「学習動機」の読み方
「学習動機」は「がくしゅうどうき」と読みます。
「学習」と「動機」の間で特に区切りを意識する必要はなく、声に出すときも一息でつなげて、ひと続きの複合語としてそのまま読んで構いません。
学習塾や自主学習、学習指導要領、犯行の動機や購買動機など、教育からニュース、マーケティングの場面まで幅広く使われている音の組み合わせなので、読み方そのものに迷うことはまずありません。
専門書や論文、新聞記事、教育関連のウェブサイトなどでも、わざわざふりがなが振られることの少ない言葉です。
学習は「学(がく)」+「習(しゅう)」、動機は「動(どう)」+「機(き)」という、どちらも小学校で習う基本的な漢字を使った、安定した音読みの組み合わせです。
学は大学・学校、習は習慣・自習・復習のように見慣れた字で使われ、学習全体としても自然に読める組み合わせになっています。
動も運動・行動・移動、機も機械・機会・危機のように日常生活のあちこちで使う字なので、動機という読みにも引っかかる部分はありません。
二字とも単独で使うときの音をそのまま保っているため、「学習動機について調べる」のような文を見ても、特別な知識がなくてもそのまま「がくしゅうどうきについてしらべる」と自然に発音できます。
ただし読み方そのものより本当に注意したいのは、「どうき」という音が別の言葉と衝突しやすい点です。
次の章で、学習動機の「動機」と紛らわしい同音異義語を具体的に確認していきましょう。
「学習動機」の「動機」と紛らわしい同音異義語(動悸・同期)
「学習動機」の「どうき」と同じ音を持つ言葉に、「動悸」と「同期」があります。
いずれも学習動機とは全く異なる場面で使われる、よく知られた同音異義語です。
動悸(どうき)は心臓がドキドキする症状を指す医療・健康分野の言葉で、学習動機とは漢字も意味も無関係です。
「階段を上ると動悸がする」「緊張すると動悸が速くなる」「不安で動悸が止まらない」のように、体調や症状、精神的な緊張を説明する文章で頻繁に使われます。
同期(どうき)も、同期入社や同期生、データを同期するといった形で仕事やIT分野、学校生活でもよく使われる言葉ですが、こちらも学習動機とは漢字・意味ともにつながりがありません。
会社の研修や同窓会、スマートフォンのデータ同期やクラウドサービスの話題で見かけたら、学習動機とは全く別の言葉だと考えて問題ありません。
二語とも分野としては学習動機から大きく離れていますが、読みだけが完全に一致しているため、会話やディクテーションのように音声だけで聞くと紛らわしく感じられます。
特に文章を書くときは、IMEの変換ミスでこれらの言葉に置き換わっていないか確認する習慣をつけておくと安心です。
学習動機について書いた文章に「動悸」や「同期」という字が紛れ込んでいないか、送信前や提出前に一度見直すだけでも、誤変換によるミスは大きく減らせます。
学習動機という言葉を使う場面は教育や心理学に関する文章がほとんどなので、文脈から見ても判断しやすいのが幸いな点です。
「学習動機」の意味とは
「学習動機」とは、人が学習という行動を始め、それを続けていくための心理的な理由・原動力を指す、教育心理学の基本的な言葉です。
勉強そのものを指す言葉ではなく、勉強に向かわせる「エンジン」のような働きをする部分を指しています。
「なぜ勉強するのか」という問いに対する答えそのものが学習動機であり、教育心理学における基本的な概念のひとつとされています。
テストで良い点を取りたい、知らないことを知るのが楽しい、将来の仕事に役立てたい、周りから認められたい、単に習慣になっているなど、答えの中身は人によって様々です。
学習動機の中身は一つに決まっているわけではなく、興味がある、将来役立てたい、良い成績を取りたい、親や先生に褒められたい、友達に負けたくない、周りと同じことをしたいなど、人や状況によって大きく異なります。
同じ教科を勉強していても、背景にある動機は一人ひとり違っているのが普通です。
注意したいのは、学習動機が一時的な「やる気」という感覚そのものではない、という点です。
やる気はその場その場で上下する感覚ですが、学習動機はそうした感覚や行動を引き起こす、もっと根っこにある背景要因という位置づけになります。
同じ「勉強したい」という状態でも、背景にある動機のタイプを知ることで、続けるための工夫や、家庭や教室での声かけの方向性、モチベーションの保ち方も見えてきます。
次の章以降で、学習動機の具体的な分類や高め方について詳しく見ていきます。
「学習動機」という言葉の成り立ち・由来
「学習動機」は、「学習」と「動機」という二つの言葉が組み合わさってできた言葉です。
それぞれの言葉が持つ歴史的な背景を知ると、学習動機という言葉の奥行きがより見えてきます。
学習は、学んで繰り返し習うという意味を持つ古くからの漢語で、「学びて時にこれを習う、また説(よろこ)ばしからずや」という論語の一節に通じる言葉だと言われています。
学んだことをその場限りで終わらせず、何度も繰り返して身につけていくという姿勢が、この言葉の根っこにあるとされています。
一方の動機は、「動く」という字と、きっかけや引き金となる仕組みを表す「機」という字の組み合わせで、行動そのものを引き起こす引き金を意味するとされています。
機という字は機械や機会、契機にも使われるように、何かが作動するための仕組みというイメージを持つ字です。
動機という言葉は近代以降、心理学の専門用語として、あるいは犯行の動機や購買動機といった捜査やビジネスの場面で使われる言葉として定着してきた側面があるとされています。
日本語の「動機」という言葉そのものも、英語のmotiveやmotivationに当たる概念の訳語として近代に広まった言葉だとされています。
古典に由来する「学習」と、近代に専門語として広まった「動機」が組み合わさって生まれた言葉が、学習動機だと考えられています。
古い言葉と新しい言葉が組み合わさってできた、日本語らしい成り立ちを持つ言葉ともいえるでしょう。
「学習動機」における内発的動機づけと外発的動機づけの違い
学習動機は、大きく「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」の二つに分けて考えられています。
どちらが学習動機の正体かという二択ではなく、一人の中に両方が同時に存在していることも珍しくありません。
内発的動機づけは興味や楽しさそのものから生まれる動機で、外発的動機づけは報酬や評価、叱責など外部の要因によって生まれる動機です。
「知るのが楽しいから勉強する」のが内発的、「褒められたいから」「怒られたくないから」勉強するのが外発的動機づけのわかりやすい例です。
この分類の理論的な土台になっているのが、心理学者のデシとライアンが提唱した自己決定理論(Self-Determination Theory)です。
人がどのような条件のもとで自分から行動したくなるのか、やる気を持ち続けられるのかを説明する理論として、教育やビジネスの現場でもよく参照されています。
一般に内発的動機づけの方が学習の質や持続性が高いとされますが、外発的動機づけも使い方次第で十分に効果を発揮します。
テストの点数や資格、進学といった外的な目標が、最初の一歩を踏み出すきっかけとして役立つ場面も少なくありません。
注意したいのは、ご褒美を与えすぎると、もともとあった内発的動機づけそのものを損なってしまう場合がある点です。
この現象は「アンダーマイニング効果」と呼ばれており、子どもや部下への褒め方・報酬の与え方を考えるうえで重要な視点になります。
市川伸一の「学習動機の二要因モデル」が示す6タイプ
日本の教育心理学者である市川伸一は、「学習動機の二要因モデル」という考え方を提唱しました。
大学受験や資格試験のための勉強から、子どもの家庭学習まで、幅広い学習の場面を想定して組み立てられたモデルです。
このモデルは、「学習内容の重視」と「学習の功利性」という二つの軸で学習動機を整理した、日本の教育心理学を代表するモデルのひとつです。
学ぶ内容そのものに価値を感じているか、学んだ先にある実利を重視しているか、という視点から動機を読み解く枠組みになっています。
二つの軸を組み合わせることで、学習動機は充実志向・訓練志向・実用志向・関係志向・自尊志向・報酬志向という6つのタイプに分類されます。
知ることそのものが楽しい充実志向から、力をつけることが目的の訓練志向、将来役立つという実用志向、そして良い点を取ってご褒美を得たい報酬志向まで、幅広いタイプが並んでいます。
内容そのものを重視するか功利性を重視するかという二軸で考えると、同じ「勉強したい」という気持ちでも背景が大きく異なることが見えてきます。
一人の学習者の中にも複数のタイプが同時に存在しうる、という点もこのモデルの特徴です。
このモデルは教員採用試験や教育心理学の授業でも扱われる定番の内容で、日本の学校現場に即した整理のしかたといえます。
6つのタイプのどれが良い・悪いというものではなく、自分や子どもがどのタイプに近いかを知るための手がかりとして活用するのがおすすめです。
「学習動機」と「学習意欲」「動機づけ」の違い
「学習動機」と混同されやすい言葉に、「学習意欲」と「動機づけ」があります。
どちらも学習に対するやる気に関わる言葉であるため、子育てや教育の会話はもちろん、ビジネスの人材育成の場面でも、意味の違いが分かりにくいと感じる人が少なくありません。
学習意欲は学習に向かう気持ちの強さやエネルギーを指し、学習動機はその気持ちを生み出す理由を指すという、原因と結果の関係にあります。
つまり学習動機という土台があって初めて、学習意欲という形のエネルギーが表に現れてくると考えると、両者の関係を整理しやすくなります。
志望校への合格など、明確な目標からくる学習動機があるからこそ、日々机に向かう学習意欲が自然と湧いてくるのです。
反対に学習動機がはっきりしないままだと、一時的にやる気を出せても、学習意欲は長続きしにくくなります。
日常会話ではこの二つの言葉が区別されずにほぼ同じ意味で使われがちですが、心理学や教育学の分野では明確に区別して使われる言葉です。
論文や学校の指導案といった専門的な文章を読むときや、自分でレポートを書くときにも、この違いを意識しておくと内容の理解や説明がぐっと深まります。
一方の「動機づけ」は、学習動機を起こさせるために教師や親、あるいは自分自身が行う働きかけやそのプロセスそのものを指す言葉です。
理由そのものを表す名詞の「学習動機」とは異なり、「動機づけ」は働きかけという行為や過程を表す点で、役割が根本的に異なります。
子どもや自分自身の「学習動機」を高める具体的な方法
「学習動機」は生まれつきの性格や才能で決まるものではなく、日々の工夫次第で後からいくらでも高めていくことができます。
これは子どもだけに当てはまる話ではなく、資格の勉強やスキルアップを目指す大人にとっても同じです。
その日のうちに終わらせるページ数を決めるといった、小さく具体的な目標を立て、それを達成できたという成功体験をこつこつ積み重ねることが、学習動機を育てる何よりの基本です。
小さな達成感の積み重ねが自信となり、次の学習へのさらなる意欲につながっていきます。
学習内容を自分の興味や将来の夢と結びつける工夫も効果的で、英語が話せるようになった自分が海外を旅する姿を思い描くと、学習動機が自然と湧きやすくなります。
好きな科目や得意分野から関連づけて考え始めるのも、同じように有効な方法です。
ご褒美やテストの点数といった外発的な工夫も学習動機を高めるきっかけとして有効ですが、それだけに偏ってしまうと内側から湧き出る学習動機そのものは育ちにくくなるため、内発的な工夫とのバランスを取ることが大切です。
ご褒美はあくまできっかけとして使い、徐々に学ぶこと自体の面白さへとつなげていくのが理想的です。
学習動機が低いまま、あるいはほとんどない状態が長く続くと、課題の先延ばしや集中力の低下を招きやすく、結果として学力不振につながりやすくなります。
そうなる前に、まずは小さな目標設定からやり直してみることで、こうした悪循環を断ち切ることができます。
「学習動機」の使い方・よく使われる表現
「学習動機」は単独で使われるよりも、他の言葉と組み合わせた決まった言い回しとして使われることが多い言葉です。
組み合わせる言葉次第で、学習動機が芽生えていく場面と、反対に失われていく場面の両方を、同じ一つの言葉で表現できるのが特徴です。
代表的な表現には、「学習動機を高める」「学習動機づけを行う」「学習動機が湧く・芽生える」「学習動機が低下する」などがあります。
これらはいずれも、教育や心理学に関する文章で頻繁に登場する組み合わせです。
「高める」「湧く」「芽生える」はこれから学習動機を育てたい、あるいは育ちつつある場面で使われ、「低下する」はやる気が失われていく場面で使われる表現です。
同じ「学習動機」という言葉でも、組み合わせる動詞によってプラスの変化かマイナスの変化かを読み分けることができるため、前後の文脈にも注目してみると理解が深まります。
「学習動機づけ」は「学習動機」に「づけ」が付いた形ですが、動機そのものではなく、動機を起こさせる働きかけを意味する点に注意が必要です。
似た形の言葉でも指している内容がまったく違うため、使い分けを意識すると文章がより正確になります。
学校の指導案や教育学の研究論文、企業の人材育成研修の資料など、ややフォーマルな文脈で使われることが多い言葉です。
日常の雑談よりも、レポートや文章にまとめたり、人前で発表したりする場でよく見かける表現だと覚えておくとよいでしょう。
「学習動機」を使った例文
- 【例文1】子どもの学習動機を高めるために、苦手な科目を後回しにして得意な科目から取り組ませることにした
- 【例文2】最近わが子の学習動機が低下しているように感じたので、勉強机まわりの環境を一から見直してみた
- 【例文3】新入社員研修では、配属後の定着率も見据えて、受講者一人ひとりの学習動機づけを意識したカリキュラム作りが求められている
- 【例文4】資格取得という具体的な目標ができたことで、彼女の中に眠っていた学習動機が芽生えたようだ
- 【例文5】本研究は、大学生を対象に、学習動機の種類とテストの成績との関係について分析したものである
- 【例文6】学習動機を失わないよう、無理のないペースで長期的な学習計画を立てることが大切だ
例文1・2は家庭や教育現場で、子どもの様子や変化を語るときによく使われる言い回しです。
親や先生が日々のちょっとした変化に気づき、声のかけ方や接し方を変えて次の行動につなげようとする場面でよく登場します。
例文3・4のように、ビジネス研修や資格取得といった自己啓発の場面でも「学習動機」はごく自然に使われる言葉です。
社会人になってからも、キャリアアップやスキルアップ、資格の勉強を語るときに違和感なく使うことができます。
例文5のような研究・論文的な文脈では、「学習動機」はより客観的・分析的な響きを持つ言葉として使われる傾向があります。
感情的な「やる気」という言葉よりも、数値化や分析の対象として淡々と扱われている印象を受けるのが特徴です。
「学習動機」のまとめ
- 学習動機とは、学習という行動を引き起こし、持続させる心理的な理由のこと。
- 内発的動機づけと外発的動機づけという、大きく二つのタイプに分けられる。
- 市川伸一の「学習動機の二要因モデル」では、目的に応じて6つのタイプに分類される。
- 目標設定や成功体験の積み重ねなど、工夫次第で誰でも高めていける。
ここまで見てきたように、学習動機とは単なる「やる気」という漠然とした感覚ではなく、学習という行動を引き起こし、それを支え続ける心理的な理由を指す言葉です。
学習意欲や動機づけといった似た言葉ときちんと区別して理解することで、子どもや自分自身が今どんな状態にあるのかを、より正確に捉えられるようになります。
内発的動機づけと外発的動機づけという二つの大きな分類や、市川伸一の学習動機の二要因モデルが示す6つのタイプからも分かるように、ひとくちに学習動機と言っても、その中身は人によって、また場面によって実にさまざまです。
どのタイプの学習動機が強く働いているのかを知ることで、家庭や学校、職場それぞれの場面で効果的な働きかけ方も見えてきます。
自分や子どもの学習動機のタイプを知り、それぞれに合った小さな工夫を少しずつ重ねていけば、学習動機は年齢に関わらず誰でも後から育てていくことができます。
今日からできる小さな一歩を一つずつ積み重ねて、学びそのものを前向きで楽しいものに変えていきましょう。