「尽力」とは?意味や例文や読み方や由来について解説!

「尽力」という言葉の意味を解説!

「尽力」とは、持てる力や能力、時間を余すところなく注ぎ込み、目的の達成や他者への協力に全力を尽くすことを示す言葉です。

日常会話では「ご尽力ありがとうございます」のように、相手が協力してくれたことに対する感謝を伝える場面で使われます。

「努力」と似た響きを持ちますが、「努力」が主体の自分に向けられるのに対し、「尽力」は自分・他人どちらにも使える点が特徴です。

さらに公的書類やビジネス文書では、謙譲語や尊敬語と組み合わせて用いることで、丁寧かつ格式高い表現になります。

たとえば「何とぞご尽力賜りますようお願い申し上げます」と記すと、読者に強い協力依頼を行う文章として効果的です。

一方、「尽くす力」と書くと誤字になるため注意が必要です。正しい表記は常に「尽力」または「ご尽力」となります。

「尽力」の読み方はなんと読む?

「尽力」の読み方は「じんりょく」であり、「じんりょく」と発音するのが唯一の正しい読み方です。

「尽」の字が「つくす」とも読めるため、「じんりき」や「じんりょくする」と誤読されることがあります。

しかし国語辞典や広辞苑など主要な辞書では、全て「じんりょく」の1項目のみが掲載されています。

なお音読み同士が結合した熟語であるため、訓読みは存在しません。

公的なスピーチやナレーションの現場では、語尾の「く」をはっきり発音することで、聞き手に正確に伝わります。

求人広告などで「皆で尽力し合う職場です」と記載する際も同様に、「じんりょく」という音をしっかり意識して読むことが重要です。

「尽力」という言葉の使い方や例文を解説!

ビジネスシーンでは「ご尽力いただき、誠にありがとうございます」のように、相手の協力を敬意を込めて称えるフレーズとして頻出します。

この場合、「ご尽力」に丁寧の接頭語「ご」を付けて、相手の行為自体を尊敬語で表現しています。

依頼形では「ご尽力賜りますようお願い申し上げます」とすると、堅い文書でも自然な敬語となります。

【例文1】弊社新規プロジェクトの成功に向けて、皆さまのご尽力をお願い申し上げます。

【例文2】地域活性化のため、多くのボランティアが尽力してくださった結果、祭りは大盛況でした。

口語表現では「尽力する」よりも「全力を尽くす」のほうが耳なじみがありますが、公的な文章や式典では「尽力」がよりフォーマルです。

また、過去形で感謝を述べる場合は「ご尽力いただきましたこと、深く御礼申し上げます」と文章を締めると丁寧な印象を与えます。

「尽力」という言葉の成り立ちや由来について解説

「尽力」は中国古典由来の漢語で、「尽」は“限りまで用いる”、「力」は“ちから”を意味し、合わせて“力を出し尽くす”という意が生まれました。

同様の構造を持つ熟語に「尽忠」(忠義を尽くす)、「尽瘁」(身をすり減らして励む)などがあり、古代中国における忠誠心や献身の概念と深く結び付いています。

日本には奈良時代の漢籍輸入とともに入り、律令制度下の官人たちは朝廷への奉仕を表す語として使用していました。

平安期の公文書にも「臣某尽力効忠」といった記述が見られ、武士階級の登場後は主君への忠誠を示す語として定着します。

江戸時代になると、藩士の任命状や寺社奉行の通達にも「尽力」の語が散見され、次第に武士階層の外へも広がりました。

「尽力」という言葉の歴史

明治期以降、近代国家体制の確立とともに「尽力」は官報や新聞記事で頻繁に用いられ、一般国民にも浸透していきました。

1900年代前半の新聞データベースを検索すると、「鉄道敷設に尽力した地元有志」などの見出しが多数確認できます。

戦後は企業経営や地域振興を報じる記事で使用例が増え、「尽力」は「努力」「貢献」に次ぐポピュラーな表現となりました。

現代ではビジネスメール、自治体広報、スポーツインタビューなど幅広い場面で活用され、世代や職種を問わず理解される語となっています。

ただしSNS世代の若年層には若干堅い印象があるため、カジュアルな文脈では「全力を尽くす」「サポートする」と使い分ける人も増えています。

「尽力」の類語・同義語・言い換え表現

代表的な類語には「努力」「奮闘」「献身」「助力」「尽心」などがあり、文脈に応じてニュアンスを調整できます。

「努力」は自己の向上や目標達成を目指す過程を示し、「奮闘」は困難に立ち向かう姿勢を強調します。

「献身」は利他性に重点が置かれ、医療や福祉分野で多用される点が特徴です。

「助力」は他者を助ける行為全般を指すため、ビジネスメールで「ご助力ください」と書くとややフランクになります。

一方「尽心」は心を尽くす意が強く、茶道や華道など伝統文化の文脈で好まれます。

これらの語を組み合わせることで、たとえば「ご尽力とご助力を賜り」と表現すれば、主体性と協働性の両方を丁寧に伝えられます。

「尽力」の対義語・反対語

明確な対義語としては「怠慢」「手抜き」「放棄」など、力を尽くさない姿勢や行為を示す語が挙げられます。

「怠慢」は本来すべき努力を怠る状態を示し、労働環境や行政サービスへの批判で使われます。

「手抜き」は意図的に労力を省く意味を持ち、建築や製造業で問題視されがちです。

「放棄」は義務や権利を自ら捨てる行為であり、法律文書では「債権放棄」などの形で登場します。

これらの語を対置すると、「尽力」の積極性や誠実さがより際立つ効果があります。

「尽力」を日常生活で活用する方法

家庭・地域活動・趣味の場でも「尽力」という言葉を意識して使うことで、周囲への感謝や協力要請が一段と丁寧になります。

たとえばPTAの案内状では「保護者の皆さまにご尽力いただき、無事に運動会を終えることができました」と感謝を伝えられます。

自治会の回覧板では「夏祭り開催に向けてご尽力賜りますようお願い申し上げます」と書くと、協力を促す文面になります。

家庭内でも「今日は夕食作りに尽力するね」と言えば、家族に前向きな姿勢を示せます。

就職活動の面接では「御社の発展に尽力したいと考えております」と志望動機を強調すると好印象です。

「尽力」についてよくある誤解と正しい理解

「尽力」は相手に対してしか使えないと思われがちですが、自分自身の行動にも問題なく用いることができます。

例として「私は被災地支援に尽力しています」と自己表現するのは正しい使い方です。

一方、敬語と組み合わせる際に「ご尽力させていただきます」と書くと二重敬語になる点が誤用として指摘されます。

【例文1】誤:このプロジェクトにご尽力させていただきます。

【例文2】正:このプロジェクトに尽力いたします。

また、「尽力=努力より上位の語」と誤解する人もいますが、意味上の優劣は存在しません。

あくまで「他者への貢献」「全力投球」を示す点が異なるだけで、使用シーンに応じて選択するのが適切です。

「尽力」という言葉についてまとめ

まとめ
  • 「尽力」とは、力や能力を余すところなく注ぎ込む行為を指す敬意ある語句。
  • 読み方は「じんりょく」で、表記は「尽力」または「ご尽力」が正しい。
  • 中国古典由来で、日本では奈良時代に受容され、武家社会・近代国家を経て定着。
  • 敬語表現や日常会話での感謝・依頼に便利だが、二重敬語や誤読には注意が必要。

「尽力」は歴史的な重みを持ちつつ、現代でも汎用性の高い日本語表現です。自分自身の決意を示すだけでなく、相手の協力に感謝したり、丁寧に支援を依頼したりする際に大きな力を発揮します。

この記事で紹介した類語・対義語との使い分けや、誤用を避けるポイントを押さえることで、ビジネス文書から地域活動まで幅広い場面で適切に活用できるはずです。現場に合わせた言い換えを駆使しながら、思いを丁寧に届ける手段として「尽力」を役立ててみてください。