「用語」とは?意味や例文や読み方や由来について解説!

「用語」という言葉の意味を解説!

「用語」は「ある分野や場面で共通に使用される語句」を指し、文脈を共有する相手との情報伝達をスムーズにするための言葉です。言い換えれば、専門的・技術的な概念を短い言葉で端的に示す“ラベル”のような役割を果たします。例えば「ログイン」「気圧」「親権」などは、それぞれIT、気象、法律の世界で使われる代表的な用語です。

用語は「語彙」と混同されがちですが、語彙が「言語に属する語の総体」であるのに対し、用語は「特定の分野に限定された語」という点が大きな違いです。また用語には、定義や使い方が厳密に決められているケースが多く、誤用すると誤解・トラブルの原因になりやすいという特徴もあります。

さらに用語には「共通言語化」という重要な機能があります。専門家同士が詳細な説明を省いて議論できるほか、初心者が専門知識を体系的に学ぶ際の“足場”となります。一方で、専門外の人には意味が通じない“壁”にもなり得るため、状況に応じた説明や言い換えが欠かせません。

「用語」の読み方はなんと読む?

「用語」は音読みで「ようご」と読みます。<用>の字は「ヨウ」、<語>の字は「ゴ」と読むため、組み合わせても訓読みや重音には変化しません。

日常的に漢字二文字の音読みは語調が硬く聞こえるため、ビジネス文書や学術書で用いられることが多い言葉です。読み間違いとしてもっとも多いのは「ようごう」ですが、正しくは「ようご」であり、後ろに長音符号を付けない点に注意しましょう。

また、送り仮名を付けて「用語を定める」といった形で動詞と組み合わせる際も読み方は変わりません。日本語学習者向けの教材では、平仮名表記「ようご」が振り仮名として付されることが一般的です。

「用語」という言葉の使い方や例文を解説!

用語は文章・会話のどちらでも使用されますが、相手が理解できるかどうかを意識する姿勢が大切です。業界特有の用語を多用する場合は、初出時に必ず定義や補足を添え、読者や聞き手の混乱を防ぎましょう。

【例文1】このマニュアルでは専門用語を避け、平易な日本語を用いた。

【例文2】法律用語の「善意」と日常語の「善意」は意味が異なる。

業務メールでは「専門用語が多くて恐縮ですが、下記に解説を添付します」のように配慮を表現すると丁寧です。また、プレゼン資料では用語を太字や別色で強調し、スライド下に簡潔な説明を入れると理解が深まります。

さらに技術翻訳では、同じ用語の和訳を文書全体で統一することが基本です。統一されていないと、読み手が別の概念と勘違いする恐れがあるからです。

「用語」の類語・同義語・言い換え表現

「用語」と似た意味を持つ語に「専門語」「術語」「ターム(英 term)」があります。厳密には「術語」は医療・工学など実務的な技術領域で使われ、「専門語」は学問領域全般の特殊な語を指す傾向があります。

また「業界用語」「業界語」もほぼ同義ですが、やや俗っぽいニュアンスを帯びるため、フォーマルな場では控えるのが無難です。言い換え表現を選ぶ際は、読者層や文章のトーンを考慮すると良いでしょう。例えば学術論文なら「専門用語」、ビジネス文書なら「業界特有の言葉」と少し柔らかく表現することが多いです。

「用語」の対義語・反対語

「用語」に明確な対義語は存在しませんが、概念的には「日常語」「一般語」「口語」などが反対の立場にあたります。これらの語は特定分野に限定されず、多くの人が直感的に理解できるという点で「用語」と対照的です。

例えば「リンク」というIT用語に対し、一般語では「つながり」「連結」と言い換えられます。このように対比させると、専門用語がどの程度“特別な言葉”なのかを視覚的に示しやすくなります。

「用語」と関連する言葉・専門用語

言語学では「用語」を扱う分野を「用語学(Terminology)」と呼びます。用語学では、概念体系の整理や語の標準化を行い、翻訳や技術文書作成の品質向上に寄与しています。また、ISO704など国際規格では「用語及びその他の言語資源管理」のガイドラインが定められており、分野横断的に共通理解を確保しています。

さらに辞書編集の現場で使われる「レマ(見出し語)」「定義文」「語釈」などの言葉も、用語と密接に関連しています。これらを体系的に理解すると、専門分野の知識も効率的に吸収できます。

「用語」という言葉の成り立ちや由来について解説

「用語」は中国語由来の漢語です。<用>は「はたらき・もちいる」、<語>は「ことば」を意味し、古代中国の文献でも組み合わせて使用された例が確認できます。日本では奈良・平安期の仏典漢訳を通じて流入し、学問や官僚組織の発達とともに定着したと考えられています。

江戸時代の蘭学書でも「用語解」という見出しが現れ、当時の知識人が原典の言葉を日本語に落とし込む際の注釈として使っていました。明治期には西洋語を翻訳する必要性から、用語の整備が国策レベルで進められ、理工系のみならず法律・哲学・社会学など多方面に拡大しました。

「用語」という言葉の歴史

古典資料では平安末期の漢詩集『本朝続文粋』に「用語」の表記が見られ、当時すでに“用いる言葉”の意味で使われていました。江戸期の学術的著作を経て、明治初頭の文部省編『英和対訳袖珍辞書』で頻出するなど、翻訳活動の加速とともに一般化していきます。

戦後は学会・規格団体によって用語標準化の機運が高まり、1981年には日本規格協会が『JIS用語集』を刊行するなど、制度的な整備が急速に進みました。インターネット時代に入ると、新たなIT用語が日々生まれ、その定義や訳語の確定が社会的課題となっています。この流れを受け、大学や企業では用語管理データベースを活用し、情報共有を効率化する取り組みが活発化しています。

「用語」という言葉についてまとめ

まとめ
  • 「用語」は特定分野で共通理解を得るために用いられる語句を指す言葉。
  • 読み方は「ようご」で、誤読しやすい「ようごう」は誤り。
  • 古代中国語から輸入され、明治期の翻訳活動で急速に普及した歴史をもつ。
  • 使用時は定義の提示や言い換えを行い、専門外の読者への配慮が必要。

用語は知識の伝達を効率化する便利なツールである一方、境界をつくってしまう側面もあります。「伝える相手は誰か」「その相手は用語を知っているか」を常に意識し、必要なら補足説明や一般語への言い換えを忘れないようにしましょう。

また、用語の変遷を追えば、技術や社会の発展が可視化されます。言葉の歴史的背景を知ることは、単に語義を覚える以上の価値を与えてくれるはずです。