「形式」とは?意味や例文や読み方や由来について解説!

「形式」という言葉の意味を解説!

「形式」とは、物事の外見的な姿や一定の枠組み、手続きの方法などを示す言葉で、本質的な内容とは区別される“形”の側面を指します。たとえば書類の「提出形式」や芸術の「表現形式」のように、何かを示すときの枠やルールを意味します。内容を包む器のような概念、と覚えると理解しやすいです。

形式はラテン語の「forma(形)」に相当する概念で、日本語では「かたち」を重視する文化的背景とも深く結びついています。礼法における作法、茶道の「型」など、内容よりも手順そのものを尊ぶ文脈でも多用されます。

また、IT分野ではデータ形式のように「どのように並んでいるか」という構造を示し、法律分野では訴状の「様式」とほぼ同義で用いられます。汎用性が高く、場面によって指し示す具体像が変わる点が特徴です。

ただし形式が重視されすぎると、形骸化して目的を見失う恐れがあります。内容とのバランスを取ることが、現代社会で形式を扱う際の重要なポイントです。

「形式」の読み方はなんと読む?

もっとも一般的な読み方は「けいしき」で、音読みの“けい”と“しき”を続けて発音します。日常会話でも「ファイルのけいしきを変える」のようにそのまま用いられることが大半です。

一方、古典や詩歌などでは「形式」を「かたち」と訓読みする例もあります。たとえば明治期の文学批評では「形式と内容」という言い回しが際立っており、そこでは「かたち」とルビを振る書籍が散見されます。

歴史的仮名遣いを学ぶ際には「けいしき」よりも「けいしき(けいしき)」と示され、読みの揺れはあまり大きくありません。ひらがな表記「けいしき」は簡易表現として辞書にも掲載されていますが、公的文書では漢字を使うのが一般的です。

なお、同じ漢字構成である「刑式(けいしき)」と混同しないよう注意が必要です。こちらは刑罰の執行方法を指し、意味がまったく異なります。

「形式」という言葉の使い方や例文を解説!

形式は「~形式で」「形式的に」「形式上」などの形で、副詞的・形容詞的にも柔軟に使える便利な語です。事務作業の場では「正式な書式」とほぼ同義で用いられ、芸術の評論では「スタイル」と同格として扱われます。

【例文1】このファイルはPDF形式で送付してください。

【例文2】形式的な挨拶だけで本題に入らなかった。

【例文3】短歌の形式は五七五七七と定められている。

【例文4】形式上は賛成だが、内容には疑問が残る。

例文から分かるように、形式は「形」「枠」「規格」といった抽象的な枠組みを示します。内容との対比で使う際は「形式的に」という副詞形が便利で、事実上意味の薄い動作を示唆できます。

また、デザイン分野では「形式美」という言葉があり、構造そのものの美しさを称えるときに登場します。対照的に、過度に形式に縛られると「形骸化」という否定的評価を受けることも覚えておくと良いでしょう。

「形式」という言葉の成り立ちや由来について解説

「形」と「式」という二つの漢字が合わさり、“かたち”と“しきたり”を同時に示す熟語として成立しました。「形」は物体の姿を表し、「式」は礼式・方式のように一定の手順や方法を指します。両者が融合することで「一定の手順を伴った形態」という意味が生まれました。

中国古典には「形式」という語がすでに見られ、儒家の礼制を表す語彙として用いられていました。日本へは奈良時代以降の漢籍伝来とともに渡来したと考えられます。

中世の日本では「けいしょく」や「ぎょうしき」と読まれる例もありましたが、近代以降に「けいしき」で定着しました。明治期の翻訳語としては、西洋哲学における“form”の訳語に選ばれたことで、学術用語としての地位を確立します。

このように「形式」は東アジアの礼制思想に始まり、西洋近代思想の輸入を経て広範な領域に浸透した、国際性の高い語彙といえます。

「形式」という言葉の歴史

奈良・平安時代の律令制で儀式の「式目」を司る語として使われた後、明治期の学問的翻訳を経て一般社会に定着しました。律令制では「延喜式」などの法典があり、そこでは国家儀礼の手順が「式」と呼ばれました。ただし当時は「形式」という二字熟語は稀で、「式」と「形」が別々に用いられていました。

室町時代の能楽書には「形と心」「形を破る」といった表現が登場し、「形=形式」の萌芽が見て取れます。江戸時代になると武家礼法や茶道で「型・形」を尊ぶ思想が強まり、「形式を踏まえる」という感覚が庶民にも広がりました。

明治以降、西洋の学術書を日本語に訳す際に「form=形式」が採用されます。哲学者の西周が1860年代に使用例を残しており、これが現在に繋がる決定打となりました。大正・昭和期には教育制度の整備とともに「文章の形式」「試験の形式」といった表現が教科書に載り、全国に普及しています。

現代ではIT革命により「データ形式」「ファイル形式」など電子情報の分野でも不可欠な語となりました。こうした経緯から、「形式」は時代の変化に合わせて適用範囲を拡大し続ける語といえます。

「形式」の類語・同義語・言い換え表現

代表的な類語には「様式」「パターン」「スタイル」「フォーマット」「形態」などがあり、文脈に応じて置き換えが可能です。文書作成では「様式」がもっとも近く、官公庁では「提出様式」と表記することが多いです。デザインや芸術の分野では「スタイル」がよく用いられ、自由度の高い表現が求められる場面で優れています。

プログラミングでは「フォーマット」が対応語となり、具体的なデータ配置や記号の有無を示します。「パターン」は連続発生する繰り返し構造を指すため、厳密な仕様よりも大まかな流れを示すニュアンスが強いです。

「形態」は生物学・考古学などで使用され、外面的な姿を客観的に示す語として重宝されます。これらを適切に選ぶことで文章に色合いがつき、読み手に正確なイメージを届けられます。

「形式」の対義語・反対語

対義的な概念としてもっともよく挙げられるのは「内容」で、英語では“content”に相当します。形式が外側の枠や手順を示すのに対し、内容は内包される実質や情報を示します。学校教育では「形式と内容の二項対立」という構図で説明されることも多いです。

その他の反対語としては「本質」「実質」「実態」「中身」などが挙げられます。ビジネスの場面で「形式を整えるより実質を重視しよう」といった議論がしばしば起こるのはこの対立関係が原因です。

ただし形式と内容は二者択一ではなく、両輪のように補完し合います。最適なバランスを模索することで、社会的な合意形成がスムーズに進むことを覚えておくと良いでしょう。

「形式」を日常生活で活用する方法

日常でも「形式を整える」意識を持つことで、伝達ミスや誤解を減らし、生活の質を高めることが可能です。たとえばメール本文で「宛名・挨拶・本文・結び」の形式を守ると、相手に丁寧な印象を与えられます。料理の盛り付けも「形式美」に通じ、器の選択や配置で味覚以上の満足感を提供できます。

さらに家計簿の入力形式を統一すると、後で見返す際に分析しやすくなります。写真整理アプリでは「ファイル名+日付」の形式を決めておくことで、データの検索性が向上します。

礼儀作法では「起立・礼・着席」のような形式を守ることで集団行動が円滑に進みます。形式を意識するだけで、時間短縮やトラブル防止に直結する例が意外に多いのです。

形式に縛られすぎると息苦しくなる場合もありますが、「型を知った上で崩す」ことが創造性を高める定石です。まずは基本の形式を理解し、目的に応じて柔軟に応用する姿勢が大切です。

「形式」という言葉についてまとめ

まとめ
  • 「形式」とは物事の外側の形や一定の手順・枠組みを示す言葉です。
  • 読み方は主に「けいしき」と音読みし、稀に「かたち」と訓読みされます。
  • 奈良時代の礼制から明治期の学術翻訳を経て現代のIT用語まで発展しました。
  • 内容とのバランスを意識し、目的に応じて柔軟に活用することが重要です。

形式は外側の“かたち”を示す一方で、社会生活を円滑にする潤滑油の役割も果たします。歴史的にも礼法からデータ構造まで幅広く受け継がれてきた語であり、現代人にとっても無視できない概念です。

読み方や類語・対義語を押さえることで、文章表現やコミュニケーションの幅が広がります。形式だけに囚われず内容との相互補完を意識すれば、ビジネスでもプライベートでも確かな成果が得られるでしょう。