、書き換えの対象は驚くほど広範囲に及びます。

写真や動画、音声データといった画像・映像データの改竄も、近年ではめずらしくなくなりました。

AI技術が身近になったことで、素人でも自然な改竄画像を作れる時代になり、デジタル技術の広がりとともに改竄という行為そのものも急速に多様化しているのが今の現状です。

「改竄」の由来・語源―「竄」の字が持つ「隠れる」の意味

「竄」という漢字は、「穴かんむり」と「鼠(ねずみ)」という二つのパーツを組み合わせてできている、少し変わった成り立ちの字です。

「穴かんむり」は洞穴を、「鼠」はその名の通りネズミを表す部首で、両方合わせて一つの漢字になっています。

穴の中にネズミがじっと身をひそめている様子を表しており、そこから「隠れる」「逃げる」という意味を持つようになったと言われています。

もともとは中国の古い漢籍で使われていた由緒ある字で、現代の日本語の日常会話にはほとんど登場しません。

この「隠れる」という意味を持つ「竄」に、「あらためる」を意味する「改」という字が結びつきました。

そこから「こっそりと書き換えて、その事実を隠す」という今の意味が生まれたと言われています。

「竄」という一文字だけでも「逃竄(とうざん)」のように、逃げ隠れするという意味で使われることがあります。

普段の会話で使う機会はほぼありませんが、法律や学術の世界では今も使われ続けている、由緒正しい漢字なのです。

由来をたどってみると、「改竄」がただの「変更」とは違う、隠す意図とセットになった言葉だということがよく分かります。

この語源を知っておくと、なぜこの言葉が持つ響きがどこか重く感じられるのか、納得できるはずです。

「改竄」と「改ざん」表記はどちらが正しいのか

結論から先にお伝えすると、「改竄」と「改ざん」はどちらも正しい表記であり、意味や読み方に違いは一切ありません。

どちらを使っても間違いではないので、この点はまず安心していただいて大丈夫です。

前の章でも触れた通り、「竄」は常用漢字表に入っていない漢字です。

そのため新聞やテレビ、官公庁が作成する公用文などでは、読みやすさを優先して「改ざん」という、漢字とひらがなを交ぜて書く「交ぜ書き」が広く使われています。

一方で契約書や学術論文、法律関係の文書、あるいは辞典などでは、正式な漢字表記として「改竄」がそのまま使われる場面も少なくありません。

とくに法律の条文や判例、公式な契約書のひな形などでは、あえて正式な漢字表記を用いる傾向が見られます。

新聞社や放送局によって表記の方針が異なる場合もあり、社によっては見出しで「改ざん」、本文の解説で「改竄」と使い分けることもあります。

読み手としては、どちらの表記を見ても同じ言葉だと理解しておけば十分です。

読み方も意味もまったく同じなので、「改竄」「改ざん」のどちらを使っても誤用にはあたりません。

この記事でも読みやすさを考えて文脈に応じ両方の表記を使うことがありますが、意味はまったく変わらないと理解しておいてください。

「改竄」が使われる具体的な場面

「改竄」という言葉が実際に登場する場面は、思っている以上に幅広く、実はわたしたちの日常生活のすぐそばにも静かに潜んでいます。

ニュースや新聞で見聞きする機会がとくに多いのは、企業や公的機関が関わる不正のケースです。

まず誰もが思い浮かべる代表的な場面が、企業の会計帳簿や伝票、決算書に関わる不正です。

取引先や銀行、株主の目を欺くために売上や経費の数字を実際より良く見せて書き換える、いわゆる粉飾決算の文脈でとくによく使われる言葉です。

行政機関が作成する公文書や、企業同士で交わす契約書、社内会議の議事録なども、改竄の対象になり得る大切な文書です。

政治や行政に関するニュースで「公文書改竄」という言葉を耳にしたことがある方も、きっと多いのではないでしょうか。

近年とくに増えているのが、パソコンやスマートフォンの中で完結するデジタルデータに関する改竄です。

システムのアクセスログや画像データ、ファイルの作成日時を示すタイムスタンプなどを書き換える行為も、立派な「改竄」の一つにあたります。

このほか、履歴書に書く経歴や学歴、保有資格を実際とは異なる内容にこっそり書き換えることも、改竄の一種とされています。

こうして見ると、改竄という行為はどこか遠い特別な世界の出来事ではなく、私たちの身近な書類にも起こり得る問題だと感じられるはずです。

「改竄」を使った例文

  • 【例文1】経理担当者が売上データを改竄した
  • 【例文2】決算書の数字が何者かによって改竄されていた
  • 【例文3】社内調査の結果、書類の改竄が発覚した
  • 【例文4】担当者は改竄の事実を隠蔽しようとした
  • 【例文5】画像編集ソフトで証拠写真が改竄された可能性がある
  • 【例文6】彼は公文書を改竄した罪に問われている

例文を見ると分かる通り、「改竄」は「〜を改竄した」という能動の形でも、「〜が改竄されていた」という受動の形でも、どちらも違和感なく自然に使うことができる言葉です。

誰がやったのかをまだ明言できない、あるいは主語がまだ特定できていない段階のニュース記事などでは、あえて受動形が選ばれる傾向があります。

とくにニュース記事では「改竄が発覚した」「改竄を隠蔽した」のように、発覚や隠蔽といった言葉とセットになって使われることが多いのも大きな特徴です。

この組み合わせのパターンを覚えておくと、ニュースの内容がぐっと理解しやすくなるはずです。

いずれの例文にも共通しているのは、書き換えた本人にとって都合の良い方向へ、事実を意図的にゆがめているという点です。

この「意図的に、こっそりと」という部分こそが、改竄という言葉が持つ本当の核心だと言えるでしょう。

「改竄」と「偽造」「捏造」「変造」の違いとは

「改竄」とよく似た言葉に「偽造」「捏造」「変造」があります。

ニュースなどでもまとめて語られることが多く、意味が重なる部分もあるため、正しく使い分けられている人は意外と多くありません。

「偽造」は、本物として存在しないものを一から作り出すことです。

偽のブランド品を製造したり、存在しない人物の印鑑や証明書をでっち上げたりする行為がこれにあたります。

「捏造」は、事実として存在しない話やデータを、あたかも本当にあったかのように作り上げることです。

もとになる本物の記録に手を加える「改竄」に対し、「偽造」も「捏造」もゼロから偽物を生み出す点が根本的に違います。

もっとも紛らわしいのが「変造」で、こちらも真正な文書や記録に変更を加える行為を指し、「改竄」とほぼ同じ意味で使われることもあります。

たとえば小切手の金額をひそかに書き換えたり、契約書の一部の条項だけをこっそり差し替えたりする行為は、改竄とも変造とも表現され、文脈によってどちらの言葉を使うかが決まります。

法律の世界では、変更を加えた結果もとの文書の同一性が保たれているかどうかなどによって呼び方が変わることがあります。

日常会話では「改竄」だけで幅広くカバーできますが、契約書や訴訟に関わるかしこまった場面では「変造」という言葉が使われることもあると覚えておきましょう。

「改竄」は犯罪になるのか―関連する法律

「改竄」は単なるマナー違反ではなく、内容や対象によって刑法上の犯罪になり得る行為です。

「ちょっと書き換えただけ」のつもりでも、法律の世界では立派な犯罪として扱われる可能性がある点は覚えておきたいところです。

契約書や領収書などの私文書に手を加えれば「私文書変造罪」、役所が作る公文書であれば「公文書変造罪」に問われる可能性があります。

とくに公務員自身が職務の中で公文書の内容を書き換えた場合は「虚偽公文書作成罪」として、私人よりも重い刑が科される仕組みになっています。

近年増えているパソコンやサーバー上のデータの改竄については、「電磁的記録不正作出罪」という条文が刑法に設けられており、紙の文書に限らずデジタルデータの書き換えも処罰の対象になります。

企業が決算や検査データを改竄した場合は、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)に発展することもあります。

この場合、行為者個人だけでなく会社そのものが刑事罰や課徴金の対象になる点も見逃せません。

実際に改竄が発覚すると、刑事罰の有無にかかわらず、経営者の引責辞任や取引停止、業務改善命令など社会的な信用を失う結果につながる傾向があります。

一度失った信用を取り戻すには長い時間がかかるため、改竄は割に合わない行為だと言えるでしょう。

「改竄」の英語表現―tamperとfalsifyの使い分け

「改竄」を英語で表現する場合、対象や状況、そして書き換えの度合いに応じて、いくつかの単語を使い分ける必要があります。

データや記録そのものを書き換える場合は「falsify」が最も一般的で、名詞形は「falsification」です。

「falsify the data(データを改竄する)」のように、数値や文書の中身そのものを書き換える場面で使われる単語です。

一方、証拠や機器に不正に手を加えるニュアンスでは「tamper with」がよく使われます。

「tamper with evidence(証拠を改竄する)」のように、対象にこっそり触れて本来の状態を変えてしまうイメージを持つ言葉です。

「falsify」が中身の書き換えに重点を置くのに対し、「tamper with」は対象への不正な干渉に重点がある点が使い分けのポイントです。

報道記事などでは、この2つの単語がセットのように登場します。

このほか「alter」は変更全般を指すやや中立的な言葉で、「doctor」は写真や文書を意図的に操作するくだけた表現として使われ、いずれも文脈次第で「改竄」の訳語になり得ます。

ニュース英語を読むときは、これらの単語が出てきたら何がどう改竄されたのかを意識して読むと理解が深まります。

「改竄」が世間を騒がせたニュース・事例

「改竄」という言葉が広く知られるようになった背景には、たびたび報道されてきた不祥事の存在があります。

とくに近年は、企業や行政による改竄が相次いで発覚し、ニュースで大きく扱われるようになりました。

製造業では、製品の品質検査データを改竄し、本来の基準を満たしていないにもかかわらず「合格」として出荷していたという事例が、これまで業界を問わず繰り返し報じられてきました。

こうした検査データ改竄は、企業の信頼を大きく損なうだけでなく、製品を使う消費者の安全にも関わる問題として扱われます。

行政の分野でも、決裁文書の記載内容が後から書き換えられていたとされる「公文書改竄」の問題が発覚し、当時大きな社会問題となったことがあります。

担当者が組織の中で上からの指示を受けて書き換えを行っていたとされ、個人の問題ではなく組織的な体質が問われる事態に発展しました。

この一件は国会でも繰り返し取り上げられ、行政文書の管理や情報公開のあり方そのものを見直すきっかけになったと言われています。

こうした報道が繰り返されるたびに「改竄」という言葉がニュースの見出しやワイドショーに登場し、もともとは硬い言葉でありながら、一般の人にも広く知られる言葉として定着していきました。

「改竄」についてのまとめ

まとめ
  • 読み方は「かいざん」で、これ以外の読み方はありません。
  • 意味は、本物として存在する文書やデータに不正な変更を加えることです。
  • 「竄」の字には「隠れる」という意味があり、こっそり書き換えるニュアンスを含みます。
  • 正式な表記は「改竄」ですが、常用漢字外のため「改ざん」という表記も広く使われています。

「改竄」は、もとになる本物の文書やデータに、こっそりと不正な変更を加える行為を指す言葉でした。

読み方は「かいざん」の一択で、由来をたどると「隠れる」という意味を持つ「竄」の字に行き着き、こっそり書き換えるというニュアンスがそこに込められています。

表記に迷ったときは「改竄」でも「改ざん」でも間違いではありませんが、常用漢字の制限がある新聞や公的な文書では「改ざん」表記が使われる場面が多いと覚えておくと安心です。

また「偽造」「捏造」「変造」といった似た言葉との違いを意識しておくと、ニュースや契約書を読むときの理解がぐっと深まるはずです。

「改竄」は決して他人事ではなく、データや文書を扱うすべての仕事に関わりうる言葉だからこそ、正しい意味を知っておく価値があります。

読み方・意味・由来から使い分けまでを押さえておけば、日頃から言葉の意味を正確に扱う一歩になり、思わぬ誤解やトラブルを防ぐことにもつながるはずです。