「起因して」とは?意味をまず結論から解説
「起因して」とは、「それが原因・きっかけとなって、ある結果や出来事が引き起こされた」という意味を表す言葉です。
つまり、何らかの結果には必ずそれを引き起こした発端があり、その発端を示すときに使う言葉が「起因して」です。
まず結論からお伝えすると、この言葉はある出来事や状態が生まれた発端をていねいに説明するための表現であり、ニュース記事や報告書など正確さが求められる文章でよく見かけます。
読み手に「なぜそうなったのか」を筋道立てて伝えたいときに役立つ言い回しです。
もともとは動詞「起因する」の連用形に、接続助詞の「て」が付いてできた形で、「起因する」自体が「ある物事がきっかけとなって起こる・生じる」という意味を持つ動詞です。
「起因する」は自動詞であり、単独で使われるよりも「〜に起因する」という形で使われるのが基本です。
ここで言う原因は、数ある要因のひとつをただ挙げるというよりも、物事が動き出す最初のきっかけ、いわば発端に近いニュアンスを持っており、結果を生んだ一連の流れの出発点を指し示す言葉だと考えるとわかりやすいです。
たとえば大きな事故の背景にはいくつもの要因が重なっていますが、「起因して」で示されるのは、その中でも最初の引き金となった部分です。
「起因して」は誰かを責めたり非難したりするための言葉ではなく、事実関係を客観的に説明するときに選ばれる語感を持っています。
そのため感情的に原因を追及する場面よりも、経緯を落ち着いて淡々と述べたい場面でよく用いられる言葉です。
「起因して」の読み方は「きいんして」で合っている?間違えやすい読み方に注意
「起因して」の正しい読み方は「きいんして」です。
音読みだけで構成されたシンプルな読み方なので、覚えてしまえば迷うことはありません。
「起」を「キ」、「因」を「イン」と読む音読みの組み合わせで、どちらも小学校で習う馴染みのある漢字なので、読み方自体はそれほど難しい言葉ではありません。
訓読みのような特別な読み方をする部分もなく、比較的覚えやすい部類に入り、たとえば「起」は起立の「起」、「因」は原因の「因」と考えると、より覚えやすくなります。
ただし似た響きを持つ言葉につられて、「きげんして」のように読み間違えてしまう人が少なくないため注意が必要です。
似ている音の言葉が多いことも、勘違いが生まれやすい一因と言えるでしょう。
これはおそらく、意味や字面が近い「起源」や、発音が似ている「期限」といった同音・近音の熟語に引っ張られてしまうことが原因ではないかと考えられています。
声に出して読む機会が少ない言葉だからこそ、こうした思い込みが起こりやすいとも言えます。
また読み方だけでなく、「起因」を「起困」のように書き間違えたり、変換ミスに気づかないまま送信してしまったりするケースも見られるため、読みと表記の両方を「きいんして」「起因して」で正しくそろえておきましょう。
特にウェブ上の文章では変換ミスがそのまま公開されやすいので、投稿前に見直す習慣をつけると安心です。
「起因して」に使われる漢字の意味と由来・成り立ち
「起因」という熟語は、「起」と「因」という二つの漢字が組み合わさってできた言葉です。
それぞれの漢字が持つ意味を知ると、「起因」全体の意味もぐっと理解しやすくなり、漢字の成り立ちを知ることは、言葉の意味を深く理解する近道にもなります。
「起」には「立ち上がる」「事が始まる」という意味があり、「因」には「原因」「よりどころ」という意味があります。
これらは訓読みからもイメージしやすく、「起」は起きる・起こす、「因」は因る・因みにという言葉ともつながっています。
つまり「起因」は、文字どおり「物事が起こるよりどころ・きっかけ」を表す二字熟語だと理解すると覚えやすくなります。
漢字二字がそのまま意味を補い合っている、わかりやすい組み合わせの熟語と言えるでしょう。
もともとは中国から伝わった漢語で、明治以降に法律文書や公文書などかたい文章の中で使われるようになったと言われています。
日常の話し言葉というより、正式な書面にふさわしい言葉として扱われてきました。
やがて事故や事件の原因を正確に記録する必要がある報道や公的な文書にもなじみ、現在のような客観的で硬めの言葉として定着していったと考えられています。
現在ではニュースサイトやビジネス文書など、デジタルの文章でも同じように使われています。
「起因して」の文法的な使い方|「〜に起因して」の基本パターン
「起因して」は「〈原因となる名詞〉に起因して」という形で使うのが基本パターンです。
「不注意に起因して」「整備不良に起因して」のように、原因を表す名詞のあとに助詞「に」を挟んでから続け、この型さえ覚えておけば、文章の中で迷わず使いこなせるようになります。
文全体としては、原因となる出来事を前半に置き、そこから生じた結果を後半に続けるという、因果の順序に沿った構造になるのが基本です。
結論を先に言い切るのではなく、経緯を積み重ねて結果へつなげる書き方だとイメージすると分かりやすいでしょう。
活用のバリエーションとしては、現在も続く状態を表す「起因している」、名詞を修飾する「起因した〇〇」「起因するもの」なども合わせて覚えておくと、文章表現の幅がぐっと広がります。
なかでも報道や記事の中でとりわけよく見かけるのは、今回取り上げている「起因して」という、て形そのものです。
なお「起因して」の主語になるのは基本的に出来事や状態であり、人をそのまま主語にする使い方はしない点に注意してください。
たとえ人の行動がきっかけであっても、人そのものではなく、その行動や不注意といった事柄に言い換えて使うのが自然です。
また「起因して」はそれ自体で文を終える形ではなく、あとに必ず結果や説明を表す文が続く「つなぎの表現」である点も、文法上の大きな特徴です。
文を言い切りたいときは「起因します」「起因しています」など、他の活用形を選ぶ必要があります。
「起因して」を使った例文集|シーン別に紹介
- 【例文1】今回の火災は、配線の老朽化に起因して発生したと見られています
- 【例文2】この地域で相次ぐ地盤沈下は、長年の地下水くみ上げに起因していると考えられています
- 【例文3】今回のシステム障害は、サーバーの設定ミスに起因して発生いたしました
- 【例文4】今期の売上減少は、原材料価格の高騰に起因している部分が大きいです
- 【例文5】今回の頭痛は、睡眠不足に起因している可能性があると医師から説明を受けました
- 【例文6】友人とのけんかの理由を話すときに「性格の違いに起因して」とは、普通は言いません
こうして例文を並べてみると、「起因して」は事故や災害、システム障害のように、原因をきちんと特定して説明する必要がある場面で多く使われることがわかります。
なぜなら、あいまいな言い方では読み手や聞き手に正確な因果関係が伝わらず、誤解を招きかねないからです。
ビジネス文書や医療の説明でも使われるのは、感情を交えずに因果関係だけを淡々と伝えられる、便利な言葉だからです。
報告書やお医者さんからの説明でも自然になじむ言い回しであり、感覚的な言い回しよりも根拠や経緯を明確にしたい場面で共通して選ばれています。
一方で、友人同士のような気軽な会話の中でこの言葉を使うと、妙にかしこまった印象を与えてしまいます。
そのため日常会話よりも、書き言葉やあらたまった場面にふさわしい表現だと覚えておきましょう。
「起因して」はビジネス・ニュース・医療などどんな場面で使われる?
「起因して」は、事故や災害の原因を公式に発表する報道や、行政機関の発表資料でよく使われる言葉です。
火災や事故のニュースで原因が明らかになった際、発表文の中で責任の所在よりも事実としての因果関係を伝える目的で選ばれる傾向があり、記者会見の話し言葉よりも、あとで作成される文書や記事の中でよく目にする表現でもあります。
企業が不祥事やシステムトラブルを起こしたときの報告書やお詫び文でも、経緯を客観的に説明する言葉として頻繁に登場します。
感情的な謝罪の言葉だけでなく、原因を筋道立てて示す部分でこの表現が選ばれやすいのです。
医療の分野では、症状や疾患がどのような要因から生じたのかを説明する際、論文や診断書の中で病因を示す言葉として使われることが多いです。
患者や家族にも状況を伝えやすい、比較的わかりやすい専門用語として定着しています。
このように「起因して」がフォーマルな書き言葉に偏るのは、感情を排して事実を正確に伝える必要がある文脈と、この言葉の持つ硬さや客観性が相性がよいためだと考えられます。
そのため日常のくだけた会話よりも、正確さと客観性が求められる書き言葉の中でこそ、この言葉は本領を発揮します。
反対に、友人とのちょっとした立ち話や、SNSでの気軽な投稿では、もっとやわらかい言い回しが選ばれるのが自然です。
かたい言葉を無理に使うよりも、その場にふさわしい自然な言い方を選ぶことが大切です。
「起因して」と「起因する」「起因していた」の違い|活用形の使い分け
「起因して」「起因する」「起因していた」は、もとをたどれば同じ「起因する」という動詞から形を変えた仲間で、文のどこに置くか、どんな時制を表したいかによって選ぶべき活用が変わってきます。
「起因する」は言い切りの形で、文末に置いたり「整備不良に起因する事故」のように後ろの名詞を修飾したりするときに使う形です。
例えば「今回の事故は整備不良に起因する」のように、そこで文をいったん完結させたいときに向いています。
「起因して」は文をいったん中止し、原因の説明や結果を後ろに続けるための形です。
「連休の渋滞に起因して、配送が一日遅れました」のように、原因と結果を一つの文でなめらかにつなげられます。
「起因していた」は過去や完了のニュアンスが加わり、すでに終わった出来事の原因を振り返るときに使う形です。
「当時の混乱は情報共有の不足に起因していたと、後日の調査で分かりました」のような使い方が典型的です。
このように、文をどこで区切るか、時制をどう表すかを意識しながら三つの形を丁寧に使い分けると、読み手に伝わりやすい自然な文章になります。
「起因して」と似た言葉との違い|「原因で」「〜によって」「〜のせいで」との比較
「起因して」と意味が近い言葉はいくつかありますが、それぞれ硬さや含みのニュアンスが微妙に異なるため、使う場面を間違えると伝えたい印象とずれてしまうことがあります。
「原因で」は口語でも書き言葉でも使える中立的な表現で、「起因して」ほどかたい響きはありません。
「体調不良で欠席した」のように、日常のちょっとした理由を伝えるときにも自然に使えます。
「〜によって」は原因だけでなく手段や動作主も表せる、意味の範囲が広い言葉です。
「台風によって運休した」のように原因を表す場合もあれば、「専門家によって解決された」のように動作の主体を表す場合もあります。
「〜のせいで」は原因を示しながら、非難や不満といったネガティブな気持ちをにじませる言い方です。
一方の「起因して」は良し悪しの評価を含まず、あくまで客観的に原因と結果を結びつける言葉です。
「〜に端を発して」も似た意味を持ちますが、そもそもの発端や出発点を強調したいときに向いた表現で、伝えたい内容の性質に応じてこれらを使い分けると文章の精度が上がります。
「起因して」を使うときの注意点・間違えやすいポイント
「起因して」を使うときにまず押さえておきたいのは、直接の原因というより間接的なきっかけを表す言葉だという点で、単純な一対一の因果関係よりも背景にある要因を説明したいときに向いています。
複数の要因が絡み合って一つの結果につながったような場面でこそ、本来の力を発揮する表現です。
「長年の整備不足に起因して、今回の事故が起きた」のように、積み重なった背景を示すときに自然に響きます。
また「起因して」はかしこまった響きを持つ言葉なので、友人との雑談で多用すると硬すぎる印象を与えてしまいます。
日常会話では「〜のせいで」や「〜だから」のほうが自然に聞こえる場面がほとんどです。
文を組み立てるときは、原因を先に、結果を後に置く順序を逆にしないよう注意しましょう。
「結果に起因して原因が生じた」のような逆転した書き方は、意味が通じにくくなってしまいます。
さらに「彼の不注意に起因して私が叱られた」のように、特定の人の行為へ直接の責任を負わせる言い方に使うと不自然に響くことがあり、人の行動そのものより状況や要因を説明したいときに使うと自然な文章になります。
「起因して」を英語で言うと?英訳表現まとめ
- 「起因して」は英語で due to や caused by に置き換えられます。
- ニュアンスが近い表現に stem from や originate from があります。
- 直訳よりも文脈に合わせた言い換えのほうが自然に伝わります。
- ビジネス英語では resulting from や attributable to もよく使われます。
「起因して」を英語にするときの定番は due to や caused by です。
「due to a system error」のように、原因を簡潔に示したいときにとても使いやすい表現です。
もう少しニュアンスを寄せたいときは stem from や originate from が近く、物事の根本的な出どころをたどるようなニュアンスを表すときに向いています。
ただし「起因して」を一語ずつそのまま直訳しようとすると、かえって不自然な英文になってしまうことがあるので気をつけましょう。
ビジネス文書では resulting from や attributable to といった、より客観的で改まった表現もよく使われます。
話し言葉か書き言葉か、フォーマルさの度合いに応じて言い換えを選ぶことが、自然な英訳への近道です。
「起因して」のまとめ|正しく使いこなすために
- 「起因して」は「きいんして」と読み、間接的な原因や要因を表す言葉です。
- ビジネス文書やニュース、報告書など、フォーマルな場面で使われることが多い、少し硬めの言葉です。
- 「原因で」「〜によって」「〜のせいで」などと、硬さや含みの度合いが異なります。
- 使う場面や相手を選びながら取り入れることが、正しく使いこなす一番の近道です。
ここまで、「起因して」の読み方や活用の使い分け、似た言葉との違いまでを見てきました。
「起因して」は「きいんして」と読み、間接的な原因や要因を客観的に示すための表現だという点が、この記事全体を通じて一番お伝えしたいポイントです。
ビジネス文書やニュース、報告書など、正確さと客観性が求められる場面で特に力を発揮する言葉だと言えるでしょう。
「原因で」「〜によって」「〜のせいで」といった似た表現とのニュアンスの違いを意識するだけで、文章全体の説得力がぐっと増します。
フォーマルな響きを持つ言葉だからこそ、使う場面と相手をきちんと選びながら取り入れることが、「起因して」を正しく使いこなすための一番の近道です。
正しい読み方と使い方を身につけて、自信を持って文章に取り入れてみてください。