「定職に就く」の読み方 ― 基本を確認
「定職に就く」は「ていしょくにつく」と読みます。
「定職」を「ていしょく」、「就く」を「つく」と読み、この2つの言葉を組み合わせることで「定職に就く」という一つのフレーズになっています。
「定」「職」「就」はいずれも小学校から中学校までの学習範囲で習う、比較的なじみのある漢字ばかりで、特別な当て字や難読の要素は含まれていません。
そのため「定職に就く」という表現そのものを読み間違える人は、実際にはあまり多くないでしょう。
なお「就く」はひらがなで「つく」と書かれることもありますが、新聞や辞書などの表記ルールでは、地位や職業に関する場合には漢字の「就く」を使い、単に物が触れる意味の「付く」などとは書き分けるのが一般的です。
同じ「職」という漢字を使う「就職」(しゅうしょく)とは読み方そのものが異なる点も、あわせて覚えておくと表記や発音の紛らわしさが減るはずです。
ただし、「定職」の部分だけを取り出して考えると、まったく同じ「ていしょく」という読み方をする言葉が、日本語の中に他にも存在しているのです。
会話の中で耳だけで聞いたときや、文章で漢字をきちんと確認しないまま読み進めたときに、うっかり違う言葉だと思い込んでしまうことがあります。
特に「定食」や「停職」とは発音が完全に同じであるため、話の流れや文字情報をよく見て、意味を混同しないように注意が必要です。
次の章では、この「定食」「停職」という2つの言葉と「定職に就く」との違いを、具体的に整理していきましょう。
「定職に就く」と「定食」「停職」の違い ― 同じ読みの言葉に注意
「定職」とまったく同じ「ていしょく」という読み方をする言葉には、日常生活でよく使われる「定食」と「停職」の2つがあります。
「定食」は、食堂やレストランなどであらかじめ品目や組み合わせが決められた「セットメニュー」のことを指す言葉です。
たとえば「今日のお昼は近くの店で定食を食べよう」のように、ごく日常的な食事の場面で使われる言葉です。
「定食」はあくまで食事の種類や献立を表す言葉であり、仕事の状態を意味する「定職」とは意味の上で何のつながりもありません。
一方「停職」は、公務員や会社員などが規律違反や不正行為によって懲戒処分を受け、一定期間職務を停止させられることを指す言葉です。
停職の間は基本的に給与が支払われないことも多く、懲戒処分の中でもかなり重いものに位置づけられています。
「停職」は仕事に関する言葉である点では「定職」と共通していますが、安定して働き続けることを表す「定職」とは意味が正反対の状態を指しているのです。
同じ「ていしょく」という読みでありながら、良い意味と悪い意味がきれいに入れ替わってしまう点には、特に注意が必要です。
これらを正しく聞き分けるには、会話では前後の文脈から判断し、文章では実際に使われている漢字そのものをしっかり確認する必要があります。
「職」「食」「停」「定」はいずれも音読みで「しょく」や「てい」に近い音を持つ漢字であり、こうした字音の近さが同音異義語を生み出したと言われています。
「定職に就く」の意味 ― 「定職」と「就く」それぞれの意味から
「定職に就く」という表現の意味を正しく理解するには、「定職」と「就く」、それぞれの言葉の意味に分けて考えてみると分かりやすいです。
「定職」とは、一時的なものではなく定まった・安定した職業のことを指す言葉です。
具体的には、正社員としての雇用や公務員の仕事といった、長期間にわたって安定して働き続けられる、いわゆる「安定した仕事」をイメージすると分かりやすいでしょう。
反対に、アルバイトや派遣社員、パートタイムの仕事といった雇用期間の定まった非正規雇用は、「定職」とは区別して扱われることが多い働き方です。
もう一方の「就く」は、ある地位や職業、役割などに新しく身を置くことを表す動詞で、「社長の椅子に就く」や「新しい役職に就く」のような表現にも使われます。
職業に関して使う場合は、それまで就いていなかった新しい仕事や立場に、新たに身を投じる場面を指すのが基本です。
この2つを合わせると、「定職に就く」は「安定した仕事に新しく従事する・勤める」という意味になります。
単に仕事をしているという状態ではなく、腰を据えて長く続けられる仕事を持つことを表す言葉なのです。
ここで注意したいのは、今すでに働いている仕事の内容や勤め先そのものを、別のものに変えるという意味ではない、という点です。
あくまで「それまで定職を持っていなかった人が、努力の末に新たに安定した職を得る」というニュアンスが中心にある表現だと言えるでしょう。
「定職に就く」の成り立ち・語源 ― 言葉の由来をたどる
「定職に就く」は、特別な由来を持つ言葉ではなく、漢字そのものの意味からそのまま成り立っている表現です。
「定」は「定まる」「固定する」ことを表す漢字で、「安定」や「定住」「定年」といった、日常でよく目にする熟語にも使われています。
「職」は「職業」「仕事」を表す漢字で、「職業」「就職」など仕事に関する熟語によく使われています。
「つく」という読みには「付く」「着く」「突く」など複数の表記がありますが、このうち地位や職業について新しく身を置く場合には「就く」の字を当てるのが決まりとなっています。
「定職」も「就く」も特別な四字熟語ではなく、日常的な2つの言葉を単純に組み合わせた表現にすぎません。
難しい故事成語のような背景を持たない分、意味もそのまま素直に受け取ることができます。
ただし「定職」という言葉自体が社会の中で盛んに使われるようになったのは、働き方が多様化し、アルバイトや派遣などの非正規雇用が広く浸透してからだと言われています。
それ以前は、仕事を持っていることと「安定して」働いていることがほぼ同じ意味で捉えられていたためだと考えられています。
安定した働き方をあえて特別に指し示す言葉が必要になったことで、非正規雇用と対になる概念として「定職」という表現が定着していったと考えられています。
その意味で「定職に就く」は、現代の雇用の多様化を背景に生まれ育った表現だと言えるでしょう。
「定職に就く」と「就職」「転職」「無職」の違い ― 似た言葉を整理
「定職に就く」と意味が重なりやすく、混同されがちな言葉に、「就職」「転職」「無職」があります。
「就職」(しゅうしょく)は仕事を得ることそのものを指す言葉で、その仕事が正社員なのか非正規雇用なのか、安定しているかどうかまでは問いません。
たとえば新卒の学生がアルバイトやパートの仕事に就いた場合であっても、広い意味では「就職した」と表現することができます。
「転職」(てんしょく)は、今すでに就いている仕事を辞めて、別の会社や職種の仕事に移ることを指す言葉です。
転職の場合は、すでに定職を持っている人が別の定職へ移るケースを指すことが多く、転職活動を行っている期間中は、一時的に「無職」の状態を経ることもあります。
「無職」(むしょく)は仕事をしていない状態そのものを表す言葉で、安定した仕事を持つ「定職に就く」とは対極にある状態だと言えます。
これらの言葉の中で「定職に就く」だけが、仕事の有無だけでなく「安定性」という点に焦点を当てています。
就職や転職が「仕事そのものが変わること」に注目する言葉であるのに対し、「定職に就く」は「その仕事がどれだけ長く続くか」という安定性の面に重きを置いています。
単に仕事を得たかどうかという結果ではなく、その仕事を長く続けられるかどうかに意味の重心が置かれている表現なのです。
この違いを理解しておくと、就職や転職に関するニュースや日常会話の中で、言葉を正確に使い分けられるようになるでしょう。
「定職に就く」の使い方 ― どんな場面で使われる言葉か
「定職に就く」は、就職活動や転職活動に関するニュースや日常会話はもちろん、新聞や雑誌の記事の中でも、ごく自然に使われる表現です。
「ようやく定職に就くことができた」のように、長い就職活動やつらい時期を乗り越えて仕事が決まった喜びや安心感を伴って、前向きに語られることが多いでしょう。
また、婚活や結婚の条件を語る場面でも、よく登場する言葉の一つです。
「定職に就いている人」という条件は、結婚相手を考えるときに収入や将来の見通しに対する安心感を測る判断材料として、しばしば挙げられます。
家庭の中では、親がフリーターやニートの状態にある子どもに向けて、将来を案じて使う忠告の言葉としても使われます。
「いつまでもフラフラしていないで、そろそろ定職に就いたらどうか」といった形で、子を思うからこその心配と期待の両方の気持ちを込めて語られることが多いでしょう。
さらに、ローンの契約や賃貸住宅の入居審査、クレジットカードの申し込み審査など、社会的な信用が問われるさまざまな場面でも「定職に就いているか」という点が関わってきます。
こうした審査では、定職に就いていることが、将来にわたって安定した収入を得られるかどうかを判断するための重要な材料の一つになるのです。
このように「定職に就く」は、仕事そのものの話題だけでなく、結婚や住まいなど生活全般における安心感や信頼性を語るときにも、幅広く使われる言葉なのです。
「定職に就く」の例文 ― シーン別に見る使い方
- 【例文1】面接では「定職に就きたい」という思いを、具体的な志望理由とともに伝えた
- 【例文2】結婚を考えているなら、まずは定職に就くことが相手の家族への誠意になる
- 【例文3】「いつまでフラフラしているの、そろそろ定職に就きなさい」と母に言われた
- 【例文4】地方の若者が定職に就けず都市部へ流出する現象が、社会問題として報じられている
- 【例文5】彼は長い放浪生活を経て、ようやく定職に就くことができた
就職活動や婚活の場では、「定職に就く」という言葉が安定した将来性を示す一種の証明として使われます。
面接官や相手の家族は、この言葉から生活基盤の確かさを読み取ろうとしているのです。
家族との会話で使われる場合は、心配や小言のニュアンスを帯びることが多いです。
「早く定職に就きなさい」という言い方には、相手を気遣う気持ちと同時に、ある種の圧力も込められています。
ニュース記事や社会問題を扱う文章では、個人の感情を交えずに使われる傾向があります。
若者の就労状況や雇用の不安定さを論じる文脈で、統計とともに登場することも少なくありません。
「定職に就く」ことの重要性 ― 就いていないとどうなるのか
定職に就く最大のメリットは、毎月の収入が安定し、将来の見通しを立てやすくなることです。
何歳でいくらほど稼げるかがある程度予測できると、結婚や子育てといった将来の計画を立てる安心感につながります。
住宅ローンの審査や賃貸契約の入居審査では、安定した定職がないというだけで不利な扱いを受けやすいのが現実です。
多くの金融機関や管理会社は、勤続年数や雇用形態を重視して契約の可否を判断しているため、非正規雇用の人は審査を通りにくいと言われています。
婚活の場でも、定職に就いていないことはマイナス要素として見られがちな傾向があります。
結婚相手の家族から、将来の生活基盤や子育ての環境について心配されてしまうケースも少なくありません。
一方で、定職がないというだけで「やる気がない人」と決めつけるのは一方的な見方にすぎません。
フリーランスや家業の手伝いなど、定職という形を取らずに安定した生活を築いている人も大勢います。
「定職に就いていない人はだらしない」という思い込みは、今も社会に根強く残っていると言われています。
家族の介護や資格試験の勉強などやむを得ない事情で、一時的に定職を離れている人も多いのが実態です。
「定職に就く」ための方法 ― 就職活動・転職活動のポイント
定職を探すときは、ハローワークや民間の転職エージェントを活用すると、求人の選択肢が大きく広がります。
エージェントは履歴書の書き方や面接対策まで無料でサポートしてくれる場合もあり、一人で探すよりも効率的です。
資格取得や職業訓練でスキルを身につけておくと、応募できる仕事の幅が大きく広がります。
専門学校や公共職業訓練校を利用すれば、費用を抑えながら実践的な技術を学ぶこともできます。
すでに非正規雇用で働いている場合は、社内の正社員登用制度を調べてみる価値があります。
契約社員やパートといった立場からでも、一定期間の勤続や試験合格を経て定職へステップアップできる制度を整えている企業が増えています。
応募先が決まったら、履歴書の内容や面接での話し方もしっかり準備しておきましょう。
これまでの経験を具体的な数字やエピソードで語れるように準備しておくと、採用担当者に意欲が伝わりやすくなります。
焦って決めるよりも、自分に合った職場をじっくり選ぶ姿勢が、長く続く定職につながります。
「とりあえず」で選んだ職場ほど、早期離職につながりやすいと言われています。
「定職に就く」の対義語 ― 反対の状態を表す言葉
「定職に就く」の対義語としてまず挙げられるのが、「無職」や「フリーター」という言葉です。
どちらも特定の勤め先を持たず、安定した収入源が定まっていない状態を指しますが、若い世代を指す場合は「フリーター」が使われる傾向があります。
非正規雇用や非正規労働者という表現も、安定した職に就いていない状態を指す言葉として使われます。
契約社員や派遣社員、パートタイムやアルバイトといった働き方が、これに含まれます。
決まった言葉がない場合は、「定職を持たない」「定職につかない」という否定形で表すこともできます。
「就職していない」というよりも、安定性に欠けるという意味合いが強く出るのが特徴です。
ただし、こうした対義語は必ずしもネガティブな意味だけで使われるわけではありません。
あえて定職に就かず、フリーランスや複業といった自由な働き方を選んでいる人を指す場合にも、同じ言葉が使われています。
フリーランスや複数の仕事を組み合わせる働き方など、定職にとらわれない生き方を前向きに選ぶ人も増えていると言われています。
無職とは異なり、収入を得ながら所属先を固定しない生き方として、近年注目を集めています。
「定職に就く」のまとめ ― 安定した仕事を持つことの意味
- 読み方は「ていしょくにつく」で、他の読み方はない。
- 「定食」「停職」は同音異義語で、意味はまったく異なる。
- 安定して長く続く仕事に就くことを意味する言葉。
- 対義語には「無職」「フリーター」などがある。
ここまで見てきたとおり、「定職に就く」は「ていしょくにつく」と読み、安定して長く続けられる仕事を得ることを意味します。
同じ「ていしょく」と読む「定食」や「停職」とは、字も意味もまったく異なるため、文脈で見分けることが大切です。
「定職に就く」ことは、経済的な安定だけでなく、周囲からの信頼を得るための大切な一歩でもあります。
就職活動や転職活動は決して簡単な道のりではありませんが、一つひとつの準備が着実な積み重ねとなり、やがて自分に合った定職へとつながっていきます。
ハローワークへの相談や資格取得など、小さな一歩でもかまわないので、自分に合った仕事探しを始めてみてください。
この記事で紹介した方法やポイントが、その一歩を後押しできれば幸いです。