「統合的」とは?意味や例文や読み方や由来について解説!

「統合的」という言葉の意味を解説!

「統合的」とは、複数の要素をばらばらに扱うのではなく、全体として一体的に捉え、まとめ上げる様子を表す形容動詞です。日常会話でもビジネスシーンでも、「バラバラな情報を統合的に整理する」などの使い方が見られます。部分を重ねるだけでなく、相互作用まで踏まえて全体像を描くニュアンスがある点がポイントです。

学術分野では「ホリスティック(holistic)」という英単語の訳語としても用いられます。医学なら身体と心、環境の総合的な働きを見る考え方、教育なら知識・技能・態度を一体として育むアプローチが該当します。つまり、狭義の「総合」と違い、相互関連性に重きを置く言葉だと覚えておきましょう。

個々のパーツの足し算ではなく、関係性を含めた掛け算で全体を捉える点が「統合的」の核心です。

「統合的」の読み方はなんと読む?

「統合的」は「とうごうてき」と読みます。「統」は「すべ(る)」「おさ(める)」、あるいは「まとめる」の意を持ち、「合」は「合わせる」を意味します。二つが合わさり「全体をまとめる」というニュアンスが生まれます。

漢字の読みは小学校高学年〜中学校で習う基本的な音読みです。音読みで続けて発音しやすいので、会議や発表のときも詰まる心配はありません。ただし「統御(とうぎょ)」「統制(とうせい)」と混同しないよう注意しましょう。

辞書的には形容動詞なので「統合的な」「統合的に」と活用させるのが正しい形です。

「統合的」という言葉の使い方や例文を解説!

「統合的」は「全体視点でまとめる」文脈であれば、ビジネス・研究・教育など幅広く使えます。特に「統合的アプローチ」「統合的評価」「統合的戦略」など、名詞を後ろに置いた複合語が定番です。

【例文1】統合的なマーケティング戦略により、オンラインとオフラインの施策を一気通貫で実施する。

【例文2】多角的なデータを統合的に分析して、顧客ニーズを可視化した。

これらの例では「複数のチャネル」「多角的なデータ」など、部分が複数存在することが前提です。さらに、統合的にする目的は「相乗効果」や「全体最適化」にある点も押さえましょう。

書類や報告書で多用すると抽象度が高くなりがちなため、「何をどう統合するか」を具体的に示すと説得力が増します。

「統合的」という言葉の成り立ちや由来について解説

「統合」は古くから漢籍に見える熟語で、中国宋代の書物に「統合群籍」という表現が残っています。日本へは奈良〜平安期に漢文学とともに伝わり、明治以降の学術用語として定着しました。

20世紀半ば、心理学者カート・ゴールドスタインが提唱した「ホリスティック原理」を翻訳する際に「統合的アプローチ」が使われたことで、学術分野で急速に広まりました。医学や教育だけでなく、環境科学や社会学にも応用され、「holistic=統合的」という対応関係が日本語として固まったのです。

また、日本の経営学では1950年代に「統合的経営」という言葉が登場し、経営戦略の鍵概念として用いられました。こうした学際的な流入によって、現在の多用途な語感が形づくられたといえます。

「統合的」という言葉の歴史

日本語の歴史を振り返ると、「統合的」が一般向けに普及したのは戦後の高度経済成長期以降です。政策文書や白書で「統合的施策」「統合的開発」といった表現が増え、新聞・雑誌が報じることでビジネスパーソンにも浸透しました。

1980年代にはITの発展とともに「統合的データベース」や「統合的情報管理」という形で技術系分野に拡大します。2000年代になると、環境分野で「統合的水資源管理(IWRM)」が国際的に提唱され、国内でも頻出語に。近年はSDGsやDX(デジタルトランスフォーメーション)の文脈で、「統合的な価値創造」というキーワードが注目されています。

このように、社会課題が複雑化するほど「統合的」という概念が必要とされる傾向があるといえるでしょう。

「統合的」の類語・同義語・言い換え表現

代表的な類語は「総合的」「包括的」「横断的」「複合的」などです。ただし完全な同義ではなく、ニュアンスの違いに注意しましょう。

「総合的」は数や種類が多いものを一まとめにするイメージが強く、相互作用の深掘りは必須ではありません。「包括的」は漏れなく包み込む印象があり、網羅性を示す際に適します。「横断的」は分野や部署を跨ぐ広がりを示し、「複合的」は要素が組み合わさる複雑さを強調します。

【例文1】複数部門を横断的に連携させ、統合的なサービスを提供する。

【例文2】データを包括的に収集し、総合的に分析した結果をまとめる。

状況に応じて言い換えを選択すると、文章の精度が上がります。

「統合的」が使われる業界・分野

医療業界では「統合医療(Integrative Medicine)」が代表例です。これは西洋医学に加え、漢方や鍼灸など補完代替医療を組み合わせ、患者を全人的にケアする考え方を指します。技術職であれば「統合開発環境(IDE)」、マーケティングなら「統合的マーケティングコミュニケーション(IMC)」といった形で日常的に登場します。

教育分野では「統合的学習(Integrated Learning)」が注目され、教科横断型のカリキュラムが導入されています。政策・行政分野だと「統合的水資源管理」「統合的交通政策」など、持続可能な社会形成に欠かせない概念として採用されています。

IT、金融、建築、農業などでも「統合的プラットフォーム」「統合的リスク管理」「統合的農業モデル」など多様な用例が存在します。それぞれの業界課題を横串で捉える際に便利なキーワードだと言えるでしょう。

「統合的」についてよくある誤解と正しい理解

「統合的=何でも一緒くたにする」と思われがちですが、それは誤解です。統合的とはあくまで「関係性」や「相互作用」まで踏まえて全体を最適化することであり、単なる寄せ集めではありません。

もう一つの誤解は「大規模プロジェクトでしか使えない」という見方です。実際には、家庭の家計管理でも収支・資産・将来設計を統合的に考えると効果的です。規模よりも「複数要素を俯瞰する姿勢」が重要だと覚えてください。

また、「総合的」との違いをあいまいにするケースがあります。前述のように、統合的は「動的な連携・統括」を含む点が特徴です。言い換えや併用の際は、説明を加えると誤解を防げます。

「統合的」という言葉についてまとめ

まとめ
  • 「統合的」とは、複数要素を相互関係まで踏まえて一体的にまとめる意味を持つ形容動詞です。
  • 読み方は「とうごうてき」で、「統合的な」「統合的に」と活用します。
  • 漢籍由来の「統合」が明治以降の学術翻訳を通じて発展し、現在の広範な用法に至りました。
  • 使用時は「何をどう統合するか」を具体化し、単なる寄せ集めと区別することが大切です。

統合的という言葉は、部分の足し算ではなく掛け算を意識した全体最適化の発想を示すキーワードです。医療・教育・ITなど多様な業界で活用され、現代社会の複雑な課題を解決するうえで欠かせない概念となっています。

読みやすさのためには、例文や具体的な対象を示し「どの要素を統合するのか」を明確にすることがポイントです。誤解を避け、正しい意味で使いこなせば、あなたの提案や議論がより説得力を増すでしょう。