「鋭い」とは?意味や例文や読み方や由来について解説!

「鋭い」という言葉の意味を解説!

「鋭い」は「先端がとがっていて切れ味がある」「感覚や判断がすばやく的確である」といった二つの主要な意味を持つ形容詞です。物理的な刃物の切れ味に使われるほか、人の洞察力や視線など抽象的な対象にも用いられます。さらに、音や匂いなど刺激が強いものを表す際にも使われ、「鋭い金属音」「鋭い薬品臭」というように感覚的な強度を示します。こうした多義性があるため、文脈に応じて「物理的」「心理的」「感覚的」のどの意味かを判断する必要があります。

「鋭い」はポジティブ・ネガティブ両方のニュアンスを含みます。誉め言葉として用いる場合は「鋭い批評」「鋭い着眼点」のように知的優位性を示し、ネガティブに使う場合は「鋭い痛み」「鋭い視線」のように恐怖や威圧感を示します。このように対象や状況に応じてプラスにもマイナスにも働く語なので、相手や場面への配慮が求められます。

「鋭い」の読み方はなんと読む?

「鋭い」は一般に「するどい」と読みます。音読みは「エイ」ですが、現代語では専ら訓読みの「するどい」が使われます。漢字表記は常用漢字表に掲げられ、新聞や公文書でもそのまま使用可能です。

送り仮名は「鋭い」と書くのが正則で、「鋭い刃物」「刃先が鋭い」のように形容詞の語尾「い」を省略せず表記します。また、形容詞の活用に合わせて「鋭さ」「鋭く」など語形変化も行います。ひらがなで「するどい」と書くことも可読性を優先する文章では推奨されますが、正式な文書では漢字表記が望まれます。

「鋭い」という言葉の使い方や例文を解説!

「鋭い」は物理的・抽象的・感覚的いずれの対象にも幅広く使える便利な形容詞です。ただし意味が曖昧にならないよう、修飾する名詞を明確にすることが大切です。

【例文1】鋭い包丁のおかげで食材がきれいに切れた。

【例文2】彼女の鋭い質問が議論の核心を突いた。

注意点として、人物に対して用いるときは「鋭い指摘」「鋭い視線」といった表現が時に威圧的に響くことがあります。相手が不快に感じないよう、場面に応じて「的確な」「洞察力のある」など穏当な言い換えを検討するとよいでしょう。

「鋭い」という言葉の成り立ちや由来について解説

「鋭」という漢字は「金(かね)」偏と「兑(エツ)」から成り、「金属がとがっているさま」を象形的に示します。古代中国では「刃物の切れ味」を指す語として成立し、日本には漢字文化伝来とともに取り入れられました。日本の上代文献である『日本書紀』や『万葉集』には未確認ですが、平安期以降の漢詩文や武家文書には「鋭利」「精鋭」といった熟語が既に登場しています。

訓読み「するどい」は上代日本語の形容詞「するどし」が転訛したものと考えられ、「す」は「尖る」を示す接頭語、「るど」は鋭角や突出を表す語根とされます。漢字の導入以前から存在した和語に漢字が当てられた「当て字」的経緯を持つため、音読みと訓読みが並立しています。

「鋭い」という言葉の歴史

奈良時代以前の文献には形容詞「するどし」の用例が少なく、鎌倉期の武士階級の記録に「鋭き太刀」「鋭き矢尻」といった語が増加していきます。室町期には能や狂言で「鋭い声」という比喩的用法が現れ、近世江戸期の洒落本では「鋭い目つきで睨む」と心理的な意味が定着しました。

明治以降の近代日本語では、西洋由来の概念を翻訳する際に「鋭敏」「鋭角」「先鋭化」などの熟語が盛んに作られ、感覚や思想のシャープさを示す語として領域を拡大します。現代ではIT分野で「鋭い指摘」、医学分野で「鋭痛」のように専門語にも日常語にも定着しています。こうして「鋭い」は1,000年以上にわたり意味を拡張しつつ日本語に定着した語といえます。

「鋭い」の類語・同義語・言い換え表現

「鋭い」の類語は文脈によって変わります。切れ味に関しては「とがった」「切れる」「鋭利な」、感覚や思考に関しては「敏い(とい)」「シャープな」「的確な」「洞察力のある」などが相当します。

【例文1】鋭利な刃物で紙をスパッと切り分けた。

【例文2】彼の洞察力のあるコメントが議論を活性化させた。

言い換えを用いることで語調を柔らげたり、専門性やカジュアルさを調整したりできます。例えばビジネスメールでは「鋭いご指摘」より「的確なご指摘」のほうが相手への配慮が感じられます。

「鋭い」の対義語・反対語

対義語には物理的には「鈍い(にぶい)」「丸い」、抽象的には「鈍感な」「緩慢な」「ぼんやりした」などが挙げられます。

【例文1】刃こぼれで包丁が鈍くなった。

【例文2】鈍感な返答では顧客の不満に気づけない。

「鋭い」と「鈍い」はあらゆる文脈で対比される基本ペアであり、二語をセットで覚えると語感がつかみやすくなります。なお、「鋭角」と「鈍角」のように数学用語でも対義が成立します。

「鋭い」を日常生活で活用する方法

料理では包丁やピーラーの「鋭さ」を保つことで調理効率と安全性が向上します。こまめな研ぎと専用保管がポイントです。ビジネスでは会議やブレインストーミングで「鋭い着眼点」を示すことが評価につながります。事前準備と多角的視点が鋭さを生み出します。

コミュニケーションでは、相手の気持ちを察する「鋭い感性」が円滑な人間関係を作ります。ただし過度に踏み込みすぎるとプライバシー侵害になりかねません。日常で「鋭さ」を活かすには“適切な場面選択”と“度合いのコントロール”が欠かせません。

「鋭い」に関する豆知識・トリビア

日本刀の「鋭さ」は硬度だけでなく「刃文」と呼ばれる焼き入れ模様の形状が影響します。宇宙物理ではブラックホールの事象の地平線付近の重力勾配を「鋭い」と比喩表現する研究者もいます。

英語の“sharp”は「鋭い」「急激な」のほか「音が高い」「機転が利く」という幅広い意味を持ち、日本語の「鋭い」と機能的に重なります。音楽で音程を半音上げる“♯”記号も“sharp”=「高く鋭い音」に由来します。

「鋭い」という言葉についてまとめ

まとめ
  • 「鋭い」は物理的なとがりや切れ味、そして感覚や思考の鋭敏さを示す形容詞。
  • 読み方は「するどい」で、常用漢字として公的文書にも使える。
  • 和語「するどし」に漢字「鋭」が当てられ、中世以降に意味を拡張して定着。
  • 誉め言葉にも警告にもなるため、文脈と相手への配慮が重要。

「鋭い」は日常的にも専門的にも頻繁に登場する語であり、その多義性が魅力でもあります。刃物の切れ味から議論の洞察まで、一語で切れ味の良さや感覚の鋭敏さを的確に表現できます。

一方で受け手によっては攻撃的に響くこともあるため、対人表現では同義語への言い換えや語調を工夫することが大切です。意味・歴史・使い方を正しく理解し、場面に応じた“鋭さ”を上手に活用しましょう。